表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神ゲーしようと思ったらクソピーキー性能のチート詰め合わせの初期特典に当選したので悪役に徹することにする  作者: セクシー大根教教区長ミニ丸語
Chapter11 彼岸より愛を込めて狂暴を 痶-下-

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

883/886

No.558 パラパラ




 暫し休憩の後。ツナがだいぶ持ち直すタイミングを測っていたかのようにノートから号令がかかり探索を再開。

 ウェディングドレスが隠されていた部屋からそう離れていない位置で、錠付きの両面扉を発見する。


「鑑定しても特に魔法的な仕掛けはないか」

「大きな音を出せばアンデッドを引き寄せる可能性が高いけど、鍵開けなら問題ないと思う」


 ノートが錠を鑑定していると、その後ろからヌコォがヘアピンの様な棒をインベントリから数本取り出す。

 ノートにどいてもらいヌコォも錠を鑑定。続いて盗賊系のスキルを発動。錠について更に調査。鍵穴にゆっくりと棒を差し込み、少しずつ動かす。


「ん、開いた」

「流石」


 待つこと10秒未満。カチリとなる鈍い金属音。ヌコォはあっさりと鍵を開けた。 

    

「さーて、開けるか」


 扉の前から一度退散。アンデッドの扉を開けさせると、パリンというガラスの割れる音と液体の飛び散る音がする。


「一応警戒はしたけど罠はあったか」

 

 少し酸味のある独特の匂い。腐食液だったようで、召喚したスケルトンの表面が溶けて蒸気が上がっている。

 ノートが部屋を覗き込むと、奥には金属で作られた大型の鍋が幾つもあり、その全てから何かが這い出すように淵に何かひかかっていた。

 それは金色の籠手。ガシャンと音を立てながら腕が出る。


「全員迎げっ!?」


 そこからは非常に低品質のパラパラ漫画の様だった。

 腕が出てきたと思ったら既に全身が出ていて、足と鎧に付属した金色のマントが鍋の淵に引っかかっている。

 それをノートの脳が認識した次の瞬間にて全身が這い出し、金色のマントが床に広がりやけに目立つ。

 と思った時には顔半分が薬液で溶けかけた見覚えのあるハンサムフェイスがドアップで迫っていて、ノートの言葉が思わず止まる。


 その隙を突くように籠手が首を締めあげマントが絡みつこうとするが、休憩前から気に入ったのかずっとノートに肩車状態だったティアがエイッ!と魔法を放つと、至近距離で魔法を食らった金鎧の騎士が吹っ飛んだ。


「ナイスティア!全員目標の金騎士発見!けど動きに癖がある!」


 鍋の中から金のマントを纏った金鎧の騎士が次々と出てくる。

 ノートに掴みかかった最初の1体ほどではないが、皆動きがラグで描写が飛んでいるかのように動きが読みにくい。


「あの揺れてるマントに体が包まれると超加速する!だが攻撃力そのものは高くない!消える前の足の向きに注意しろ!」


 読みにくいが、ギミック看破が非常に速い男はすぐにその動きの癖を理解した。

 ノートの号令が出ると近接戦闘組が素早く部屋の中に侵入する。

 

 一番早く踏み込んだGingerは直感で回避しながら先ほど自分が居た場所と、攻撃をしようと狙っていた個体の直線状に天叢雲剣を差し込む。マントが揺らめきパッと騎士の姿が消えると、剣に強い負荷がかかる感覚がすると同時に先ほどGingerが居た場所の近くで胴を撫で斬りにされた騎士が崩れ落ちた。

 

「加速中も実体はあるの!攻撃は当てられるがあまりおススメはせんなっ!」

「マントが本体だ!マントを切れ!たださっきのGingerのやり方は初期特ありきだと思え!」


 その最初のやり取りでGingerは即座に情報を共有。

 更に、Gingerが切ったと同時に鎧が真っ先に砕けて、鎧ごと切り裂かれたマントが恨めし気に少し残留した後に消えていく。

 その死に方を見てノートが即座に補足を入れる。


 癖はあるが対処方法は明確。突進の軌道上に入らず、よしんば突進後に攻撃をしてきても首絞めという回避しやすい攻撃。その上弱点が割れている。

 一見接近をためらいそうになる挙動をしているが、理解すればこの金騎士が致命的な弱点を持っていることがわかる。 

 それはマントの挙動。ラグ移動の前に金騎士は必ず体をマントで隠す。それはつまり、わざわざ自分で本体を正面に無防備な状態で晒すという事である。もちろん少しでもタイミングを逃せば攻撃を空振りする羽目になるが、そんな間抜けはアサイラムに居ない。

