23 本音と寝言
時間が空きましたが、本日二つ目の投稿です!
今回は香里奈視点です。
生徒会の皆が出ていったのを確認した私は、起き上がっている愛留奈の方を向いた。
私の視線に気づいた愛留奈は優しく微笑むと、私の頭に手を乗せてぽんぽんと撫でてくれた。
「香里奈、私は大丈夫だよ。だから、そんなに辛そうな顔をしないで」
「で、でも……」
「あ、言っておくけど嘘はついてないよ。本当に大丈夫だから」
「わ、わかった…。あ、でも今はちゃんと寝てて!」
「ちょっ、香里奈――わっ!?」
「きゃぁあっ!」
私はきちんと寝るように言いながら愛留奈に手を伸ばした……けど、運悪く足を滑らせてしまい、愛留奈を押し倒すようにして私もソファーに倒れこんでしまった。
ぼふっ
ソファーからそんな音が聞こえた後、愛留奈は小さく呻き声を出した。
それを聞いた私は、愛留奈の上に、しかもちょうどお腹のところに乗っているのを思い出して慌てて立ち上がった。
「め、愛留奈ごめんね! 大丈夫!? 悪化してない!?」
「だ、大丈夫……。だけど眠いから寝させて……」
「寝ちゃうの!? 寝てもいいけど死なないでね!?」
「いや、ただ単に眠いだけ、だから………」
愛留奈は私の発想に少し呆れながらも、小さく笑って「おやすみ」と言ってくれた。
私はそれに「おやすみ」と返して、近くにあった椅子に音をたてないようにゆっくり座った。
椅子に座った後一息ついて、愛留奈をジッと見る。
よく考えたら愛留奈の寝顔を見るのは初めてかもしれない。起きた時、愛留奈の顔は毛布に隠れてるから。
(あ……そっか。それに、いつもは私が眠気に負けて先に寝ちゃうんだ。今回だって、発案者の私が一番最初に……)
「だからいつも起きるのが早いのかな?」と呟きながら初めて見る愛留奈の寝顔を堪能する。
こうして見ると、やっぱり愛留奈は可愛いと私は思う。愛留奈は自覚してない、というか認めたくないみたいだけど…。
それに愛留奈は気づいてないみたいだけど、生徒会の皆だって愛留奈のことを好きになってる。恋愛感情ではない人もいるけど。
私だって、自己紹介の時に自分でも驚くくらい愛留奈にすごく惹かれた。理由は未だにわからないけど…。
ねぇ愛留奈。私ね、あの時勇気を出して愛留奈に話しかけてよかったって心から思ってるんだよ?
あの時話しかけなかったら、愛留奈とは親友になれずに日々を憂鬱に過ごしていたかもしれない。
あの時話しかけなかったら、思ったより噂と違う生徒会の皆と楽しく過ごせなかったかもしれない。
あの時話しかけなかったら、私と愛留奈は――…こうして一緒に話したり遊んだりできなかったのかな?
(本当、愛留奈ってすごいなぁ……。だって愛留奈はこれを、無意識にしているんでしょ?)
人によっては『無意識は罪だ』と言うことがある。だけど私には、その言葉の意味がよくわからなかった。
でも私はその意味がわかった上に、日々の中で体験している。それもこれも、愛留奈のおかげで。
「私……愛留奈みたいな女の子に生まれたかったなぁ……」
もし佐渡山愛留奈として生まれていたら、一体どうなっていたのだろうか。
きっと自己紹介も簡潔に終わらせて、友達を作ろうとしなかっただろう。でも、それが愛留奈なのかもしれない。
私達が一年生の時、愛留奈はいつも一人だった。登下校する時も、移動する時も、お昼を食べる時も、教室にいる時も。
でも、愛留奈はそれで平気だった。一人になっても友達を作ろうとしなくて、むしろ人を惹き付けないようにしてて。
(そっか……私は、そんな時から愛留奈に惹かれてた――ううん、憧れてたんだ。一人でも挫けなくて、むしろ誰よりも堂々としている、そんな愛留奈に)
愛留奈の簡潔な自己紹介でも惹かれたのは、今までずっと愛留奈に憧れていたからなのだろう。それならどうして愛留奈に惹かれたのか納得することができた。
私は気持ちよく寝ている愛留奈に、ゆっくりと手を伸ばす。
「………でも、今は親友だもん。今までよりも、もっと愛留奈の近くに――――」
――――……本当に?
その言葉が聞こえた瞬間、愛留奈に伸ばした手は空中で動きを止め、だらりと手を下ろした。
まるでその言葉を、肯定するかのように。
(本当、だよ。だから毎日が明るくて、楽しくて、学校を休みたくなくて………でも、私は……)
「――――愛留奈のこと、何も知らない……」
愛留奈は自分のことを話そうとしない。私がしつこく聞いても「気が向いたらね」と言っていつも誤魔化す。
私はただ、愛留奈のことを知りたいだけなのに。
愛留奈のことをこれでもかというくらい知って、自信をもって「私は愛留奈の親友だよ!」って言いたいだけなのに。
「私じゃあ、力不足なのかな……。私は愛留奈に親友として、思われていないのかな……」
しばらくそのことについて考えていたら、愛留奈が寝返りをしてちょうどこっちを向いた。
私はそれに気づいてジッと見ていると、愛留奈は微笑みながら小さく呟いた。
「香里奈……大好き、だよ……」
「っ!!」
思わず愛留奈を間近で見たが、どうやらさっきのは寝言だったらしい。幸せそうに寝ていた。
私は一瞬呆気にとられたが、すぐにクスッと笑って寝ている愛留奈にむかって言った。
「私も大好きだよ、愛留奈!」
この時私は、愛留奈のことを知るのは愛留奈が自ら話してくれる時でいい。そう思った。
だって、たとえ寝言だとしても、そう言ってくれるのが嬉しいんだと知ることができたから――――。
香里奈視点、今までの中で一番書くの難しかったなぁ……。
今回は、愛留奈と香里奈の友情物語にしてみました!
次回は……誰視点か考え中です。




