14 燃え尽きた、真っ白に。
「終わったーー!!」「部活が出来る!」「色々終わった…」
と、テストが終わったことに歓喜と安堵、そして絶望の声が上がるクラス。その中で二人、誰から見ても分かるように燃え尽きている女子がいた。体の周りに魂が見える……。
そんなあこと知世を心配し、色々する京花達。揺すっても声をかけても、浮遊する魂が戻る様子は見られない。
返事が無い ただの屍のようだ。
動くものの反応がないこの様子は、家に帰るまで続いたそう。あこは帰り道、走ることでいつもの調子に戻り、千夏は二週間禁止されていたゲームをやり込むことで、魂を取り戻した。
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カチャカチャとコントローラーの音がする、明るい部屋。画面は部屋を明るくして見ましょうというルールをきちんと守る、千夏。しかし、今の格好は上下ジャージという、ものすっごいダサい服である。
だが、流石美人というものか。なかなか様になって…なって……いない。首から上は綺麗です。
この女、朝七時から昼の十二時まで、ゲームの前にずっといるのである。ゲームのレベルは二十も上がっている。
キリの良いところで終わらせて、ぐ~っと体を伸ばす。座りっぱなしだった体はゴキゴキと鳴り、少し痺れてきた。閉めていたカーテンを映画のようにバッと開き、ダサいジャージから普段着へと着替える。
スマホを手に取り、数分ほどいじっていたが、ある用事を思いだし、思い切り嘆いた。朝から夜までやり込む予定を立てていたのだ。
「ああーー!!! 待ってろ俺のゲームー!!」
本日、外に出掛ける用意の時間の最短時間を叩き出した。これより速く出来る人はいないであろう……。
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Tシャツにジーパン、荷物を入れるための小さなバックと帽子を身につけ、人目も気にせず走る。走る度に、長い髪が揺れる。
そのまま二十分くらい離れた店へ……は行けなかった。はあはあと息を切らし、心臓がばくばく波打ち、呼吸が乱れている。歩きながら息を整えておく。
歩き続けて十八分くらい、ようやくついた。俺は一直線にゲームコーナーへ向かうと、目当てのゲームをレジヘ持っていった。金欠な俺には痛い出費だが、テストが終わった褒美ということで財布から目を反らした。
ついに手にいれたゲーム。それを見つめてにやにやしながら歩いていると、誰かにぶつかってしまった。
「うわっ!!」「わあ!?」
ぶつかった人の荷物がばらまかれる。俺は急いでその人の荷物を拾う。食材ばかりだ。
「どうもすみません、って裕貴さんじゃないですか」
「千夏君。丁度良かった。家に来てくれさあ早く」
「え、ええ?」
拒否権なんて無かった。裕貴さんに無理矢理連れられるようにして、家へ向かった。
「裕貴の三分クッキングー!!」
「突然どうしたんですか、テンションおかしいですよ」
何か具合の悪いのかと思い、顔をまじまじと見つめる。そこには一日や二日ではつかない深い隈がついていた。この人徹夜するまで何をしたんだ?
裕貴さんは俺に目もくれず、バンバンと買ったものを出していく。深夜テンションについていけるほど、俺はそんなに明るくない。とりあえず手伝った。
「用意するものはこちら!」
・チョコ・薬・ビタミン剤・ショートケーキ・牛乳・蜂蜜
これで一体何を作るんだ、狂気の沙汰じゃないか。これを全ていれるなんて。ケーキ丸々一個だぞ?
「裕貴さん、何か間違ってませんか? 明らかに要らないもの混じってますよ」
「いんや、問題ない。俺の仮説が正しければこれでいけるはず」
特に何も説明をせず、チョコを溶かしていき、砕いたビタミン剤、牛乳を入れ、沸騰したところに蜂蜜を入れる。そして、蜂蜜を煮詰めること十分。そこにショートケーキをぶちこむ。
どう考えても人間の食べるものじゃねえ。だが、具材に対して美味しそうに見える。俺の目が可笑しいんだろう。甘い香りまでしてくる。
「これを冷やして固めたら完成~!! じゃ三十分後に起こして」
「え?」
俺にそう言い残し、ソファに開始三秒で寝た。これはのび太郎といい勝負だな……。
このあとは普通にだらだらして、三十分を過ごした。特に何事もなく。ただだらだらと、無駄な時間を過ごすように。
ぐっすりと眠っている裕貴さんを揺すって起こす。
「裕貴さん、裕貴さん。起きてください」
「ん、よし、三十分経ったな」
冷蔵庫をバァンと開け放ち、チョコモドキを取り出した。こうしてみると普通のチョコに見えるもんだから驚くよなぁ。
一口サイズに切ると、それを俺に差し出してきた。え、食べろと?
「だ、大丈夫です。お先にどうぞ」
「お前の為の物だ。俺が食ったって意味がない。そら」
俺の開いていた口に放り込んだ。まずいと思っていたが、意外と美味しい……あれ、これってあのとき食べたチョコだ…!??
どういうことだ? また女体化の薬か? そんなことしても意味がな―――あれ眠い。
「あとで運んどくから、はよ寝ろ」
「せめ、て理由を…」
「あぁ、お前を女体化させたときに入れたものを再現すればできるんじゃないかと今更ながらに気づいて、今それをテストしているところだ。いやあ憎き幼馴染の為のチョコなんて作りたくなかったから、薬といろいろ適当に入れたのに今回結構いい結果に――」
寝そうな俺に配慮して早口で言ってくれたが、途中で寝落ちする。
最後に見えたのは、裕貴が子供のように目を輝かせているところだった。
読んでいただきありがとうございました。
裕貴の薬は変なものを直感的にぶちこむと出来ます。




