第一章 主導者の帰りを待つ世界 第五話 第二段階・導くための力
???
「何故、使い魔まで連れて来なかった」
「俺は、言ったはずだろう?」
???
「申し訳ございません…」
ゆっくり目を開ける。身動きが取れない。
目の前には、1人の男性と1人のフードを被った人
まだ、視界はぼやけている。
瞬きをしていけば、視界が徐々に見えていく。
目を擦ろうと腕を上げようとすれば、縄で身体を柱に縛られていた事に気づく。
目の前の男性が、導が目を開けたことを確認すれば、もう1人いたフードを被った人を部屋から退去させる。
導は、何が起こっているか、分からずにいれば…
その人が膝をついて、話しかけてくる。
???
「すまないな、こんな事をして」
神陽導
「えっ、此処はどこ?貴方は?」
???
「俺の事は、時期に分かる。此処は、レーラー王国と言われる王国だ」
「君は、ファイントの奴らに誘拐された。それは、俺の指示だ」
神陽導
「なんで!?」
???
「君に、協力して貰いたい事があるからだ」
「最上級神様、貴方にしかできないことをして貰うために」
「そのためなら、俺はどんな事でも厭わない。それがこの世界の絶対的存在である神界大帝国を敵に回してもな…」
神陽導
「………………………」
「(信用しない方がいいのかな…こんなことするくらいだし…)」
目の前の男性は、茶髪に藍色のメッシュ、灰色のライダースーツの姿をした170cm代の人だとなんとなくで分かる。
男が立ち上がると、近くにあった机の上から一枚の紙を取り出し導に見せる。
その紙に書かれてある言葉は、「神界語」だったが、導はスラスラと読めてしまう。
導本人は、自身の中で不思議な気持ちで紙に書かれてある事を読む進める。
内容は、どうやら契約書の様であり、下の方には…
「ファイント副代理レーヴァテン」
「レーラー王国国王フェルス」
と書かれてあった。
フェルスと思われる男性は、要約して内容を教えてくれる。
フェルスと思われる男性
「君は、この内容が分からないだろうから、要約して言えば…」
「神界を新しい神界へとグレードアップさせようと言うことだ」
「指導者に頼らずとも世界を安泰へと導く」
「それが、俺の目標だ」
「現状の神界では、指導者がいなければ、世界は次期に崩壊する」
「それを防ぐためにもこの計画を実行しなければならない」
「お前の意見ははどうだ?」
神陽導
「そんな急に意見を求められても…私には分からないよ」
「でも、誰かに頼ること自体は悪くはないとは思う。でも、頼りすぎるのもダメだとは思うけど……」
「でぇ、私が、この計画にどう関わるのかは知らないけど…」
フェルスと思われる男性
「…………そうか」
「お前の役割は、核だ」
神陽導
「はい?」
フェルスと思われる男性
「神界を作り変えるとしても、それに可能にするほどのエネルギーがこの世界には必要だ」
「貴様は、そのエネルギーとなり、世界を安泰へと導く機械の核となってもらう」
「俺、一人だと不可能だ。そんなことは…」
「だから、俺は、ファイントの協力関係を結んだ」
神陽導
「つまり、私を機械にでも作り変えるってこと?」
導の声は、震えてるいる。
フェルスと思われる男性
「嗚呼、言い方的にはそうだ。」
「ファイントの人々をエネルギーに変える技術を使い、俺の機械の技術で貴様を機械へと変える」
「そうすれば、世界は安泰へと導ける。それは…貴様とってはとても光栄なことだろう?」
「最上級神様…貴方の故郷である神界を正しい方向性へ導き続けられる」
「天使の血が入っていたとしても、たかが、数千年生きれるか生きれないかの差」
「それだったら、一生を機械として過ごし寿命と言う概念を忘れる」
「俺は、それはすばらしい事だと思うが?」
神陽導
「狂ってる!私は、そんなの嫌!」
「私は、導く為に生まれたんじゃない!皆んなと人生を楽しむ為に生まれてきたの!」
「そんな楽しめない人生…私は、歩みたくない!」
フェルスと思われる男性
「ほぅ…?」
「世界の足枷へとなることを嫌がるか。貴様が嫌がるのは勝手だ」
「だが、これは決定事項なんだ。貴様が足掻いても無駄だ」
「貴様には、最初から拒否権など存在しない」
男は、そう言って部屋を後にする。
導は、腕を動かしたり身体を動かしたりして、縄を解こうとするが頑丈に縛られている為に中々に外すことが出来ない。
数十分は経ったと思われる頃…
背後から、幼い声と縄を切る様な音が聞こえる。
