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__、キメます!! 【後】

前篇より長くなってしまいました。

たぶん、初めの予想は全編通して7000~8000文字だったので、前編分くらい加筆しました。


 ローデオ様が毎日お帰りになれば、リオナール様のブラコン度もグンと下がります。

 例えローデオ様のお戻りが遅くても、このお屋敷に帰ってくるという安心感からか、それとも滞在時に発生したローデオ様の気配を吸い込んでいるかはわかりませんが、とにかくリオナール様は『普通』の状態でいられるのです。

 最初はわからなかったその気持ちですが、わたしもリオナール様と一緒に暮らす(失礼、お仕えする、の間違いですね)ようになり、お休みの日を頂いてもちっとも嬉しくないようになりました。

 わたしが休みの日は、別のメイドがいそいそとリオナール様に付いているのですが、それを考えるだけでも枕を連続パンチしてやりたくなるほどです。


「お休みいりません!」

「規則です」


 執事様との話し合いは、一瞬で終わりました。

 わたしがここにいるためには、規則違反はご法度なのです。


  

 そんなある日、珍しいことにリオナール様が十日ほど地方へ行かれることになりました。


「陛下直々のご指名だ。頼むぞ」

「もちろんです、兄上」


 出発の朝、ローデオ様に激励され、リオナール様は朝日を背に受け、神々しい微笑を浮かべ一礼して出仕されました。

 門に続く道は隆起しており、リオナール様のお姿が見えなくなるのは短い間でしたが、わたしはただただじっと見つめておりました。


 いただきました!! やはりすてきです、リオナール様!


 先ほどの微笑を妄想コレクションにするべく、無心で脳髄に刷り込んでいたところ、そんなわたしを心配そうなローデオ様の声が呼びました。

「エル、大丈夫かい? リオナールは、視察に訪れている隣国の外交官の護衛に選ばれただけだ。戦いに行くわけじゃないから、そんなに心配しなくていい」

「お、お心遣いありがとうございます!」

 まさか妄想コレクションにするため、無心で何度も思い返していましたなんて言えません。あ、執事様はやや疑っていますね。さすがです。



☆☆☆



 で、リオナール様のいないこの『平和』な時期に、ローデオ様にとってもメイデン侯爵家にとっても大切なことが秘密裏に行われました。


 そ・れ・は――ローデオ様の婚約式です! はい、拍手!!

 そぉですよねぇ。リオナール様がいたら、それこそ寝る間もなく質問三昧(なぜ自分に秘密にしていたのか、とか)で、晴れやかな気持ちでお迎えなんてできませんものね。

 リオナール様がいないとわたしはとっても寂しいですが、そこはリオナール様が出張前夜に使用した枕カバーを拝借し、一晩抱きしめて寝ました。

 ええ、一晩です。

 翌日、リネン係りから枚数が足りないと報告を受けた執事様が、さっそくわたしに狙いを定めて奪い返しに来ました。

 その時のお仕置きとして、わたしは婚約式の給仕係りに選ばれたのです。

 まあ、お茶会の席をただ空気のように立って見ているだけなんて、確かに暇ですけどそこまでの罰とも思えませんねぇ~、なんて軽く考えていました。


 ら、ですよ!!


 新芽の香りがほのかにするテラスに用意された席に、メイデン侯爵ご夫妻とローデオ様。そしてお相手のリッテンラー侯爵ご夫妻と、ご令嬢様が入ってこられました。

 リッテンラー侯爵令嬢様は艶やかな金髪をハーフアップしておいでで、細い首筋から華奢な鎖骨ラインが丸見えです。でも、その下のお体は本当に女性憧れの凹凸をしておいでで、それでいていやらしさがないのです!!

 ぽってりとした唇と、やや恥らうように下を向く眼差しには長いまつげが際立っています。

 ただ、ちょっと似ている方を知っているのですが……ま、気のせいでしょう。あの方はきっと今頃、また誰かを凍らせるように震えあがらせているに違いありません!


