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第一章 主導者の帰りを待つ世界 第七話 堕ちてなお助けを求める者

フェルスは、叛(・)逆(・)の(・)邪(・)神(・)へと姿を変えた。

その姿は、醜く、背中から複数の腕が生え、神界にも属さない容姿。まさに“ 化け物 ”だ。

 

 

「グオォォォォォォォォ!!!!」

 

 

衝撃波の様な遠吠え

化け物は、地面を踏み込んだと思えば、ヘルメスの目の前に既にいた。

 

ドガッ!

 

瞬きをする暇などなく、ヘルメスは壁の様に乱立するから尖った岩へと激突する。

その痛みと衝撃は凄まじく、頭から血を流して気絶をしてしまう。

 

化け物は、ヘルメスの方へドスッドスッと足音をたてながら近付く。

目の前まで行けば、ヘルメスの頭を片手で持ち上げる。

 

 

「貴様ノ最後ハ呆気ナイ」

  

 

手に力を徐々に込める。

 

「やめて、国王様!」

 

 

ビクッ

 

手に入れ力が抜け落ちる。

化け物が振り返る。誰もいない。

「気のせいか」と思い、手に力を入れようものなら、また声が聞こえる。

 

子供の様な声。女性の様な声。男性の様な声。

同時に聞こえる事もある。声は、毎回違う。

 

誰(・)かが、誰(・)かに語りかけてる様に…

 

化け物は、その鬱陶しい声によって手に力を入れることが出来ない。

導がゆっくり目を開ける。

 

 

目の前に最初に写るのは、自身の顔を掴む化け物の巨大な手だった。

化け物は、後ろの方を見ており導が目を覚ましている事に気付いていなかった。

 

ザシュ!

 

化け物が、頭から手を離す。

よく見れば、ヘルメスの頭を握っていた手首の方に刃物で斬った様な傷口があったがすぐに回復する。

 

ヘルメスは、地面に着地すると、地面に転がっていた武器を取り、化け物へと向ける。

手は小刻みに震え、恐怖心の方が勝っている…そんな状況だった。

 

 

ヘルメス・ルシテア

「落ち着け、私!」

「皆んなを守(・)る(・)って決めたからには、こんな化け物に負けちゃいられない!」

 

 

「………」

「雑魚ガ、デシャバルナ…」

 

 

ヘルメスの得意のスピードを維持した状態で、攻撃を続ける。

だが、スピードに長けていたとしても一撃一撃が強く無ければ化け物は即座に回復をするだけだった。

 

幸い、化け物のスピードも速いがヘルメスほどでは無かったもの一撃一撃の威力はおかしく地面にボコスカと穴を開けていき、ヘルメスの逃げ場を狭めるばかり…

 

 

ヘルメス・ルシテア

「このままじゃ負ける。空中戦に持っていくべき?…でも…」

「考えるな!今は、アイツの動きに集中!」

「この時、貴方ならどうするかな」

 

 

ヘルメスの脳裏に、一人の男性の後ろ姿が徐に浮かび上がる。

細身の身体、軍人の様な軍服、禍々しく輝く紫の刀、藍色髪に短い髪

 

「私は、諦めない。何があっても」

 

低い声が脳内で再生される。

ヘルメスはニコッと笑い、化け物の真正面から攻撃する。

 

化け物は、動じる事なくヘルメスの攻撃を受けるも即座に回復する。

ヘルメスは、ただ何を確認するために攻撃している様にも見える。

 

ドガッ!

 

不意に、化け物からの右ストレートパンチが飛んで来る。

 

それを刀で受け流すも威力が桁外れだった為に完全には受け流せなかった。

それでも、数メートルほど吹き飛ぶ程度で済んだ。

 

ヘルメスが、次に何処から攻撃が飛んで来るか辺りを見渡せば、化け物は上へと高く飛び上がり、腕を大剣の様に変形させ、ヘルメスへと振りかざす。

それ見たヘルメスは、避けずに刀で防御に計る。

 

ガギッーーーーン!!!

