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エーテルコード:サイドストーリー  作者: エトコッコ
メルの日常

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30/32

「メルのお泊まり ~みのり編~」


「よっと!」


メルはそう言うなり、勢いよくベッドにダイブした。


今日は、みのりの部屋に泊まる日だ。


みのりは大きなクッションに腰を下ろし、リラックスした様子でお菓子の袋を開ける。


メルは1度、みのりの部屋のお風呂を借りていたが、改めて部屋の中を見回した。


きちんと整理された室内は、いかにも10代の女の子らしい雰囲気に満ちている。


壁には写真ボード、机の上には写真立て。


家族や友人、ファクターズの仲間、同じ訓練生、オルフェの職員、テツ——さまざまな思い出が並んでいた。


その中でも、ひときわ多く目につくのは、やはり閃の写真だった。


「アンタ、せっちゃん好きなのバレバレじゃん」


メルはくすっと笑いながら言う。


「だって、隠してないし」


みのりはあっさりと返し、お菓子をつまむ。


「せっちゃんモテるだろうし、ライバル多いぞ〜?」


メルはニヤリとしながら続けた。


「ま、好きになる気持ちはわかるけどね」


そう言って、自分もお菓子に手を伸ばす。


「あたしさ、最初にメルをここで見たとき、“あ、ライバル来た”って思ったもん」


みのりは笑いながら言った。


「大丈夫だって。メルの“好き”は、そういう“好き”じゃないから」


メルも軽く笑って返す。


「にしても、くっつきすぎなんだって」


みのりは呆れたように言う。


「てかさ、みのりは、誰がせっちゃんとくっつくと思う?」


メルがふと尋ねた。


「ん〜……正直に言うと、やっぱ音かな〜」


少し考えてから、みのりは答えた。


「自分じゃないんだ」


メルは思わず吹き出す。


「現実的に考えたらねー」


みのりはジト目でそう返した。



「実らない恋ってやつ?」


メルがお菓子をつまみながら言った。


「そもそも、あたしが勝手に好きになっただけだし。それは仕方ないよ」


みのりは肩をすくめながら答えた。


「それに、どっちかというと、“憧れの人”って感じだし」


少しだけ視線を逸らしながら、そう付け加える。


「ふ〜ん……名前が“みのり”なのに、実らないんだ」


メルは真顔で言った。


「な〜にちょっと上手いこと言ってんのよ」


みのりは呆れたように笑い、メルの肩を軽くこづく。


そのやり取りに、2人は思わず吹き出した。



「メルは、そういうのないの?」


みのりがふと尋ねる。


「ないよ〜?」


メルはあっさり答えた。


「一回も?」


「一回も」


間髪入れずの即答だった。


「あー、でも……好みというか、タイプの人はいたよ?」


メルが少しだけ考えてから言う。


「え!どんな人?」


みのりが身を乗り出す。


「ちょっと気弱そうで、チビの美少女!——つまり音!」


メルは満面の笑みで言った。


「あぁ……そっちね」


みのりは妙に納得したように頷いた。


「ん……? それ、あたしもタイプってことじゃない?」


少しイタズラっぽく、みのりが言う。


「当てはまってるの、チビだけじゃん!」


メルが即座にツッコむ。


そのやり取りに、2人はケラケラと笑い合った。



「そろそろ寝よ!」


しばらく談笑したあと、みのりがそう言った。


2人は歯を磨き、部屋の明かりを落としてベッドへ入る。


「って、添い寝かいっ!」


みのりは思わずツッコんだ。


「おやすみ〜」


メルはそう言うと、さっさと目を閉じてしまう。


(……ま、いっか)


みのりも小さく息をつき、そのまま目を閉じた。



翌朝。


みのりが目を覚ますと、メルがまるで抱き枕のように、しっかりと抱きついてスヤスヤと眠っていた。


そのせいで、みのりは身動きが取れない。


(ど、どうしよ……起こすのも悪いし……)


戸惑いながらも、みのりはふとメルの寝顔を見つめる。


無防備で、穏やかな寝息。


(…………かわいい)


結局みのりは起き上がるのをやめ、もうしばらく横になることにした。

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