 とにかく、ベアトリクス様は誰もが息を呑むほどの美女でした。 

 お年は二十二と伺っており、二十八のローデオ様ともピッタリです。


 でも、なぜこの年まで……いえ、結婚適齢期ギリギリまでお残りだったのでしょうか?メイデン家がずいぶん前から立候補していた……ようには思えません。

 なんせローデオ様が去年の夜会で一目ぼれしたそうですから。


 キラキラ輝く六人が席につき、和やかにお話が進みます。

 わたしは給仕と言っても、わたしは庭に続くガラス扉辺りに待機しているので、ローデオ様がご令嬢とお庭に出る(恒例のやつですね)時に扉を開ける係りです。


 そして気品よく気配を殺して待機すること数十分。

あ、そろそろわたしの出番のようです。


 ローデオ様とともに歩いてこられるリッテンラー侯爵令嬢は――たしか、ベアトリクス様は、香水もほんのり香る程度で、スッキリとした清々しい香りは初夏をイメージしてのことでしょうか。なんと好感度が高いのでしょう!

 

 恭しく頭を下げ庭に続くガラス扉を開いた時でした。


「おいで」


 とても小さな声でしたが、一瞬で体中の汗腺から汗が噴き出たように固まりました。

 恐怖に近い感情を頂いて固まっていると、執事様が「エル」と呼びながらバスケットを差し出していました。

 

 え? これを持ってお供しろと? 水を差すようで悪くないですか? ローデオ様はそんなに肉食男子ではありませ……。わかりました。睨まないでください。


 わたしは訳が分からないまま、幸せそうなお二人の四歩以上後ろを静かについていきました。

 ちなみに、あの殺気のこもったような威圧感たっぷりの小さな声はあれっきり聞こえません。なんだったのでしょうか……。 


 しばらく歩いた先に会った東屋で、お二人は仲睦まじくお話をされていました、その話題に出たものをローデオ様が持っているらしく、ベアトリクス様に見せるためにと席を立たれました。

「エル、ベアトリクスにお茶を」

「かしこまりました」

 そう言って二人っきりになった時に――事件は起きました。


「ベアトリクス様、冷たいお茶はいかがでしょうか?」

 おっとりした青い目がわたしを見て……。

「お前、まだリオナールと上手くいっていないそうね」

 射抜くような鋭い目へと豹変しました。

 青空のような印象の目が、今や色はそのまま極寒の風のようにわたしを凍らせていきます。


 べ……ベラリス様ぁああああ!!


 恐怖の絶叫です。

 この方、わたしの所属している部隊の伝説の五人の一人『氷姫』の異名を持つ方です!

 なぜこの場にいらっしゃるのでしょう! 今頃どこぞの誰かを恐怖で凍らせているかと思っていましたのにっ!!

 ふらっと現れてはターゲットの心を鷲掴みにし、そしてサッと消えてしまうのです。まるで、氷が解けるように相手の心に余韻を残して。

 ま、でも噂には早々なりません。

 だってその方は数日のうちには、居場所が牢になりますから。うち、仕事早いんです。

 ……でも初めてベラリス様の表の身分を知りました。うち、結構表の顔を知らない人多いので。


 酸欠魚のように口をパクパクしているわたしに、ベラリス様はため息をつかれました。

「お前のリオナールに対する変態的行動力を見込んで様子を見ていたけど、これではわたくしの輿入れの方が早そうね」


 サラッとわたし変態扱いされましたね。

 違うんですよ、ベラリス様。普段好意を思い切り出せないので、裏で出来る限りコソコソやっているだけですよ。あ、反論するなって睨まれました。


「ローデオとの新婚生活にリオナールは邪魔なの。リオナールをローデオ不足からの廃人にしたくなければ、もっと本腰入れていきなさい。わたくしを『お義姉様』と呼びたければね」

「え?」

「……なによ、その顔。――お前の他にもわたくしを『お義姉様』と公に呼びたがっている者は大勢いるのよ?」

「ひぇえええ! も、もちろん呼ばせて頂くなんてありがたいことです!! ぜひぜひこのまま頑張らせていただきたいです!」

 

今回の指揮権はベラリス様ですか!? めちゃくちゃあせりましたよ。

 

