第一章 主導者の帰りを待つ世界 第四話 国王サミット
ハボリム
「今回のことは、とっても重要な話題…君たちも重々承知してくれたまえ」
トゥマイニ
「……現在、最上級神様をお迎えにあがっているところです」
「そうですね。あと、5分ほどで到着するでしょう」
「その前に、ミスト国王率いるドンナー・サンダー王国は、このことをどう思っているかご意見を聞かせてもらいたいです」
その様にハボリムが言えば、金髪のショートヘアーの女性が口を開く。
ドンナー・サンダー王国 第2代目国王 ミスト
ミスト
「…私からすれば、私が最初に発見したことには変わりありません」
「それを途中で、ラント王国に略奪されてしまったのは、惜しいところですが…」
ラント王国 第3代目国王 レプブリーク・ラントヴィッチ・レイ
レプブリーク
「我は、貴様の国家から、最上級神様を救ったにすぎない」
「最上級神様は、平穏に暮らしていたのだ。それを壊すことなど、言語道断だろう」
そう低く冷酷な物言いで言い放つ。
秘書であるレプッブリカとドンナー・サンダー王国側の秘書はかなり緊張している様だ。
ヴァッサーも2人の威圧感にビビっている。
黄色からピンク色のグラデーションがかった国王は、他人ごととして見守っていた。
トゥマイニ
「(喧嘩など、見苦しい…)」
ミスト
「何を言ってますの?」
「この世界では、最上級神様が必要不可欠な存在なのですよ」
「その様なお方を発見したのであれば、ハボリム国王に報告するのは、鉄則なことです」
レプブリーク
「だからと言って、誘拐をして強制帰還をさせるのは、大間違いだろう」
ミスト
「ッッ…」
水色髪の女性
「(ミスト様が、負けそう…トォオーノ様…)」
口をひらく者がいた。
黄色からピンク色のグラデーションがかったお団子ヘアーの髪をした国王
ベツィーウング王国 第6代目国王 トォオーノ・クリーマ
トォオーノ
「ハァ…子供の意地っ張り喧嘩みたいで、見てられませんわ」
「確かに、ミストにも多少悪いところはあったでしょうね」
ミスト
「(トォオーノ、其処は私を庇うところなのでは…)」
トォオーノ
「ですが、貴方も最上級神様を保護して、ハボリム国王に報告しなかったのは何故ですか?」
「普通に考えて、報告すべきですわ」
其処で、ヴァッサーが口を開ける。
クンペル王国 第10代目国王 ヴァッサー・シュトレームング
ヴァッサー
「だって、だって、導ちゃんは、人間界で暮らしてたんだよ!」
「慣れ親しんだ場所に帰るのが、一番でしょ!」
「それで一々「報告!報告!」うるさい!」
「それに、導ちゃんの意識も尊重してあげないとでしょ!」
ハボリム
「へぇ〜ヴァッサーくん」
ヴァッサー
「何?ハボリム国王」
ハボリム
「君、いつの間に、最上級神様と仲良くなったのかな〜?」
ヴァッサー
「別に、普通に仲良くなっただけだよ」
トォオーノ
「(流石ですわ…)」
ハボリム
「ほんと、君は国王向きの性格じゃないし、威厳がないのかい?」
ヴァッサー
「別に必要なくない?」
ハボリム
「そうかい…君がそう思うのなら、そう思っておきなさい」
ヴァッサー
「は〜い!」
ヴァッサー以外
「(ヴァッサー / さんは、国王向いてない / です / ですわ…)」
ヴァッサーの除いた皆は、心の中で、呆れるのであった。
トゥマイニ
「ゴホン…」
「えぇ、話を戻します」
ハボリム
「そうだね〜」
「とりあえず、今、最上級神様をお迎えに行っている…」
「のだが、アイツは、いつ帰ってくるのかな〜?」
トゥマイニ
「1分前に、連絡が来ましたが…悪の組織が、王国の近くにいる様です」
ハボリム
「あの虫ケラども…まだ居たんだ〜」
「ヴィントに後で追い払っとけって言わなきゃだね〜」
そう興味の無さそうな声で言う。
そう言って、手に炎を出し、それを見つめる。
この行動は、退屈である時などに見せる“ 未来を見る行為 ”
その行動自体は、良くも悪くもだが、この行為は寿命を縮ませる行為である事に変わりない行動だった。
トゥマイニ
「何が見えます?」
ハボリム
「レーラー王国が…無くなる未来が見える」
「理由は分からない。ただ、レーラー王国に巨大な隕石がたくさん降り注ぐ」
「魂が無くなり………神界の崩壊が進む…」
ハボリム以外、「神界の崩壊が進む」その言葉に聞いた時…皆は少なからず反応を示す。
ハボリムは、意外にも落ち着いていた。
