30 その正体は
またしても遅くなってすみません!
ちまちまと執筆はしていきますのでくつろぎながらお待ちしてくださると嬉しいです……!
「え、何であいつらが……!」
拓磨が思わずそう呟いた言葉を聞いて、真沙斗も釣られるようにして頷きながら息を呑んだ。
窓の外で蠢いている妖怪達は、明らかに生徒会室へと向かってきている。それも誰かに従ってだ。
「これ、どういうことですか……! あの妖怪達は決して誰かに従ったりしない……ううん、それ以前に、人間だろうと妖怪だろうと興味ないはずなのに……!」
「そ、れはっ……!」
訳がわからず真沙斗は拓磨の方を向いて問いかけるが、拓磨も混乱していて何も答えることができなかった。
しかしそうしている間にも妖怪達は動きを止めずに生徒会室へと向かってきている。何もしないわけにはいかなかった。
そう思った拓磨は頭を掻いて無理矢理頭を回し、驚愕な表情に満ちあふれている真沙斗に言った。
「……とりあえず、愛留奈さんを見つかりにくい場所に移動させよう。あいつらは……始末するしかないだろうね」
「わっ、わかりました! とりあえず、先輩を避難させますねっ!」
真沙斗は遂に涙を目に溜めながら、慌ただしく愛留奈へと近づいた。しかし動きをピタリと止めて、再び拓磨の元へと戻ってくる。
拓磨はそれを見て首を傾げつつも真沙斗に話しかける。
「どうした?」
「すみませんやっぱり先輩のことはお願いします僕には無理です荷が重すぎます!」
「え……えっ、ちょっ!」
真沙斗は頭を下げながらノンブレスでそう言うと、拓磨を愛留奈の元へ行かせるために背中を押した。
拓磨はその衝動で平衡感覚をなくし、思わず両腕を横に伸ばしてバランスをとる。
そして真沙斗の方へ顔だけを向けた直後、目の前に花びらが大量に舞い散り、拓磨の視界を遮った。
しばらくして拓磨は反射的に瞑ってしまっていた目をゆっくり開くと、そこには先程までいたはずの真沙斗の姿はなかった。
「……え、早くない? そんなに愛留奈さんを運ぶのが嫌だったの?」
拓磨は思わずそう呟くが、振り向いた時に見えてしまった真沙斗の横顔を思い出し、小さく吹き出した。
(いや、違うか。運ぶのが嫌だったんじゃない……運ぶのが恥ずかしかったんだよね?)
だって拓磨が見た時の真沙斗の横顔は――――真っ赤に染まっていたのだから。
☆
真沙斗は一人、蹲って悶えていた。
(あああ……絶対に見られてた……! いやでも、本当に恥ずかしかったんだもん……!)
真沙斗は今まで女性に近づくということ自体あまり無く、女性に近づくと顔が火傷したかのように真っ赤に染まってしまうのだ。
ましてや今回は恋愛感情で好きだと理解した愛留奈だったのだから、真沙斗の顔が真っ赤に染まることは一目瞭然だった。
真沙斗はため息をついて体を伸ばし、今いる宙で体制を整えた。
今の真沙斗は制服ではなく着物を身にまとっており、更には手に槍を持って下駄を履いていた。
そして頭には立派という程ではないがきちんとした角が生えており、髪の色も普段の黄緑ではなく黒へと変わっていた。
「やっぱりばれるよね、これは……」
真沙斗は角を弄りながら呟いてため息をつくと、妖怪達を見据えて静かに槍を構えた。
そしていざ突っ込もうとした瞬間に誰かに着物の襟を引っ張られ、首が締まって真沙斗は思わず変な声を出してしまった。
「ぐえっ!」
「あ、ごめん。でもそう無闇に突っ込んでいかないの」
「うあ……? あ、藍原先輩!」
着物の襟を引っ張った人物である拓磨は、呆れた表情をしながら頭を掻いた。それを見て真沙斗は顔を引きつらせながら呻き声を出す。
そんな真沙斗を見てため息をついた拓磨は付いている尻尾を揺らし、その場で一回転した。
今の拓磨は真沙斗のように着物を身にまとっており、青髪から金髪へと変わった頭には狐の耳、後ろには九つの尻尾が付いている。
拓磨は右手を肩の辺りまで上げ、宙に赤と青の混ざった炎を作り出した。それに負けないようにと真沙斗も再び槍を構える。
「んー……ちょっと派手にやっちゃおうか。準備は大丈夫?」
「あ、はい! いつでも大丈夫です!」
「ん、了解。それじゃあ、悪霊退散ってね!」
拓磨がそう言ったのを合図に、二人は妖怪の大群へと突っ込んでいった。
☆
数分後、二人は生徒会室で愛留奈を元の位置へと戻し、何事も無かったかのようにくつろいでいた。
しかし妙に落ち着きのない真沙斗は、周りを見渡したり顔を俯かせたりと動作が煩かった。
それを見かねた拓磨は先程まで読んでいた本から顔を上げ、未だに落ち着きのない真沙斗へと話しかけた。
「どうしたの? 何か気がかりな事でも?」
「あ、いや、その……はい。気になるといえば、気になりまして……」
「それって……やっぱりさっきの妖怪の大群のこと?」
拓磨が首を傾げながらそう尋ねると、真沙斗は目を泳がせながらも頷いて肯定した。
「確かに大群のことも気になるんですが……最初に気になったのは、あの空間ですかね……」
「空間が……?」
「はい。だからあの時、戦いながら少し空間を探ってみたんです。そしたら――」
そして真沙斗が核心に触れようと口を開いた、その時だった。
「――あの空間には最初から結界が張られていた、だろ?」
直後、この場には無いはずの第三者の声が室内に響き渡った。
その声に驚いて二人が周りを見渡すと、生徒会室の入り口付近の壁に寄りかかって腕を組んでいる一人の姿を見つけた。
その人物の姿を見て二人は目を見開き、その人物は逆に口元に笑みを浮かべた。
「愛留奈が熱出したって話を聞いたから慌てて駆けつけてみたら……まさか、あんな面白いモンが見れるとはなー」
「え、あ、何で……!」
「どうして、あなたが……!」
二人が声を震わせながらそう呟くように叫ぶと、その人物はきちんと二人を見据えてから口を開いた。
「そんじゃま、改めまして……どうも、愛留奈の兄の佐渡山奈都希です。よろしく、九尾狐の末裔の藍原拓磨と鬼の末裔の米原真沙斗。愛留奈はそう簡単に渡さねーよ?」
そう言って、奈都希は黒いオーラを出しながら上面だけのいい笑顔を浮かべた。
しばらくこの小説を書き直す予定なので、いつの間にか文章が変わっているというのがあるかもしれません。
ですが、設定は変わらずの予定なので、安心してください。




