ワンドオブフォーチュンR (後編)
「まず一週間の授業を決めると、ふむふむ。上げられるのは知力と魔法と技術、それと各種の属性か。
となるとまず攻略対象を絞ってステータスを振るのがいいか」
最初はとりあえず作品の顔っぽいユリウスにしようか。青い髪が特徴の黙っていればクールイケメン、最初はほんとにただのクールイケメンだと思っていたのに、出会い頭でただの魔法オタクなのが発覚し、しかもかなり気持ち悪いレベルの。
これがほんとに作品の顔でいいのかという疑問は置いておき、ひとまずこのユリウスを攻略しようか、属性は風だから風を上げとけばいいか、あとこの知力と魔法と技術はどう割振ればいいのだろう。
「そういえば占い師の人がいたような、定番だと占い師に聞くと色々情報を貰えるからまずはそこに行ってみるのがいいか」
ひとまず風を上げる授業を二日、知力を上げる授業を三日に割振って一週間を回す。進行は非常に早く、イベントが起きなければ一分も掛からない。
あっという間に五日目の夜になる。
「五日目の夜に各キャラと交流、もしくはカードゲーム……デュエリストとしての腕を見せる時が来たようだな」
カードゲームのルールは非常にシンプルだ、六種類の属性カードを手持ちとし、一ターンに一枚相手と同時に出す事になる。
その際に、自分の出したカードが相手のカードより有利であれば相手に二ダメージ、有利でも不利でもない場合はお互いに一ダメージをくらう。そうして先に六ダメージ与えた方が勝利となる。
ようは六種類の手があるジャンケンだ。
「か、勝ったぞ!!」
クイックセーブを駆使して何度もやり直して倒した。これは仕様なのである、断じて卑怯ではない。
「それで六日目は休むからと飛ばされるのか、七日目に自由行動だけど、あぁイベントのフラグ立てるとここで起こるのね」
そのイベントのフラグは主に一週間の授業を決める時に、項目としてでてくるので取り逃すことはあまりない。
「とりあえず占い師のとこ行こ」
占い師の所へ行くとユリウスを攻略するのに必要なステータスを教えてくれた。どうやら知力を上げればいいらしい、どこまで上げるべきなのかはわからないが。
好感度と属性はゲージとしていつでも見られ上限がハッキリしている。
これらを上限まで上げるのを前提として知力を優先で上げればいい、技術と魔法は均等にやればいいな。
ユリウスルートをクリアしました。
あの気持ち悪いオタクがよぉ。
「気持ち悪いレベルのオタクが恋にベクトルを向けたら、まあ相手にとんでもなくド直球に気持ちぶつけてきてゲロ甘になるんだなぁ。ふふ、砂糖吐きそう」
特に本編クリア後に解放されるイチャラブルートがまた凄まじかった、湿度高いとかそんなレベルじゃなかった。これがエロゲならきっとそこかしこでエッチなシーンが挟まっていただろう。
いやエロゲはした事ないんですけどね。
「大体六時間くらいかな、うわもう昼過ぎてる」
早朝からやってたのでそんなものだろう。むしろ朝早くにストア覗いてゲーム買ってずっとプレイして午前中潰す方がおかしいまである。
いやそうでもないか。
「とりあえずお昼ご飯食べるか」
立ち上がってうーんと伸びをすればボキボキと背中と腰が鳴っていかに凝り固まっていたかがわかる。まだ若いから無茶が通るけど、流石に少しくらいは労わるべきなのかもしれない。
でも椅子とか買う値段でゲーム買えるしなあ。
悩ましいところだが、そんな悩みもご飯を食べれば忘れてしまうもので。食べ終わって早々に冷蔵庫からオレンジジュースを取り出しコップも手にして部屋に戻る。
途中お店の方を覗くと、おじいちゃんがお客さんと会話しているのが見えた。
「さてさて、二週目はノエルにしようかな」
二週目以降は既読スキップを使って半分以上を早回しで進められる。このゲームはほとんど共通ルートで、途中に個別イベントが挟まる程度、なので個別ルート入るまでは若干退屈しがちなのが難点。
しかし個別ルートに入ると話は変わる、最後の集大成だけあってシナリオの質がそれまでとダンチ、つまりは面白い。
「ノエル、お前可愛いな。イケメンだけど」
可愛いイケメンという概念てあるだろうか、多分ある。
「二週目は三時間かかるかどうかってところか、頑張れば明日にはクリアできるな」
日付けが変わる少し前にようやく五人目をクリア。そのまま朝まで眠りこけ、起きてまた最後の一人をクリアする。
これで終わりかと思いきや、なんとハーレムルートが解放、更には親友のアミィルートや教師のエルバートルートまで。
「ボリュームが、ボリュームがありすぎる!! あと一人だけイチャラブルートでイチャラブしてない! ずっとレスバしてる! イチャイチャしろよ!!」
午前中使って何とかエルバートルートとハーレムルートを終わらせるが、流石にヘロヘロのヘトヘトである。アドベンチャーゲームとはいえ丸二日も注いでいれば疲れるのだわ。
その日の昼は図書館で借りてきたスティーブンキングの小説を読む事に徹する、何のゲームだったかは忘れたがキングの小説を元にしたのがあるらしいから小説も攻めていかなければ。
「これがショーシャンクの空にの原作かぁ、これを映画にしたのか。観なきゃ」
ふと時計を見ると、時計の針は午後六時を指している。晩御飯には少し早いだろうか、お店は開いてるし、おじいちゃんはいつも二十二時に閉店してから晩御飯を食べている。
それゆえいつも晩御飯は千歳が用意しているのだ。
「うーーん、冷蔵庫が心もとないなあ」
買いに行かねばなるまい。この時間ならいつも行くスーパーは値引きを始めてる筈だ。
「値引き惣菜買えるならそっちの方がいいな、あと漬物と、お魚買っとく?」
ご飯は昼に炊いたのが残ってるからそれを使うとして、味噌汁だけ作っておこう。
最近は料理するより買った方が安いのでありがたい。
晩御飯を食べ終わってから残る最後のアミィルートをクリア。
「尊い、百合だこれ」
親友の女の子との友情を深めるシナリオだが、距離感が近くあまりにもてぇてぇと言いたくなる演出ばかり、彼女達を見守る壁になりたいと思ったぐらいだ。
「よくよく考えたらそうか、乙女ゲーて主人公が女の子だから、女の子のルート入ったら自然と百合になるんだ。
なるほどね、なるほどなるほど……乙女ゲーてもしや百合ゲーなのでは??」
真理を得た。
初めてプレイした乙女ゲーをプレイする事で、新たな叡智を授かる事になろうとは。乙女ゲー、深いな。
お小遣い入ったらまた一作買っとこうか。
「まあとりあえずワンドオブフォーチュンもこれで終わりだな」
エピローグを終え、タイトル画面に戻る。いつもの流れだ。
しかしタイトル画面へ切り替わる前にこのような文字が現れた。
「エドガーの魔法のルーペ(ファンディスクのシナリオ)が解放されました」
「………………」
忘れていた。
このワンドオブフォーチュンRはファンディスクも入っているのだと、一粒で二度美味しいと。
「ボリュームがありすぎる!!」




