「ソロプレイ編②」
(これくらい釣ればいっか……)
気づけば怜は、魚を8匹釣り上げていた。
『能勢主任、私はこれで失礼します』
怜は、隣で釣りをしていたカバゾー(能勢)に頭を下げた。
『うん、またねー』
カバゾー(能勢)は釣りを続けながら、ゆっくりと手を振る。
2人は、その場でフレンド登録も済ませていた。
◆
怜はキャンプ場へ向かい、釣った魚を焼いていた。
(そういえば……)
(目的は家を建てることだった)
怜は当初の目的を思い出す。
このゲームは、やれることがとにかく多い。
そのため、人によってプレイスタイルもさまざまだ。
(家かぁ……うーん)
今の怜は、家を建てることよりも、武器や防具、強力なアイテムを集めることに興味が向いていた。
(もちのすけグッズは、あずかり屋に預けておけば安全だし)
焼いた魚を食べながら、怜はそう考える。
現実でも、怜は部屋に入りきらないもちのすけグッズを、寮の使われていない旧型の個室を倉庫代わりにして保管していた。
どこか現実とゲームがリンクしているようで、少しだけおかしく感じた。
その後、怜はキャンプ場で休息を取った。
◆
もふもふの村へ戻ると、あずかり屋へ向かい、もちのすけグッズを預けた。
(あ、パジャマだけ持っとこう)
そう思い、着ぐるみパジャマだけは手元に残した。
その後は武器屋やなんでも屋を回って、アイテムの売買をした。
おかげでバッグの中はかなり整理された。
怜が次に欲しいものは、“魔法のローブLv.1”だ。
価格は9000チップ。
現在の所持金は1200チップ。
(戦闘も慣れてきたし、魔物の森とは別のところに行こうかな)
今のところ、金策として最も効率がいいのは魔物狩りだった。
なにより、序盤にしては強力な武器も手に入れている。
怜はマップを開く。
(んー……キノコの森ってとこに行ってみようかな)
キノコの森の危険度は★1.5。
ちなみに魔物の森は★1。
大きな差はなさそうだった。
怜はキノコの森へ向かった。
◆
怜はキノコの森へ到着し、そのまま森の奥へと足を踏み入れる。
(湿気すごそう……)
怜はそう思った。
魔物の森とは、また雰囲気がまったく違う。
薄暗く、いかにもじめじめとしていそうな景色が広がっていた。
すると、少し離れた場所にキノコ型の魔物が2体いるのを見つける。
(キノコが動いてる……)
怜は武器を構え、気配を消しながら近づいた。
「ギョ!?」
キノコ型の魔物は怜に気づき、そのままこちらへ向かってくる。
怜は氷の杖を振るい、2体を攻撃した。
しかし、魔物の森の敵とは違い、思ったほどダメージが入らない。
(……ん?)
もう一度攻撃する。
だが、やはりダメージはあまり通らない。
(……あれ?)
怜は戸惑った。
◆
その瞬間——
キノコ型の魔物の攻撃が、怜に命中した。
ダメージ自体は小さい。
しかし、毒状態 Lv.1になってしまった。
(ど、毒??)
初めて見る状態異常に、怜はさらに戸惑った。
毒状態になった怜は、少しずつ体力が減っていく。
その間にも、2体のキノコ型の魔物は次々と攻撃を仕掛けてきた。
1発の威力は低い。
だが、毒による継続ダメージと重なり、体力は着実に削られていく。
(このままじゃ……!)
怜は焦り始めた。
その時——
小さな影が、すたたたと駆け寄ってきた。