背後を見ようにも柱が邪魔で見る事が出来ない。
そして、数分ほど刃物の様な物で縄を切っている音が響いたのちに縄が解ける。
柱の後ろから130cm代の青髪の女の子が出てきて、導きの顔を見た瞬間に笑顔になる。
幼い声の持ち主
「よかった!なんとか切れた!!」
神陽導
「ありがとう!助けてくれて」
導きは、内心「どうして、こんな所に子供がいるの!?」と顔には出さない様必死に隠しながら感謝を述べる。
そして、不意に柱の後ろを見ると、そこには一本の刀があり、その刀でこの縄を斬ったのであろうとと分かる。
幼い子は、導が刀の存在に気付くと…
幼い子
「これね!よくわかんないんだけど…近くにあったから、少し借りてきたの!」
「確か、最上級神の刀って書いてあったかな?」
「僕、漢字とか分かんない!」
「でも、お姉ちゃん!此処、どうにかしないと出れないよ?」
神陽導
「えっ?」
幼い子
「なんか、お外には、変な壁があったの!」
神陽導
「そっか…」
「でも、任せて!私がなんとかするから!」
幼い子
「いいの?やった!!」
神陽導
「だから、安全な所で隠れて待っててね」
幼い子
「分かった!お姉ちゃんも頑張ってね!」
神陽導は、刀を拾い上げ鞘にしまう。
そして、そのまま幼い子を置いてフェルスと思われる男性が出て行った扉からその場を後にする。
導の足音が遠くなる。静寂が、部屋を覆う。
幼い子の背後からコツコツと足音が聞こえる。
幼い子
「これでいいんでしょ?」
「もう、こんな事したくないよぉ〜疲れちゃう…」
後ろには、黄色からピンク色のグラデーションがかった髪のドレス姿の女性がいた。
ドレス姿の女性
「お疲れ様ですわ」
「さぁ、ニチヴォーたちとお茶会でもしますわよ。ヴァダー」
ヴァダー
「はぁ〜い!グロームお姉ちゃん」
グローム
「ふん」
満更でも無さそうな顔でそう言って、2人は部屋を後にする。
コツコツ
足音が、周囲に響き渡る。高い位置にある結晶の様なものでできた玉座
そこへの階段を歩く、茶色の髪に藍色のメッシュのある男
無表情のまま、階段を上がり玉座へと座る。
目を閉じ集中する。何かと繋がる為に、何かと交信する為に…
フェルスと思われる男
「ようやく、お前とレーラー王国の全民の願いが叶う様だ」
「今までお疲れ様。フェルス」
「もう、あの惨状は起こさなくて済む様になる」
「レーラー王国、第4代目国王、フェルス・レーラーの名に次ぐ」
「今日まで、国民へ貸していた苦労が今報われる時だ。3代目国民に感謝を」
そう言って、男は、胸にそっと手を当て敬意を示す。
そうして居れば、静寂が玉座のある部屋を呑み込んでいく。フェルスの顔には、哀れみが出ていた。
遠くから、足音が聞こえる。少しドタドタしており、走っている様だった。
その音を聞けば、フェルスの顔は決心をつけた様な顔になっていく。
そして、玉座のある部屋の大きな扉が外側から開けられる。
フェルスは、目を一瞬大きくさせて驚きをあらわにする。
フェルス
「何故、貴様が此処に…!」
神陽導
「助けが来てくれたのよ!」
「それより、貴方のやる事には賛成出来ない。でも、別のやり方はないの?」
フェルス
「存在すればいいが、これ以外の方法などこの世に存在しない」
「貴様を、エネルギーとすれば確実に導ける」
神陽導
「どうして…」
フェルス
「これは、復讐だ。神界大帝國へのな」
神陽導
「復讐って、復讐したって!誰も喜ばない!不幸の連鎖が続くだけだよ!」
「ねぇ、やめよ?こんな事」
「こんなの誰も望んでないよ!皆んなの意見も聞こうよ!」
フェルス
「その様なうわ言…よく言えるな」
「その事を拒み続けた奴らが居て、話し合いなど出来るはずがない」
神陽導
「それは…私がなんとかするから!」
フェルス
「理解のかけらもない。予定は少し狂うが、少し前倒しにするか」
「無駄な事をしている暇があれば、国のため、国民のために働く事を俺は望む」
そう言って、玉座から立ち上がれば、右手に茶色の光の球が現れ、瞬きをする事には大剣の形へと変化していた。
導は、刀に手を掛けるが、引き抜かずに警戒体制でフェルスのことを見る。
導は、「どうしてか、分からない。でも、この人を助けなきゃいけない」そう思い刀を引き抜く事が出来なかった。
フェルスが、地面を蹴った。
すぐ、そこには大剣が近くに、避けることは不可能
導は、即座に鞘に入った状態の刀で受け流そうとする……が、一撃が強く横に吹き飛ばされる。
バキッ!
