表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
目覚めたら美少女でした!?  作者: 二度と離れぬ毛布
15/17

13 テスト当日

鳥の囀ずる声が聞こえる、清々しい朝。今日は待ちに待ったテスト当日。嬉しくて胃痛が止まらないですね!(満面の笑み)


あれから本っ当に色々あった。ハリセンで叩かれたり、禁断症状が出そうになったり…。いや、しっかりとテスト対策してきた。赤点は回避できるでしょと京花に言われたぐらい頑張った。ありがとうございます。


とは言っても、不安が無いわけでは無いので、先程からキリキリと胃が痛む。胃薬を飲み込んで、用意をする。


香ばしいバターの香るパンを食べつつ、テレビを見る。芸能人の浮気だの、会社の脱税だの、殺人未遂だの、世の中物騒だと思う。殺人未遂結構近いところだな…。怖。


すっかり抵抗が無くなってしまった制服を着る。ズボンよりスカートの方が楽と思ったら負けなのかもしれない。


「行ってきます」


と大きな声を出し、学校へ向かう。学校へ近づく度、足取りが重くなっていくのを感じる。想像が悪い方へ拍車がかかる。赤点取ったら京花に白い目で見られる、光樹にネタにされる、何より小遣いが減るし……あぁ、バイト出来る高校に行くんだった。


肩を落としながら歩いて行く知世に、後ろから駆け寄る人影が。


「知ー世ーちゃーーん!!!」

「……うわぁぁ!?」


あこが背中に飛びかかってきた。倒れる最中に、後ろにアワアワしている蒼葉と桜を見たとき、俺の記憶は途切れ――無かった。勢い強いよあこ。


「だ、だだ大丈夫知世ちゃん!!??」

「……」


今更ながらに心配するあこに、蒼葉と桜が一言。


「だから止めとけっていったじゃん」

「華奢な知世が、運動バカのあこの飛び付きに耐えられるわけないって」

「だって~」

「いっつつ。重いよあこ」

「わあっごめん」


知世から急いで飛び退く。制服に付いた汚れをパッパッと手で払いながら立ち上がる知世。幸い怪我はどこにもなかった。


「今日はテストだから、テンションが何時もより高くなっちゃって。ごめんね知世ちゃん」

「気にしてないよ。大丈夫。それよりテストは自信ある?」

「ギクッ」


目に見えて、耳に聞こえて分かりやすい反応をしたあこ。これは絶対やってない。去年の俺のようにな!

桜と蒼葉がやれやれというように、肩をすくめる。この反応は馴れてるな…。


「だだだだだ、大丈夫だよ。しっかりベンキョウシタヨ」

「絶対してないでしょ……」

「シテルシテル。そんなことより!早く学校に行こ!」

「はいはい」


少し駆け足気味で学校へ向かう。一人で歩いているより、足取りと心が幾分か軽く感じた。


□□□□□


テストだということで、クラス中が浮き足立つ。お前勉強したー? 全然してない笑、というよくある会話が聞こえる中、胃痛で身を屈めている人物が一人、教室にいた。


「大丈夫、知世?」

「大丈夫じゃない、京花。腹いてぇ」

「勉強したのよね、まさか、手抜いたの?」

「まさか、滅相もない! 赤点を取ったときのシュミレーションをしてたら胃痛が増してきただけ。これは自爆というべき」

「はぁー。本当に何してるのよ。もうすぐ先生来るわよ。頑張って。」

「へーい」


テストを引き下げ、先生がやってくる。先程まで緩んでいた雰囲気が、引き締められ、もうすぐテストが始まると改めて思わせるものだった。


テストが配られていく。さあ、気を引き締めて赤点回避へ。シャーペンを握る手に力を込めた。


□□□□□


テスト一日目が終了した。最後の時間が終わったときの歓喜の声は、自然と出てしまうものだ。これで終わりという訳ではないのでまだ、安心は出来ない。『最後まで死に物狂いでやれ』こう京花に言われているから。……破ったら冗談抜きで殺される。


あこは魂が抜け、真っ白に燃え尽きていた。大丈夫だろうか。まだ結構残っているのに。目に光が宿ってないぞ……。


蒼葉や京花は、毎日コツコツとやっているようで、余裕の表情を浮かべていて、来年から本気出す……。


桜はいつも通りの感じで、テストがあっても動じてないのは流石だな。その精神俺に下さいお願いします。


俺は、あこタイプだな。机に突っ伏して疲れを癒してる。これがあと二日続くなんて辛い。ゲームしたい。させてください。


□□□□


今日も今日とて帰ったら明日のテスト勉強。これでは終わる前にただの屍になってしまう。ポテチをバリバリと食しながらペンを進めていく。


俺、今日な親に「勉強しすぎじゃない?休んだら?」と言われたんだ。人生で初めて言われた言葉だったよ。嬉しいけど、自主的にやったらもっと嬉しかっただろうなと思った。


時計の長針が四周するまでテスト勉強は続いた。そのときにはもう、紙より白くなり、燃え尽きていた。


俺、このテストが終わったらゲームするんだ……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