 わたしの慌てぶりに満足したのか、ベラリス様は微笑んでうなずきます。

「そう、ぜひ頑張って。 あまり執事を困らせるのではないのよ? 品は大事。お酒で寝込みを襲うのは最終手段の一回きり、ですからね。失敗は即交代よ」

「こ、心得ております!」

 深々と頭を下げると、またベラリス様のクスクス笑う声が聞こえました。

 不思議に思ってそぉっと顔を上げると、ベラリス様が悪い雪の女王のように微笑んでいらっしゃいます。

「あのリオナールがお前だけは除外しないのだから、もっと自信を持って良いと思うわ。近いうちにわたしくがチャンスをあげましょう」

 え? それはいつですか、と聞こうとしたらローデオ様が戻ってきました(なんてタイミングでしょう!)。

 あっという間にベラリス様の顔がベアトリクス様の顔になり、春の女神のように温かい微笑みに変わります。


「待たせたね。さきほどの本だよ」

「まあ、見せていただいても?」


 こうしてチャンスが何かもわからないまま、お二人は幸せな世界をたっぷり見せつけられたのでした。



☆☆☆



 婚約式が無事に終わり、王城へ提出した書類もあっさりと通ってお二人の婚約が認められた頃、ようやくリオナール様がお屋敷に戻ってこられました。

 道中は全く問題なかったそうで、まるで初めての遠足を経験した子供のように、ローデオ様にいろいろ報告するリオナール様。

そろそろお茶を飲みませんと。喉かわきませんか?


 それからは数日別段変わったことなく、いつものような日常でございました。


 この国に来ていた隣国の外交官様との交渉もいよいよ大詰めとなり、まず、メイデン侯爵様がお忙しくなられました。

 そしてすぐにローデオ様が、泊まり込みのお仕事をされるようになりました。


 リオナール様もよい年の大人ですから、三日は我慢できるのですが、それでも王城で一日一度はローデオ様にお会いしないとダメなようです。

 いつもなら執務室に行けば会えるようですが、ここ最近はローデオ様も会議や来客で執務室にいないことも多く、日を追うごとに、リオナール様の元気がなくなっていきました。

 いつも艶やかな銀髪も、今は輝きを失い灰色に見えます。

 騎士のお仕事はしっかりされておりますが、職場を離れると兄上大好き弟リオナール様はとたんに暴走を始めているようです。

 まあ、最近では元気がないので幽霊のようにさまよっている、と仲間から連絡が来ております。本当に心配です。

でも、その姿を見て、リオナール様を慕うご令嬢の恋心が冷めてしまうならラッキー! です。


 え? 逆に心配して寄ってきたら? 

 いえいえ、それはそれで問題ありません。

 なぜならローデオ様不足中のリオナール様は、ローデオ様以外の温もりは受け付けません。親切に声をかけても、それはローデオ様探しの邪魔をした、という認識になりますから、一発で嫌われます。

