閑話:明けない夜のクリスマス1
クリスマスの話を多少強引に持ってきたので、
芽依ちゃんが成長したりしてます。
明日も出す予定です。
さあ今日は、待ちに待ったクリスマスイブだ。
駅前の商店街には朝からクリスマスソングが流れており、
心なしか道行く人も、ウキウキとしていた。
高校生にもなり、新しい友達や恋人と共にカラオケや、買い物に行く人も多いだろう。
まぁ私は、友達にクリスマスに合う予定はない。
今までもそうだった。ボッチだからね。
さて、そんな中特にクリスマスに思い出があるわけでもない
私が今何をしているのかと言うと、仕事である。
バイトでトナカイの格好をして、駅前で風船配りをしているのだ。
別に金欠で働いてるとかではない。
これは、ある依頼で頼まれた事をやっているだけなのだ。
その依頼とは、人に夢を与えること。
それだけ聞くと、なに言ってんだこいつと思うが、
まぁ言ってみれば、クリスマスにサンタの格好とかで風船を配れば子供に夢を与えたとかで条件を達成出来るらしい。
そんな事勝手にやればいいとは思うが、そうも行かないのが幽霊事情である。
まぁ勝手に風船が手元に飛んできたら恐怖だもんね。
そして、イブの1日だけでいいとの事なので、私は引き受けた。
朝から商店街に行き、サンタ服を受けとるもブカブカでうまく着られ無かったので、仕方なくトナカイを着て、
かれこれ三時間近くここで風船を配っていた。
依頼人も満足そうにしているので、ひとまずこれでいいだろう。
「そろそろ風船追加で膨らましとくね」
「あ、よろしく」
「取り敢えず~、20あればいいよね~」
そんな感じでかなり緩くやっていた。
そして、子供が通るときに風船を渡す。
流石の私でも頻繁に人と話していれば(2番が)、少しは私本人でも話せる様になる。
まぁ短い単語とかならだけどね。
「風船をトナカイが配りに来たよ!」
「メリークリスマス!」
等の言葉を一言いいながら笑顔で風船を渡す位なら何とかなる。
これが半年の成果である。
会話ですか?無理ですね。
昼になる頃には、人通りが更に激しくなっていった。
最初は商店街の名前が入っていた風船も今では百均で買った風船になっていた。
それにしても、冬のまっただ中であって、少し寒い。
周りのサンタの格好をしている人たちはくしゃみをしている。
割と薄手の生地で出来ていたし、服の袖とかから風が入って来るそうだ。
因みに、トナカイは分厚く丈夫な上下が引っ付いた服で、モコモコのフード付き。
見た目を気にしなければ、最高であると断言出来る。
昼メシには、商店街の会長が差し入れに持ってきてくれた肉マンを食べた。とても体が温まる、素晴らしい昼食だった。
そんなこんなで気がつけば、辺りがうっすらと赤く染まり出した。
この仕事は夕方までなので、私は服を返しに倉庫に向かった。
「ああ、お疲れ様。ここに畳んで置いといてくれればいいからね」倉庫にいたおばちゃんに置場所を聞いたので、着替えてその場所に置いた後、外に出た。
「いや~、さっき夕方になったばかりの筈なのに直ぐに暗くなるね」
「まぁもう冬だしね。冬至からもまだ2、3日しかたってないからね。」
「それにしても芽依ちゃん、なかなか面白い体験だったね」
「そう?まぁそれで満足してるならいいけどさ」
そんな雑談をしながら家へと向かう。
辺りにはキラキラとしたイルミネーションが飾られており、その中をカップル等が通りすぎていった。
べ、別に羨ましく無いしね。
そんな思いを端へと追いやり、30分も歩けば家に着いた。
もうヘロヘロになった私は、ベットに倒れこんだ。
朝から立ちっぱなしでやっていたから棒のようになっている気がするほどである。
仰向けになって天井を見ると、そこにいた笑顔の依頼人と目があった。
そういえば依頼でやっていた事を思い出した私は、聞いてみる事にした。
「あの?依頼はこれで完了ですよね?」
「そうなります。わざわざありがとうございました。沢山の笑顔を見れて良かったです。」
そう言って、彼女は空へと舞い上がっていった。
成仏しないのかとは思ったが、まぁ報酬は貰っているので気にしない。
因みに報酬はスノードームだった。
中にはサンタとトナカイの人形が入っているモノだった。
本人曰く、宝物だったのだとか。
まぁ気にせず貰っておこう。
机の上にスノードームを置いた後、疲れていたので眠ったのであった。
目が覚めると、まだ夜だった。
「あれ?まだ夜?今は...」
時計を確認すると、7時だった。
「あー、もしかして1日寝てた?起こしてくれればいいのに。」
そう言って、近くで寝ていた1番を起こした。
「うん?一体何のようなんだ!まだ寝足りないんだがな!」
若干空元気ながらも1番は答えた。
「いや、何で起こしてくれなかったのかなと思ってさ」
「何故ってそりゃ寝てるからに決まっているからだな!」
「流石に1日は放置しすぎでしょ」
「1日?まだ7時間位しかたっていないけどどういう事なんだ?」
「だって今7時だよ?」
「7時ならちょうど寝始めた位の時間だな!時計でも止まっているんじゃないのか?」
成る程、それは考えなかった。
そう思い、スマホの時計を見ると、やはり7時だった。
「ねぇ、やっぱり7時だよ?」
「7時何分なんだ?」
「ちょうどだよ、何でそんなこと聞くの?」
「すでに話はじめてから5分はたっているからだな!」
それがどうしたと言うのだろう。
そう思い、再び画面を見るも、そこには7:00とかいてあった。
但し「12月24日」のである。
ああ、一体どういう事なんだ?




