私、神戸へと向かう5
時は来た。今こそ私の本気を見せてあげようじゃあないか。
時刻は現在夜8時、辺りはすっかりと暗くなり時々風の音が静かな空に鳴り響く。そんな中、墓場に1人ポツリと立つ人がいた。準備を初めて早数時間、流石の私も少しは応えたね。
「さて、私主催の肝試しを始めようかな」
「まぁ仕掛けの殆どは俺が考えたんだけどね芽衣ちゃん」
「細かい事は良いとして、さっそく呼んで来るとしようじゃあないか」
こんなテンションで夜の墓場にいたものだから、近所の人曰く独り言をまるで談笑してる様に話す少女が1番不気味だったそうだ。
とまあそんな話は置いといて、驚かす人の組み分けをしようと思う...くじ引きでいっか。
そんな事を考えながら一旦帰宅して、「そろそろ準備出来たから来て」とだけ伝えて墓場へ帰ってきた。
「やっと最終準備が出来たか。本当に面白いんだろうな?」
「お爺ちゃんは腰を抜かさないように気をつけてね」
「ふん、そんな子供騙しに驚くような歳でもあるまいに」
そう言ってニヤニヤするお爺ちゃん。よし、手加減はやめよう
今ここに集まっているのは全員で8人いる。なのでクジでメンバー決めをして貰った。
1番手、大悟(父)&太陽の親(父)
2番手、麻衣(母)&彩月(祖母)
3番手、太陽&太陽の親(母)
4番手、満月&健治(祖父)だ。
ライトには悪いけど本気で行かせて貰うから許してね。
と言うかお爺ちゃんも怖がらせる方の人だからもしかしたら追加で驚かされてたりしそう。出来れば嫌いにならないで欲しいな。
「えー、お集まりの皆さん。今回のルールは墓地の奥にあるお札を取ってくれば終わりという簡単なルールです。頑張ってください」
そういった後、私は持ち場に戻った。
「あれ?芽衣ちゃん1人で挨拶出来たの?」
「私だってそれぐらい出来るよ」
「従兄弟の家族とはまだ話せなかったのでは?」
「あっ、全然意識してなかった。大きな前進だね」
最初は父親コンビだから普通に驚かせばいいか。それにしても結構お酒飲んでたけど倒れたりしないかな?
とりあえずマネキンを動かして様子を見よう。
「ん?どこの子だ?僕、危ないからお家に帰りなさいな」
「こんな時間に子供がいるわけないじゃないか、酔っ払ってるんですよ」
そんな事を言って全く驚かなかった。しかもあのマネキンの格好どう見ても女の子なんだけど...ダメだねありゃ、撤収
それから提灯を飛ばしたり耳元で拍子木を打ち鳴らしたり色々やったが驚かなかった。
そして、お札の置いてある所まで行って、何をするのか忘れて暫く悩んだ後、そのまま帰って行った。
なんか目的はお札を取らせないことだから結果成功したけど納得行かない。試合に勝って勝負に負けた気分だ。
次は親子コンビだ。
母親はビックリしていたけど、お婆ちゃんはビックリしなかった。心臓の強度が違うね。まぁお札を取ろうとする瞬間に札が避けたらビックリしてくれたけど...それにしても怖がらせるって案外難しいね。いっその事布で幽霊作った方がマシかな?
と言うわけで次も親子コンビだ。
太陽が猫じゃらしと拍子木でビックリして提灯を見たら泣いてしまった。母親の方は布を被った1番が出たり消えたりを適度に行うことで、驚いていた。こんな単純な仕掛けで良かったんだね
さて、そんなこんなで最後の不憫チーム
既に満月は泣いております。なんでも夜の墓場には本物の幽霊がいて、悪い子にはお仕置きをするのだとか。まぁ前半は間違ってないかな。後半は悪い子ではなく悪い大人だけどね。
まずは初めに「動くマネキン」で様子見。
...おっ、ちょっとビックリしてる。あのマネキンが動くのはどういったカラクリだとか呟いてる。あー、そうか自分で集めた品々だもんね。流石に不思議に思うよね。
次は「布幽霊と提灯~金縛りを添えて~」だ。
急かせかと早く終わらせたい満月には悪いけど一旦停止してね。
出たり入ったりを繰り返して驚かす。途中氷も追加して見たら、満月手が付けられない程大号泣で、お爺ちゃんも少し驚いてた。けれど、動けるようになった途端布幽霊を殴ったり引っ貼ったりして仕掛けを探り出した。まぁ既に1番は離しているのでただの布だけどね。
次は「死角にはご用心」だ。
要は擽りと拍子木である。けれど、これはあんまり上手く行かなかった。何故なら擽りは虫と思われ、音は満月鳴き声に消されてしまったからだ。
その次は「彷徨う亡霊」だ。
様々な小道具が辺りを動き回るのだ。下駄が誰かに履かれているように動いたりだとか空き缶が1人でにころがったりと言ったものを用意した。
満月もう1歩も動けなくなり、祖父は困り果てていた。満月の為にリタイアするか意地でも最後まで見てみるかである。
結果満月を背負いながら見事最後まで辿り着いた。そして、お札を取ろうとした所で不思議が動きバランスを崩し、そこにビックリした満月が暴れ出した為、祖父の背中に大ダメージ。
結果腰を痛めたけれど、まぁ程度の軽いものなので良しとしようじゃあないか。
「私の肝試しでビックリしてくれてありがとう」(2番)
「芽衣さんは本当は恐ろしかったと言うことが分かりました」
「お、俺はビックリなんてしてませんよ芽衣さん」
「それは残念だな。折角頑張ったのに...」
「いえ、本当はとっても怖かったです。強がりました。」
フレア君はきっとチョロいな
ああ、楽しかったです。




