↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
二十話「映し繋がる呪いの道」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

841/1515

手がかり

「というわけでどなたか心当たりはありませんか?」


「んー・・・心当たりかぁ・・・呪いに詳しい魔術師って言われてもなぁ・・・」


康太と文はその日の調査を一度切り上げて支部長のもとを訪れていた。日本支部の中で一番魔術師のことに詳しいのは彼だと思ったのだ。


実際支部長はコネを多く有している。呪いに対して詳しい、あるいは呪いが得意な魔術師ならば紹介してもらえると康太と文は期待しているのである。


「これは聞いていいのかわからないけどさ・・・君たちの場合アリシア・メリノスに聞いたほうが早いんじゃないのかい?彼女ならすぐに答えてくれると思うけれど?」


「それはそうなんですけど・・・なんか困ったらアリスにすぐ聞くっていうのはちょっと違うような気がして。実際本部もそれを期待して俺らに依頼してきたんでしょうけど」


「協力し合うことはあっても金魚の糞になるつもりはないので。そのあたりを察していただけるとありがたいです」


康太と文の言葉に支部長も何かしら思うところがあったのかなるほどねとつぶやいてから小さく息をつく。


二人の考えやその思考の仕方に何かしら思うところがあったのだろう、その気持ちを無碍にするわけにもいかないらしくどうしたものかなと唸り始めてしまっていた。


「正直に言うとさ、呪い関係が得意な魔術師ってあんまり知らないんだよ。協会内部にいることは間違いないだろうけど・・・僕も協会内の魔術師全員の得意な系統を知ってるわけじゃないからさ」


「まぁそれもそうでしょうね・・・一人くらい知り合いがいるかと思ったんですけど・・・やっぱりそううまくはいきませんか・・・」


いくら支部長が日本支部を統括している人間だとしても、日本支部の魔術師全員の得意不得意を把握しているわけではないのだ。


加えて言えばそもそも協会に魔術に関しての得意不得意を報告する義務などはない。そのために支部長もどの魔術師がどういった魔術が得意かなどは知らないのだ。


知っているとすればそれは個人的に関わりの生まれた魔術師があげられる。例えば康太たちを例に挙げれば封印指定百七十二号の力を扱えるだとか戦闘に特化しているなどの情報が出てくるだろう。


逆に言えばその程度なのだ。呪いの得意な魔術師と言われてもポンポン出てくるほど支部長も顔が広くないようである。


「すまないね、役に立てなくて・・・君らの師匠には話は聞いてみたのかな?」


「はい、大まかな呪いの理論とかは理解しましたけど・・・問題なのはそれをどうやって意図的に目的の術式を飛ばせるようにしてるのかっていうのと、どうやって解析すればいいのかってことなんです」


「そこで呪いの基礎を教えてもらえれば何かきっかけになるのではないかと思ってこうしてきたわけです」


二人の考えと何をしたいのかを理解して支部長は再び唸りだす。二人が知りたいのが呪いの基礎的な技術だということを理解し、誰か紹介できないだろうかと記憶の中を探っているのだ。


呪いを使える魔術は多く存在する。呪いというカテゴリーに大別されている魔術は割と多くの魔術師が覚えているのだ。


問題なのは康太たちが知りたがっているのは呪いの基礎、いや原点とでもいうべき現象から発生する魔術という項目だ。


現代においてそのような形で魔術を発動するものはかなり少ない。


何せそれは時代や技術に逆行した考えなのだ。


現象から術式を抽出することで、魔術師は効率よく魔術を発動することができるようになった。


それをわざわざ術式を含んだ現象に戻して発動しようとしているのだから。


「呪い・・・呪い・・・しかもただの呪いじゃなくて現象から発動させる古いタイプの呪いと来たか・・・んー・・・ん?待てよ・・・?」


支部長は何やらファイルを取り出してその中身を流し読みし始める。ページを荒々しく飛ばし自分が読みたい部分を探し出していると「あったあった」と満足そうな声を出して康太と文にそのページを見せてくる。


「ちょっと前だけど、こういう報告書を出してきた魔術師がいたんだよ。魔術の歴史書。その中に魔術の原点、つまり現象から発動するタイプの魔術も記されてた」


支部長が見せてきたファイルの中には提出されたという報告書の概要が記されていた。


どのようなものであるか、そして何が書かれているのかを記したあらすじのようなものだ。このようなものを書くものもいるのだなと康太と文は少しだけ感心してしまっていた。


「魔術の歴史書・・・?歴史の教科書みたいなものですか?」


「まぁ似たようなものだね。それぞれの魔術の原点とかルーツとか、あとは日本の陰陽道に関してのこととかいろいろと紹介されてるんだけど、その陰陽道の中に現象から発動する魔術の項目があるんだ」


「へ?陰陽道に?」


かつて京都などで活躍した陰陽師が使う魔術、陰陽道。それらの歴史を紐解いたときに現象から発動するタイプの魔術が混じっていたような記述を見つけたのだという。


康太と文が知っている陰陽道とは、単純に言えば未来予知である。未来を知ることによって現在で行動し、悪いことが起きる未来から遠ざかるというのが陰陽道の最も基礎的な考え方だ。


その中にも魔術の根源たる『現象から発動する』という事柄が含まれているとは知らず、康太と文は目を丸くしてしまっていた。


「占星術とかを混ぜ合わせているとかいう話もあるけれど、昔陰陽師が術を発動するときに祭壇とかを使ったっていうじゃない?それに似たものなんじゃないかな?」


「・・・なるほど・・・確かにそんなイメージあるわ」


陰陽師が紙きれの付いた棒を振りまわしながら何かの祭壇に祈っているような光景を思い浮かべた康太は納得してしまう。よくよく考えれば陰陽道も一種の魔術なのだ。むしろほかの魔術よりもそういった記録が良く残っているかもしれない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。