導
「鞘が!」
先程の一撃で、鞘が木っ端微塵に破壊される。
導は、鞘が一撃で壊された事にびっくりしつつも体制を立て直して、攻撃をいつでも避ける様にする。
だが、フェルスは無言で攻撃をし続ける。右から斜め下への振り下ろし、下から上にへと振り上げ、四方八方から攻撃するも、導はギリギリのところで回避する。
刀は、フェルスに当たらない様に隠す様な仕草をしている。
フェルス
「まだ、話し合いと言う戯言で解決しようとしているのか?」
「俺は、話し合いなど毛頭受ける気はない」
神陽導
「それだったら、私は話し合いができるようになるまで耐え続ける!」
「我慢比べには自信があるもの!」
フェルス
「……そうか、なら本気で戦ってやろう」
神陽導
「へっ!?」
フェルスは大剣を突き出しながら、一気に距離を詰めてくる。
導も負けじと得意のバク宙で避けようとするも、それはフェイクでありバク宙で避けてる最中に横から攻撃を喰らわされる。
ドガッ
そんな音をたてながら、壁に吹き飛ばされる。
壁にあったった衝撃で周囲には煙が立ち込める。それを掻き消す様にフェルスは攻撃を止める事なく突進してくる。
導は、避けられない事を悟り、刀を握りしめ攻撃を受け流す。
その行動に、フェルスは目を広げる。
フェルス
「流石、最上級神だ。この攻撃を軽々しく受け流すとは…!」
「だが、受け流すだけでは守れねぇぞ!1000年前の出来事の様になぁ!」
神陽導
「……!」
導の心臓が、「ドクン」と脈打つ。頭に青筋が立つ。
脳内に、映像が流れる。
戦闘の様だ。未治の怪物がいた。死体何転がっていた。大きな血の池があった。
呼吸が早くなる。周囲から血の匂いがする。全身が痛くなる。
『守れなかった』
その言葉が脳内を埋め尽くす。逃げられない様に引き摺り込むように…
大きな手に頭を握られる。潰された様な感覚に一歩、また一歩と後退してしまう。
最後まで、ずっと謝っていた自分が何処かにいた。
神陽導
「ハァ…ハァ…」
導は、下を向いてしまう。目から涙が溢れて来る。
何が起こってるか、まだ、分からない。
でも、とても辛い事があったことだけは分かった。
フェルス
「ようやく、思い出す気になったか?」
「1000年前の出来事を、だが、思い出す気になったところで、思い出さなければ何も出来ないだろう」
神陽導
「これは、今じゃない…」
「過去のこと…なのになんで涙が出て来るの?」
「こんなの私、知らない」
フェルス
「ふっ、神界の民を守れなかった貴様が、今更、守るだの言えたな」
「そのまま、核となり神界の繁栄の糧となれ…」
そう言って、手を導の頭へと持っていこうとする。
ドガァァァァン
遠くから何かが破壊される様な大きな音が聞こえる。
そこに、一人の部下が部屋を扉を開けて入って来る。
部下
「神界大帝國が、本格的に攻めて来ています」
「どうしましょうか?フェルス様」
フェルス
「ほっとけ、勝手にすればいい」
「新しい神界の誕生までは持つだろう」
部下
「本当に、あの機械を…」
フェルス
「嗚呼、これはレーラー王国のため…神界のため…」
その言葉を聞いた部下は、頭を下げその場を去る。顔には、少し悲しみに満ちていた。
フェルスは、導は視線を移す。
フェルス
「さぁ、我らの為にその力を貸してもらおう」
「神陽導」