 でも、ローデオ様の周囲はどうしてしまったのでしょうか。

 仲間に聞いてみたら、ちょっと苦笑しながら口に人差し指をあてて「ごめん、圧力」と教えてくれました。

 あ、これきっとベラリス様のチャンスってやつかなぁ、なんて思ったりしましたが、弱ったリオナール様を襲うなんてわたしにはできません。

 例え上手くいっても、ローデオ様が正常(?)に戻れば、わたしはリオナール様から軽蔑されてしまうかもしれません。

人の弱みに付け込む行為は最低だ、と騎士道精神で叩き込まれているといいます。

 たしかにチャンスなんですが、わたしはリオナール様が本気で好きなので、リオナール様に嫌われるのが一番怖いのです。

 わずか数日の幸せよりも、ベラリス様から交代させられる方が日数的には長いのではないでしょうか。

 きっとわたしはリオナール様の前から消えてしまいますが、わたしは嫌われることなく、わりと良い印象で覚えていただけるのではないでしょうか。

 その選択肢があるからこそ、わたしは嫌われた時の恐怖が恐ろしすぎて、今回のチャンスと思われる事態をなかったことにして過ごしております。


 ああ、今日もリオナール様がお帰りになりました。


 執事様が玄関ホールでお迎えしておりました。

 わたしも急いでお荷物をお預かりに傍に駆け寄りますが、雨に打たれたらしく全身ずぶ濡れでございました。

 お湯の準備はできておりますが、少し熱めにした方がいいでしょう。

 執事様と男性使用人にこの場を任せ、わたしは熱いお湯を求めて足早に離れました。

 春の終わりの雨はまだ冷たいことも多いのです。

 弱った気力で普段ひかないお風邪など、リオナール様らしくありません。

自室についている浴室に執事様達がリオナール様を運び、濡れた服などを持って退室していきます。

 わたしはお体が温まるように、と温かいジンジャーティーとチキンと香野菜のトマト煮込みを包んだパイを用意して、リオナール様がお部屋に戻られるのを待っておりました。


 やがて濡れた髪のまま、ガウンを羽織ったリオナール様が戻ってきました。

 いつもなら心の中で歓喜しているのですが、今日はそれどころではありません。

 長椅子に力なく座ったリオナール様の背後にまわり、乾いたタオルで髪から水分をとっていきます。

「あ、あり……すまない、エル」

「おそれいります」

 頭を下げたわたしに、リオナール様がすまなそうに眉をさげました。

「ジンジャーティーと、チキンのパイ包みをご用意させていただきました。お体が温まるかと」

「ああ、もらおう」

 そこで、わたしは軽く髪を整えて、手を拭いて長椅子の前にある楕円テーブルに並べました。

 まずリオナール様はジンジャーティーを口にし、ほっと一息つくように目を閉じました。

「エル」

「はい」

 少し間を置いて、リオナール様は目を開けました。

「きっと……そう、近いうちに兄は家に戻ると思う」

「まあ、やっとお休みされるのですね」

 ですが、リオナール様の目はサッと横にそらされました。

「い、いや、そう、多分休めるだろう!」


 ……リオナール様、またいらんことを考えているのでしょうね。

 しかも根拠のないその自信はなんですか? どこから沸くのでしょうか? 謎です。自信の溢れる泉の水でもあるのですか。


「エル!」

「はい」

 力強い声に呼ばれ、わたしは内心ドキッとしながらも平静を保ちます。

「……その」

 言いにくそうに一度言いよどんだものの、やや頬を赤らめて恥らいつつ口を動かすリオナール様。

「お、お前はきれいだ」

「!」

 わたしの体がビクッと震えました。


 いやおうなしに高まる期待! これは期待していいですよね!?

 しかも、わたしは何もしていませんよ。決して弱みに付け込んだりしておりません!


「お、お前は幸せになるべきだ……と、おも、思う」

「!!」


 つかえながら恥ずかしそうにそう言ってくれるってことは、それってやっぱり期待大ですよね!? 裏切りはナシですよ!!


 ドキドキと高鳴る心臓の音が耳にやけに響きます。

 体がすごく熱いです。とにかく手が汗ばんできます。


「だ、だから……その」


 はい、はい、はい! 心の準備OKですよ!! いつでもカモーン!


 すぅっと息を吸い込み、とろけるような優しい目をしたリオナール様はおっしゃいました。



「兄と結婚して欲しい」



 …………はい?



「お前なら兄を任せられる。お前に見送られ幸せそうに出仕する兄と一緒に並んで歩きたい」


 ……ナンカキコエル。


「お前なら姉と呼べる。おれも嬉しい」


 キラキラした笑顔でそう断言されてしまいました。


「……」


 ――察してくださいますか? この時のわたしの無表情な顔を。

 リオナール様を想っていろんな後始末をしてきましたし、リオナール様が誰かを好きになれば涙を呑んで全力で応援することだってできる、と断言できます。

「おれの部下なんだが」と、万が一リオナール様がわたしに紹介するならば、リオナール様ご結婚した後にわたしも結婚して、次は乳母になる野望を持つつもりでした。


 なのに、まさかの『義姉様』認定!!


 自分より兄大事。

 さすがのブラコンです。

 兄の笑顔が自分の笑顔。兄の嫁には自分の意志が反映。

 ――わたしはローデオ様を称える『同志』認定されたようです。

 

 リオナール様がわたしを『義姉』として認定しているということは――わたし、ベラリス様の敵じゃありませんかっ!? 