 因みに、ノートの読み通り金騎士はラグ移動中は無敵に近い状態なので本来なら移動の軌道上に武器を差し込めば普通はプレイヤーの方が吹っ飛ぶ。金騎士が付喪神型のアンデッド、つまり『物』であり、Gingerの天叢雲剣だからこそ移動中の金騎士を切断出来たのだ。


「ウチ向けやな~」


 近接組が一体撃破する間にVM$が豪華な意匠の短槍を弓につがえて放つ。

 放たれた短槍が氷の鷹に化けて複数体に分裂。金騎士に向けて突撃。

 タイミングを計らなくてはならないために飛び道具があまり向いている敵ではないのだが、VM$の弓で放つ使い魔はノートで例えれば極めて短時間運用しかできない簡易死霊と同じ。VM$が脳内で指示を出せばVM$指定のタイミングで攻撃を当てることができる。


 ただ、この攻撃は半自動操作に近いので明確にどれを対象にどのタイミングで攻撃をするか、全てVM$の脳内で指定する必要がある。MONさえ有るならばほぼ無敵に近い万能性を発揮するVM$だが、VM$が召喚可能なものはどれもこれも一癖二癖ある上に、どれもがノートがアンデッドを指揮する様に単純な指示を与えても思うように動いてくれないものが多い。

 ではそれをどう解決しているのかと言えば、結局VM$の脳内で全て人力処理しているのだ。


 なので気が抜けるような態度をしているがその脳内はかなり忙しない。

 他の近接職の邪魔にならず。他の後衛職の射線が通りにくく、尚且つ脅威度の高い位置の敵から的確に。

 些細な挙動から金騎士の癖を掴み、移動前のマントの動きを読む。

 攻撃タイミングをズラすために真っすぐに向かわせずに少し迂回させ、其々にぶつけるタイミングを調整する。

 

 広い視野、観察眼、高い判断能力、刹那で手筋を構築する思考速度など色々な才能が揃っていないと不可能な超絶技巧だが、彼女はそれを涼しい顔でやってのける。彼女とてプロゲーマー。一番得意な分野はサバイバル系だが、このような形態のゲームも得意である。

 色んな条件の違いこそあれ、プロゲーマーを胸を張って名乗れる連中はどれもこれも常人離れしたスペックを持っている。常人ではまず勝負にならない。変なのばかりいるアサイラムが例外的なのだ。特にただの一般人の癖にプロゲーマーとPvPして余裕で競り合えるノートみたいな存在が異常なのである。


「(1を6、2を3、3、4を3、5、6を2、7を―――――――)」


 頭の中で構築した予定通りに次々とVM$は攻撃を金騎士に当てていく。 

 ほぼノートの攻撃の一発で負けた先ほどの奇妙な幻覚を見せてくるゴーストは例外的であり、またGingerの先ほどの攻撃で一撃で死んだのもたまたま本来攻撃不可能なタイミングでクリティカルな攻撃を与えることができて一撃で倒しただけ。この金騎士も立派なランク不明ダンジョンに出現するアンデッドである。一撃で倒せるような敵ではない。その上、マントはヒラヒラして動く。薄くて軽いのに丈夫という魔法のような素材で、並みのプレイヤーなら簡単に攻撃を躱されてしまう。

 それを何となく予見していたVM$が使った攻撃は氷結系。

 鷹がマントとぶつかるとマントから鎧まで凍りつく。この凍結自体に攻撃力はあまりない。無論ランクが低い相手なら勝てるだろうが、格上相手にダメージが入るようなものではない。しかし、VM$が殺す必要はない。重要なのは少しでも動けないタイミングを作る事。


 機動の読みにくい敵の動きが止まっていくという事は皆に考える時間と状況を改めて認識させる時間を作る事が出来るという事。近接組、特にユリンの姿がブレたように消えて次の瞬間には凍った順に金騎士が斬り裂かれる。

 後衛職も回避されないと見るや矢や魔法で的確に射抜きしっかりとダメージを与えていく。


 

   

推奨技能に《鍵開け》って書いてないのに持ってるわけ…………………(KP悲鳴フラグ)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
更新ありがとうございます。 次も楽しみにしています。 《鍵開け》はどんなシナリオでも必須技能だから(小並感) 金騎士、弱い?な訳がなく
ワイ「ショットガンぶっ放してマスターキーにします」 KP「情報消滅&罠発動で爆破&それに巻き込まれてショットガン破壊ね」 オアアアアアアアアアア「ワイ」
KP›技能『鍵開け』かもしくは『目星』の半分でどうぞ (『鍵開け』は推奨に入ってないし『目星』で出せる情報はそこまで良いモノでも無いからトラップ発動してクククッ!) P1›あ俺『鍵開け』持ってる P2…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