 

辺りに土煙がたつ。

化け物の全ての体重を乗せられる様な重い一撃

それを刀、一本で耐える。

 

瞳には、「諦(・)め(・)な(・)い(・)」そう映っている。その目を化け物が見れば少し動揺をする。

だが、その動揺はヘルメスには分からない些細なものだった。

 

 

「助けて!お姉さん!!」

 

ヘルメス・ルシテア

「へっ?」

 

化け物の胸元から、子供の腕が伸びてくる。

 

必死に、ヘルメスに手を伸ばす。助けを求める様に

半透明でラメが入った小さな腕を伸ばす。

 

ヘルメスは、その手を「掴み返したい」と思った。だが、両手で刀を支えなければ自分が潰される。

そんな瀬戸際だった。

化け物が、もっと大剣にした腕にも力を込めてる。

 

 

ヘルメス・ルシテア

「クッ…大丈夫!私は、負けないぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

 

 

すると、此処に来る前に拾った灰色の宝石に光りが溢れ、化け物は後退する。

 

光りが収まる。オレンジ色の髪が、風に靡く。

ゆっくり目を開ける。赤い瞳がオーロラの瞳になる。キリッとした目で化け物を見つめる。


ヘルメスの前に太陽型の7色に輝く宝石があった。

それを片手で、掴み腰に飾る。

 

ヘルメスの衣装が変わる。白を基調とし7色の綺麗なマント。短な髪が輝く。

足を踏み込む。一瞬で化け物の目の前まで行く。雷の様な模様が現れ、

 

化け物は、その場に崩れ倒れたが、斬られた腕はすぐに再生するかと思いきや…

茶色の星が飛んで来る。動きは、一貫性のない攻撃が千々に乱れる。

 

化け物には、避ける暇ものなく当たり、その部分が石化し始める。

ヘルメスが、近付く化け物から伸びている小さな腕を掴み引き抜く。

 

 

「グォォォォォォォ!!!!」

 

 

化け物が悲鳴をあげる。辛そうだった。痛そうだった。

引き出されたのは、7歳児くらいの男の子

男の子は…

 

 

男の子

「フェルスお兄ちゃんを助けて!辛くて痛いよぉ」

「お兄ちゃん、苦しいって言ってるよぉ!うわぁぁん、国王様が苦しむ所見たくない」

 

 

子供は、泣きじゃくりながら、そう伝える。

 

 

ヘルメス・ルシテア

「分かった。フェルスくんは、絶対に助ける!任せて!」

「だから、少し隠れて」

 

 

ヘルメスは、目線を男の子に合わせて言う。

 

男の子は、「うん!」と力強く頷き、泣き腫らした顔で、隠れに行く。

化け物は、その間大人しくしてはいなかった。ずっと、石化した部分を破壊しようと暴れていた。

そして、石化は「バキッ」と音を立て崩れ落ちる。

 

化け物が、即座にヘルメスの背後をとるが、次は赤色の星と薄い水色の星が飛んでいき当たる直前に爆発する。

化け物だけが押されていく。

 

 

「グォォォォ」

 

???

「助ケテ…」

「モウ、苦シイ…オ願イ、殺シテクレ」

 

ヘルメス・ルシテア

「フェルス?フェルスなの!?」

 

 

「グォォォォォォォ」

 

 

ヘルメスは、刀を構える。ヘルメスは、刀に力を込める。

刀が、「赤・青・薄水色・黄色・緑・黄緑・茶色」のオーラが纏っている。

ヘルメスの周囲には、7色の星が浮遊している。

 

 

ヘルメス・ルシテア

「助けてあげる。源守力は、助けを求める人にはちゃんと助けが来るのよ!」

 

 

ヘルメスが、雷を纏い瞬時に化け物の懐に入り込み。今、出せる最大の一撃を打ち込む。

 

 

ヘルメス・ルシテア

「流星(スターダスト)助人(セイヴァー)!!!!!!」

  

 

ヘルメスの重い一撃が化け物の腹に当たる。

周囲には、7色に輝く宝石の様な星が化け物へと向かう。

 

「グォォォォォォォ!!!!」

 

 

化け物は、力いっぱいに腕を上げ、ヘルメスへと振り下ろされ…

それは、優しい手たちに抑え込まれる。

半透明な人たちは、化け物へと抱き付いたり触れる。

 