 いやぁああああああ!! ――わたし、絶対消されます!



☆☆☆



 その後、わたしはどうやってリオナール様の部屋から退出できたのか覚えておりません。

 なぜなら、わたしはこれからやるべきことで頭の中がいっぱいだったのですから……。


 気がつくと、わたしの片想いを知っている執事様が憐れんだ目を向けて目の前にいました。

「……フィリプ産二十年もののウィスキーはどちらでしょうか」

 抑揚のない声で、今まで何度かこの執事様に聞いてきた質問をしてみます。

 実はコレ、と最終手段を決行しますよ~、というわたしの宣言です。

 今まではまだ余裕のある状態で言っていましたが、今日のわたしにはそんな余裕はありません。


「……酒造庫三十二の棚の下から四段目ですよ。氷は氷室から好きなだけお持ちなさい。燻製室にも寄るといいでしょう」


 今までため息交じりに『ありません』と言われていたのに、肯定を示す許可ばかりか、その他の使用まで認めるなんて――大盤振る舞いじゃないですか!!


 いいんですか!? 今さら止められませんよ!?


 期待を込めた目で執事様を見上げると、彼は苦笑してうなずきました。

「いくらリオナール様でも、ベラリス様にはかなわないでしょう。それに、ローデオ様はベアトリクス様を愛していらっしゃいますしね」

 そうなのです! 

 ローデオ様には相思相愛のベアトリクス様がいらっしゃいますが、リオナール様は知りません。

 なぜなら、メイデン侯爵夫妻も一緒になって隠し通しているからです。

 理由は簡単。リオナール様が相手の調査を始めるからです。そうして壊してきたローデオ様の恋は一つや二つじゃありません。

 ただ、ローデオ様も壊れてよかったと思えるものばかりだったらしく、ある程度リオナール様に感謝はしているそうですが、さすがに今回だけは自分でしっかり見極めてお付き合いをされているので、これ以上邪魔されたくないと言うのが本音のようです。


 優しい兄上様で本当にようございましたね、リオナール様。

わたしならそんな弟、まず精神的に攻撃して視界から消します。


 と、自分のことは横に置いておき、そこでわたしがここにいる理由、その二の登場なのです。

 わたしはリオナール様のことが、とにかく大事で大切で大好きなのです。でも節度は守ります、と誓いを立ててリオナール様のお相手を探しているのです。

 ですが、なかなか出会えないのです。

 たまに自暴自棄になって「わたしが立候補していいですか?」と言うのですが、それは最終手段だと言われました(悲しい)。


 とにかくリオナール様の意思が第一(最重要)! なのです。


 でも、わたしを『義姉』にしようとしているのですから、もう時間はありません。

 それに『家族』認定してもらえるのでしたら、リオナール様の妻でもいいではないですか! わたしだって人間です。欲ってものがあります。

 兄も笑顔で、わたしも笑顔。そして兄の笑顔を見たリオナール様も笑顔! これこそ理想な関係です!! あ、もちろん義姉(ベアトリクス)様も笑顔。

 

 完っ璧です!!


 さあ、執事様に許可頂いたアイテムを使い、わたしは今夜リオナール様に想いを告げます!

 その後は『で・き・る・だ・け』リオナール様の意思を尊重しつつ、わたしの想いをぶつけさせていただきます!!

 処女だろうとなんだろうと関係ありません。

 想いは告げなきゃ伝わらないんです! なんとなく、のような関係なんてまどろっこしいので嫌です。あとから『そんなつもりじゃなかった』とか言われるのも嫌です(じゃあどういうつもりだったのでしょうね。鋭く聞きたいです)。

 口があるんだからしっかり言いましょう。

 だれかが言っていました『恋は脳筋』だと。

 ああ、執事様の奥様でしたか。回りくどく言われても面倒だからはっきり言え、と張り倒したそうです(お見事です)。


 ――さあ、今夜キメますよ(ニヤリ)!!





読んでいただきありがとうございます。

来週からゆっくりになりますが、連載再開していきます。


実は少し続きが浮かんできたのですが、これはまた後程ということで。


お付き合いありがとうございました。


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