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エーテルコード:サイドストーリー  作者: エトコッコ
メルの日常

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「メルのお泊まり ~アンジュ編~」


「へぇ〜、かっこいいじゃん」


「どーも」


メルは部屋の中を見回した。


今日は、みのりに続いてアンジュの部屋へ泊まる予定だった。


アンジュの部屋には、彼女らしさがよく出ていた。


趣味のバスケ用品やエレボ関連のグッズ。


壁には、海外の歌手や女優たちの電子ポスターが映し出されている。


メルには誰なのか分からなかったが、それでも——なんとなく“アンジュっぽい”センスだな、と感じていた。


「ね、音楽かけていい?」


アンジュが振り返りながら聞いた。


「うん」


メルが頷くと、アンジュはスマカを操作し、部屋に置かれたスピーカーから音楽を流し始めた。


ゆったりとした重低音。


身体に自然と染み込むようなリズム。


どうやらレゲエ系の音楽らしい。


「おぉ〜……なんか、ゆらゆらする感じ」


メルはソファへ倒れ込むように座りながら呟いた。



「ま、適当にくつろいでて〜」


アンジュはそう言うと、カーペットへごろんと寝転がり、雑誌を読み始めた。


レゲエのゆったりしたリズムが、部屋の空気をさらに緩ませていく。


そんな中だった。


「ね!アンジュ!下着見せて!」


メルが急に身を乗り出した。


「……ヘンタイオヤジか」


アンジュは雑誌をめくりながら即座に返す。


「見てどーすんの」


「満足する!ね、お願い♡」


「満足するって……」


アンジュは呆れたようにため息をつきつつ、部屋の一角を指差す。


「あそこ。勝手に見れば?」


「やったー!」


メルはすぐさま収納スペースを開け、興味津々で中を漁り始めた。


「うわっ、やっぱり!エロエロだー!!」


振り返ると、メルは何故か派手なデザインの下着を頭に被っていた。


「だからヘンタイオヤジかっつの」


アンジュは半目になる。


「てか、そんな珍しい? ソレ」


「だって、他の人の知らないもん」


メルは悪びれもなく答えた。


「そういや、みのりは可愛い系だった」


「確かにね……」


アンジュは苦笑する。


そして少し興味が湧いたのか、雑誌を下ろしながら聞いた。


「じゃあさ、メルはどんなの着けてんの?」


「つけてないよ?」


あまりにも自然な返答だった。


「……え?」


アンジュの動きが止まる。


「両方?」


「両方」


メルはあっさり頷いた。


アンジュは数秒沈黙したあと、ゆっくり聞き返した。


「……今までずっと?」


「ずっと」


「マジか……」


アンジュは思わず天井を見上げた。


一方のメルは、そんなアンジュの困惑など気にもせず、被っていた下着を眺めながら楽しそうに笑っていた。



「一応、軍から支給されたやつはあったけど、ほとんど使わなかったなー」


メルは思い出すように言った。


「あー……なるほどね」


アンジュは納得したように頷く。


「そりゃ珍しく感じるわけだ」


メルにとって、“下着を身につける”という感覚自体が、ほとんど馴染みのないものなのだろう。


「まぁ、するかしないかは自由だけどさ——」


アンジュは寝転がったまま続ける。


「でも、普段から着けといた方が楽だとは思うよ?」


「なら、アンジュのちょーだいよ♡いっぱい持ってるし!」


メルはそう言いながら、アンジュの下着を頭や両手にぶら下げていた。


「だから遊ぶなっての」


「ていうか、ウチのじゃサイズ合わないでしょ。ガバガバだよ?」


「そうなの?」


「まずはメルに合うサイズ測んないと」


「え〜めんど〜」


メルは即座にソファへだらける。


その反応にアンジュは苦笑した。


「じゃあ今度さ、ショップ行く?」


「ショップ?」


「下着とか服とか売ってる店。みのりんも誘ってさ」


その瞬間、メルの表情がぱっと明るくなる。


「え!行こ行こ!」


「じゃ、予定組まないとね」


アンジュは笑いながら呟いた。


少しずつ“普通”を知っていくメルの姿が、どこか微笑ましく感じられた。



「ふぁ〜……」


大きなあくびをしながら、メルはソファからふらふらとベッドへ向かった。


「アンジュ〜、先寝るね〜……」


そう言って、そのままぽすんとベッドへ倒れ込む。


「はーい、おやすみ」


アンジュは雑誌を読みながら軽く手を振った。


「おやすみ〜……」


返事はしたものの、メルの声はすでに半分眠っている。


そして数秒後には、静かな寝息が聞こえ始めた。


(早っ)


アンジュは思わず笑う。


メルの頭には、相変わらずアンジュの派手な下着が被られていた。

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