まるで、「思(・)い(・)出(・)し(・)て(・)」と言う様に

 

 

神陽導(ヘルメス・ルシテア)

「フェルスを返せぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

 

 

化け物の腹に大きな刀の傷が付き、後退りをする。

 

 

化け物

「アガッ…」

「コノ私ガ負ケルトハ、オマエェェェェェ」

 

 

化け物は、ヘルメスへ襲い掛かるが、半透明な人たちに止められる。

 

 

化け物

「離セ、アイツモ一緒ニ連レテイク!!」

 

 


化け物の身体は、ゆっくり粒子状になりながら崩壊する。

化け物は、足掻く。一生懸命にヘルメスへと近付こうと暴れる。

 

それを、食い止める半透明な人たち

ヘルメスは、刀を地面に支えながら化け物へと近付く。

 

化け物は、身体のほとんどが崩壊し後は顔だけだった。

地面に横たわった化け物の顔を膝の上に置いて、頭を撫でる。

 

 

ヘルメス・ルシテア

「ありがとう。そして、さようなら」

「助(・)け(・)を(・)求(・)め(・)続(・)け(・)た(・)邪神(神)さん」

 

助けを求め続けた邪神

「アァ…アリガトウ。タスケテクレテ」

「アトハ、マカセタ」

 

 

助けを求め続けた邪神は、涙を流しながら綺麗に散っていった。

光りの粒子は、空へと逝ってしまった。

悲しい顔で、それを見続ける。

 

ヘルメスの手には、水色の宝石があった。

その色は、清く美しい色だった。


視線を向ける。

半透明な人たちが、集めっていた。

近付かなくても分かる。あそこに、フェルスが倒れているのは、わかっていた。

 

導は、刀を支えにして其処へ向かう。

そこには、傷だらけではあるものの、優しい顔で眠りについていた。

 

 

神陽導

「フェルスも大変だっただろうな。どうやって此処から抜け出そう」

 

 

そこに、先ほどの男の子がやって来る。

 

 

男の子

「お姉ちゃん!フェルスお兄ちゃんを助けてくれてありがとう!」

 

フェルス

「………ん、」

 

男の子

「あっ、フェルスお兄ちゃん!」

 

神陽導

「あっ、起きた」

 

 

フェルスは、自分の手を見た。

 

 

フェルス

「負けたのか」

「……何故、殺さない」

 

神陽導

「だって、殺す必要なんてない!この人たちにとって貴方はとっても大切な人なんでしょ?」

「だったら、私は倒さない」

 

 

フェルスは、目を大きく見開き優しい笑顔を見せる。

 

ドン

 

上から土煙が落ちて来る。

 

 

神陽導

「えっ!?ちょっ!何!?」

「これ以上は、異変起こさないでよ!クタクタなんだから!!」

 

フェルス

「そりゃ…そうか」

「……また、会えるといいな」

 

神陽導

「えっ?」

 

 

導の足元に、正六角形の茶色の魔法陣が現れ、即座に導は消える。

 

 

フェルス

「兄さん、会いたいよ…」

 

ドサッ

 

何かが倒れた。

 

導が目を開ける。

目の前に広がる光景は、ハボリム、レプブリーク、ミスト、第一戦闘部隊の者たちが、黒く丸い球体に攻撃を与えていた。

 

シンソウは、目を瞑って必死に無事を祈っていた。

 

 

神陽導

「ハッ!やめなぁさぁぁぁぁぁぃ!!」

 

シンソウ

「主人様!!!」

 

ハボリム

「最(・)上(・)級(・)神(・)様!」

「えっ?えっ?」

 

ミスト

「なんでいるの!?あれ、捕まったんじゃないの!?」

 

レプブリーク

「興味深い、自力で脱出したのか?」

 

シンソウ

「いや、それは無理ですよ!あの結界は、あの結界を張った者が対象を脱出させるか決めないと出れない特殊な結界なんですよ!」

 

神陽導

「一体、なんの話ししてんの!って…」

 

ドサッ

  

 

シンソウ

「主人様ァァ!?」

 

導は、その場に倒れる。揺すっても起きなかった。

 

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