すずの奮闘記2
とりあえず今の状況を整理しようと思う。
まず今さっき殴り倒されたのはランプの精ではなく悪魔である。そして金剛さんは悪魔を殴り倒せる力を持っている。さらに私の目には普通見えてはいけない類いのものが見えてる。
理解は出来た、したくはないけれど。まさか経験することを第一とする私が認めたくないものがあるだなんて、世界は広いというか...諦めよう。
「んで、お前はこれからどうするきだ?」
「どうするとは?私は別に特に何かしようとは...」
「それなら私に付き合え!これからこの辺りの幽霊とかを殴って力の使い方を試そうと思ってんだ、友梨の知り合いならお前も変な力とか持ってるんだろ?」
何故か変な期待をされているけど、私には無理だよ。まぁそりゃ他の人に比べたら出来ることは多いかも知らないけどさ、それでもオカルト系は専門外だから。はぁ、もっと真剣に聞いとくんだった。
そんなわけで私は金剛さんに付き従って校舎内を走り回った。そして、余りの幽霊の多さに身の毛がよだった。結構な頻度で幽霊に会うのは、まぁ何とか耐えることが出来たけども、私の教室についたとき、私は軽く目眩を伴った。恐ろしい見た目の幽霊が隙間の無いぐらいびっしりと居たんだもの、悲鳴を上げなかっただけ誉めて欲しいぐらいだよ。
因みに金剛さんも流石に少し引いて、「絶対これやったの友梨だろ」と呟いていた。
確かにこれが見えていたなら気分も悪くなると思う。
しかし、それだけでは終わらない。まぁ他の幽霊を倒すように金剛さんが乗り込んで殴りかかっていったのだが、何故か他の教室で見たのとは違って一発で消えなかったのだ。それだけでなく、反撃もしてきた。
あの狭い教室一杯に入っていた幽霊は教室から飛び出すと四方八方、それこそ天井や床からも攻撃を仕掛けてきた。流石にこれは金剛さんでも無理だろうと逃げ出そうとしたわけだけど、まぁ私だけが逃げ出せるほど状況は甘くはなかった。
幽霊に囲まれてどうしようもない私は金剛さんが幽霊を退治してくれるまで避けることに専念することにした。対抗能力は無くても経験値だけはいっちょまえにあるつもりの私には、避けることなどさして難しい事ではない。それに、体力だけなら多分この学校でもトップクラスにはあるのだ。きっと何とかしてくれると信じてひたすら避け続けた。
暫く避け続けて、いると金剛さんが減らしてくれたこともあり、わりと密度が薄くなったことを実感出来るまでになった。
「あーもう、殴っても殴っても減ってる気がしねぇ!いい加減くたばりやがれ!」
「頑張って金剛さん。結構減ってきてるからもう少しだよ」
「うん?そうか、と言うか今までずっと避け続けてるのか、わりと体力あるじゃん、流石は友梨の知り合いなだけはあるな!あー、これならこいつにも除霊見たいな能力を渡せれば楽になったのに。」
いや、そんな力貰っても私の攻撃力じゃ無理なんじゃないかな?と言うか除霊って物理攻撃が普通なのかな?もっとこうお札とか祈祷とかで祓うものだと思ってたけど、夢がないと言うか現実的だと言うべきか、悩まし所だと思う。
そんな事を考えていたからだからだろうか、不意に幽霊が床から飛び出し、驚いて転んでしまった。それを見逃す幽霊などではなく、一斉に襲いかかってくる。咄嗟に目を閉じて腕を交差してガードをとる、しかし、すぐに来ると思った攻撃は未だに来ない。
恐る恐る目を開けて見てみると、目の前には先ほどの見たランプの...じゃなくて悪魔に良く似たものがいた。
「あー、えっと助けてくれてありがとう?」
「やっぱり魂回収しまくれるフィーバータイム発生中だと思ってるんだけどお前さんはどう思うよ」
「え?すずとしては悪霊に集られるのはごめんかなって所かな」
「まぁ人間からしたらそうか。そうだ、願いを叶えない?今なら悪霊その他諸々を祓える力が望むだけで貴方の物に!」
えっ!いや、大丈夫なのかな?これ魂とられる奴だよね絶対
「大丈夫、安心していいよ。ちゃんと願いは3個叶えるからまずはお試しって事でさ?今必要でしょ?」
「えっと、でも私そんなパンチとか強くないし...」
「思い描いた通りの能力になるから安心していいよ。殴らなくても触れたらとか念じたらとかまぁ自分のイメージ次第だね。」
あっ、成る程。別に物理攻撃だけじゃないんだ。確かにこの機会を逃して命の危機に...ってそうじゃなくて何で賛成しようとしてるの私、断らなきゃ
「今しかないんですよ?この機会を逃せば貴方はこれから先後悔しますよ?こんな面白いこと一生に一度きりぐらいでしょうしね」
一生に一度きり。これを言われてしまっては仕方がないのかも知れない、私はもうこの契約を結んでもいい気がしてきた。と言うかそうすると気分が決まった。
「じゃあ幽霊見たいな霊的な物に全て効く力で、条件は私が触れる事と、私が触れたものに触れる事」
「えっとそれってつまりバット持ったまま振り回したら退治出来るみたいな?」
「そう、正にそんな感じ」
「ホイホイ了解」そう言うと、私の中に何かが入ってくるような気がした。
「もう使えるの?今いった力が」
「もちろん。悪魔に二言はないよ。次の能力も言っちゃう?」
「じゃあ次の能力は...」
ああ、これが悪魔に魂を売り渡したってやつなんだね。
すず「こうなったらとことん一生に一度を堪能するつもりだよ!」
金剛「まぁ頑張れよ」




