すずの奮闘記4
「あんまり覗き見は趣味が良くないと俺は思うよ?お二人さん。」
えっ、もしかしてさっきまで門の前にいたやつかな?振り向くのが怖い。でもそのままでいるのもそれはそれで怖いものがある。勇気をもって振り返るとそこには明らかに今までの奴とは違う気配の男だと確実に理解できる。
すずは一体これからどうなってしまうのでしょうか?ああ、お父さん、お母さん、今までありがとう。私はまだこんなに若いというのに先に...
「おい、お前は何者だ!さっさと消えろ不審者め!」
有栖さんが思いっきり殴りかかっていた。せめて最後の言葉ぐらい心の中で言い終えてからにして欲しかったな。
「おら!はあ!うりゃ!とぉや!」何回も殴っているが今まで会ったやつと違い、全然消えない。どうなっているの?
「どうなってるんだ?これだけ殴っても消えない何て」
「そんなの当たり前じゃないか。全く、上級悪魔を舐めないで欲しいものだね。まぁそんな事言っても二人は知らんがなとか思ってるんだろうけどさ」
「上級か何だか知らねぇけどちょっと耐久高いだけのやつに負けるかよ!」
「どれだけやっても無駄なのに懲りないね。全く、あんまり怖がらせるのは趣味じゃないんだけどな、絶対芽依ちゃん辺りからどやされるし。まぁいろいろ押し付けてるからその腹いせみたいなところもあるんだろうけどさ」
この悪魔はどうやら上級とやらで、効かないと本人は言ってる。友梨さんとは仲がいいのかな?それにしてもびくともしてないような...いくら上級だからってこれじゃ格がまるで違うよ。何であんなに殴られてるはずなのにあそこまでお喋りでいられるのか?
「有栖さん、私がやってみる」
「おう、少し疲れた。ちょっと任せる気を付けろよ。」そう言って、私と交代した。
私は竹刀を再び手もとに出すと、一直線に打ち込んだ。何回も何回も叩く、しかし、それでも効いている様子は微塵もない。
「いい加減諦めたら?そもそも格が違うんだよ。」
「私等とお前とじゃ格が違うと?」
「それもあるし、何より悪魔の格だね。雑魚の悪魔程度の力で負けるようじゃ上級とは呼べないんだよ。格とは、位とは悪魔において絶対の基準であり、それを越える力は無いんだよね」
なるほど、確かにそうだ。同じ格闘家でも素人とプロでは強さが全然違うし、何より攻撃何て通らない。それと同じで、いや、それ以上に勝てる可能性は無いということか。努力でも何でもしたところで能力が効かないのだからどうしようもない。
この悪魔は一体何をしにここに来たんだろうか?それよりもどうやってこの状況から抜け出そうか?この悪魔が考えていることはなんだろう。それについて会話をして少しでも延命を試みるべきだろうか、幸いにも彼は会話が好きらしいし何よりまだ手を出してきていない。これはうまくいけば何とかなるかも。
「有栖さん、とりあえず殴るのやめて」
「はぁ?何を言ってるんだ桐津、こいつはどうするんだよ」
「殴っても意味がないし、何より敵意が多分無いと思うよ」
「ん?そっちの子は状況を理解出来たみたいだ、聡明な子は説明が楽になるから好きだよ。」
とりあえずここまではセーフ。それに敵意も無いらしいから、可能性として考えられる手下の敵討ちでは無いみだね。となると、暇潰しか、契約か、或いはこの幽霊騒動の首謀者か?
「えっと、私友梨さんと同じクラスの桐津 すずって言います。私達に何の御用でしょうか?」
「これはご丁寧に。俺は上級悪魔クラソー。蒼太と呼んでくれてもかまわない。さて、要件と言ってもまぁ実は無いようなものなんだけどね」
「なら何しにここに来たんですか?」
「そんなに怯えなくてもいいんだけどな、まぁここに来た理由は芽依ちゃんに忠告と覗き見犯の注意かな」
思ったより私達に危険は無いみたい。良かったー生きた心地がしなかったよ。
「じゃあもうこれで私達帰ってもいいんですよね?」
「途端に明るくなったな。そんなに俺って怖い?」
「見た目は普通ですけど気配が恐ろしいです」
「副会長ちゃんもびびるんだよね俺のこと。芽依ちゃんは特にそんな事ないから気楽なんだけどさ。」
何であの人普通の人と録に喋れない癖にこんなに恐ろしい人と平気でつるめるんだろう?もしかして人間不振とかなのかな?
と言うかもしかして副会長も私と似たような力持っているのかな?
「副会長も幽霊とか見えるんですか?」
「見えるね。それに戦う力も持ってるよ、正真正銘の努力の賜物ってやつをね。でも俺は誰にでも見えるよ?気配的なのは感じられないけどね」
この気配を感じないだけでずっといるにはいたのか。恐ろしい話だ。
「へー、そうだったんですか。と言うことは頻繁にここに?」
「まぁ暇だからね。ここなら芽依ちゃんや悠太とか話せる人もいるからね」
「悠太?一年生にそんな人いましたっけ?」
「ああ、悠太は弟だね。現役幽霊で友梨ユニット所属のナンバーツー何だってさ。まぁ順番は印象順らしいけど。」
ひとつだけわかった。この人は面白い人?悪魔だ。多分未だ見ぬ世界を見せてくれるだろう。それってとってもワクワクすることだよね。
「えーと、この悪魔は大丈夫なのか?」
「うん、有栖さんにも私にも、他の人にも危害は加えないと思うよ?」
ああ、喜びがとどまらないよ。
有栖「本当の本当に大丈夫何だな?」
すず「ん?もしかしてびびってるの?」
有栖「私がびびるだと?舐めるなよ!」
蒼太(信用ないなー俺。)




