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ポンコツ魔術師の凶運  作者: 池金啓太
二十八話「対話をするもの、行使するもの」

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危険なセット

「二人とも、ちゃんと探し物してるの?」


そこにやってきたのはチームメイトのツクヨだった。


康太たちの危険度の判断に関してはおそらくもっとも情報を持っていると思われるツクヨの登場に、サニーとエトラはちょうどいいから意見を聞きたいところだった。


「ツクヨ、ブライトビーについてどう思う?」


「どうって・・・質問の範囲が広すぎるんだけど・・・」


「一緒にいても大丈夫な人間かどうかって話だよ。今回は一緒に行動してるけど、次回以降があった場合について」


「・・・その話、今しなきゃいけないこと?」


今は情報収集を優先してするべき時でもある。だがその合間にちょっとした話くらいはしても問題はないという考えを持っているのも事実だ。


体は動かしながら話をする。ただそれだけの話である。


「まじめな話なんだよ。これが終わったタイミングで次もよろしくなんていわれたら、さすがに困るだろ?」


「・・・そのタイミングで次はないっていうこと?」


「それを今話し合いたいわけ。もちろん探し物は続けるけど」


何かめぼしいものがないか探し物は続けているが、今のところ食料や誰かの私物といった一般的なものしか見当たらない。書類や情報の詰まった端末などはまだ見つけることはできていないのが現状だ。


机や椅子などを退けたり、飾られている絵などの裏側を調べたりなどしているが、一向にそれらしいものは見当たらない。


「お前の師匠がブライトビーのことに関しては詳しいだろ?それ経由でいろいろ知ってるから意見聞きたいんだよ」


「私の師匠が詳しいのは彼の師匠のことだけど・・・似たようなものかもね。個人的には敵に回さないほうがいいとは思ってる」


「それは私たちも同意ね。こんなことができる人間を敵にしたいとは思わないわ」


大した時間もかけずに十人程度の魔術師をほぼ瞬殺している。これほどの戦闘能力を有する魔術師を敵に回したいなどという酔狂な魔術師はこの場にはいない。


だが問題なのは今後一緒に行動することがあった場合の話だ。


「俺はブライトビーとは可能な限り距離を置いたほうがいいと思う。実際問題危なすぎると思うんだ」


「それは面倒ごとに巻き込まれる的な意味で?それとも一緒にいること自体が危険だってこと?」


「ぶっちゃけ両方だよ。考えそのものが危なすぎて近づきたくない・・・すごい魔術師だっていうのはわかるよ。でもだからこそやばいって思う」


エトラの反応は正直なものだった。索敵を行っている人間だったからこそ分かるその恐ろしさというものがあるのかもしれない。


少なくとも彼は考えを変えるつもりはないようだった。


「具体的には、今後彼と同じ依頼は受けないっていう考えの方がいいの?」


「そうできればいいけど・・・あの反応見る限り、ブライトビーは支部長のお気に入りだろ?」


「お気に入りといえるかは微妙だけど・・・デブリス・クラリスより扱いやすくて、なおかつ戦闘能力が高いっていう意味で重宝はされてると思う」


「そうなると、支部長の依頼を受けると自動的にブライトビーがついてくる可能性も高くなるわけよね?さすがに支部長からの依頼を蹴るのは個人的には反対なんだけど」


組織に所属している時点で、その組織のトップからの依頼を断るのはいろいろな意味で良くない状況だ。

だがエトラの言うこともわかるだけに悩ましいことである。


康太が支部長とのつながりが深いのが問題でもあるのだが、少なくとも現時点で康太を避けるだけの状況が思いつかないのが一番の問題だった。


「一つ思ったんだけど、ブライトビーはどういう目的で魔術師やってるんだ?それがわかればうまく避けられるんじゃないか?」


「あんたね、他人から魔術師としての目的を聞かれてほいほい答えられる?そういうのは身近な人間にしか教えないでしょ?」


身近な、所謂仲間くらいにしか魔術師となった理由や、魔術師としての目的を話すことはない。


そんな風に身近な人間になれば間違いなくこき使われるだろう。そうなるともはや康太と距離を置きたいという目的からは大きく外れる。


「いっそのことすっごい使えない人間だと思わせるのはどうだ?そうすれば次一緒に行きたいとか思われないんじゃ」


「もうすでに遅い気がするけど・・・それに彼、精霊術師を連れてるじゃない?」


「あぁ、トゥトゥエルだったっけ・・・彼すごいわよ?あっという間に相手を制圧してたもの。水の術に関しては彼を超えるのは至難の業じゃないかしら?」


「才能があるから目をかけてたんじゃないのか?それで頭角を現したとか」


「才能があるってわかってても、精霊術師にあそこまで信頼されるようになる?身内に対しての扱いで言えばブライトビーはかなりまともなほうだと思う。たぶん敵には厳しくて身内には甘いタイプ」


「けど身内になったらこき使われる・・・敵でも味方でもない立ち位置が一番いいんだけどなぁ・・・」


敵でも味方でもないその立ち位置を維持することがどれだけ難しいことであるのか、エトラも理解はしているようだった。


支部長の依頼を積極的に受けている康太の敵になるということは、支部長の意に反した行動をとるということだ。それは常に気をつけて行動していればいいが、味方になるということがあり得るのだ。


支部長の依頼を受けると強制的にセットで康太がついてくる可能性があるのだから。


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