ハボリム
「やっぱ〜僕じゃ、止められ無さそうだね〜」
「それに、最上級神様が危険な目に遭う可能性もある」
「それは、断じて避けたいね〜」
トゥマイニ
「とりあえず、この事は【上位世界】の王アビス・テンバウ様にも報告は必須」
「に…なりますよね」
ハボリム
「そうだね」
「君たちは、どう思う?」
ヴァッサー
「神界が、無くなる可能性があるの…」
「嫌だぁ!国民と離れ離れになるのは嫌!」
レプブリーク
「なんとしても、回避しなければならない運命だと我は思う」
レプッブリカ
「そうですね。神界が無くなるだけでも他世界への影響は計り知れないですし」
ミスト
「まぁ、今回は、レプブリークの意見に賛成します」
「貴方は、どう思う?ネブラ」
そう言えば、水色髪の弱気そうな女性が、肩をビクつかせた後にこう言う。
ネブラ
「えっ、えぇ…現状、最優先に考えないといけない事だと思ってます…」
「世界が、崩壊しただけで、連鎖的な崩壊も目に入る可能性は大いにあると思いますし…」
トォオーノ
「…………まぁ、連鎖的な崩壊は必ずしもあるとは言えませんけどもね」
ハボリム
「それが、君たちの意見か…」
「まぁ、それが普通だよね」
その様な会話が繰り広げられていた。
すると、国面室…通称国王面会室の大きな扉が勢いよく開く。
其処にいたのは、黄緑色からエメラルドグリーンの髪に、エメラルドグリーンの輪っかを身につけた男性が入ってくる。
その後ろには、神陽導と導の手のひらで、目を回しているシンソウ
ヴィント
「どうも〜ファイントをぶっ倒しながら、主人様を連れて来ましたよ〜」
「ほら〜導〜入って、入って〜」
神陽導
「えっ、あ、えっ…」
前にいたヴィントは、宙に浮きながら導の後ろに行って肩を押して、国王面会室に入らせる。
導は、豪華なシャンデリアや玉座のある部屋を見て、緊張してたじろいでしまう。
神陽導
「ねぇ、ヴィント?」
「本当に、入っていいの?」
ヴィント
「いいの、いいの〜入っちゃてぇ〜」
神陽導
「分かった」
ヴァッサー
「えぇ〜!?ヴィント様、僕より導ちゃんと仲良くなってる!?」
トゥマイニ
「ヴィント、最上級神様を呼び捨てとは…如何なものでしょう」
ヴィント
「いいの〜いいの〜」
「さぁ、俺は、連れて来たんだし〜サボるわ」
トゥマイニ
「ダメです」
ヴィント
「チェ…」
シンソウ
「目…目…目まわるよ〜」
神陽導
「大丈夫?」
シンソウ
「だだだ、だいじょうぶ…あ〜〜」
ヴィント
「早く飛びすぎちったかぁ〜?」
「まぁ、いいか。とりあえず、状況説明を…」
「国王様、よろしく〜!」
ハボリム
「何故、俺なんだ…」
ヴィント
「俺、ずーっと、導と話してたからこっちの話し聞いてないもん」
ハボリム
「そうか。では、俺から説明しよう」
神陽導
「お願いします!」
ハボリム
「要するに貴方様のことについての話し合いにすぎませんので、気にしなくてもよろしいかと」
「まぁ、それを踏まえ、貴方の正体はお分かりでしょうか?」
神陽導
「うん、わかってるつもりだよ」
「でも、本当かどうかは分からないよ?私には、そんな記憶とかないもん」
「でもね。さっき、変な人に追われている時に、指導者って言われた時は、とっても嫌な気持ちになった」
「くらいかな、神界に来て思ったことかな」
そう考えながら言う。
ハボリムの表情が一気に変わり睨む様な顔になる。
ハボリム
「それを言ったのは、誰だ…」
ヴィント
「ファイントの下っ端すねぇ〜」
「さっきから、情報処理部隊に、渡して情報吐かせてるけどそんな事を言ってますわ〜」
ミスト
「その様な無礼極まりない発言をしたですって!」
「今すぐに、討伐されてもおかしくないですよ…」
ネブラ
「ミスト様、落ち着いてください!」
レプブリーク
「ミスト、貴様に同感だ。万死に値するだろう」
レプッブリカ
「レプブリーク様、落ち着いて…」
神陽導
「そんな怒らなくても…」
シンソウ
「まぁ、実際、それくらいされてもおかしくないほどの言い方ではありますけどね」
神陽導
「あっ、大丈夫?」
シンソウ
「えぇ、今はもう大丈夫です。主人様」
すると、緑髪のショートヘアーの人、ハボリムの秘書トゥマイニが近づいてくる。
トゥマイニは、お辞儀をすると
トゥマイニ
「お怪我はございませんか?」
神陽導
「うん、ないよ」
トゥマイニ
「少し、お手をお貸しください」
神陽導
「うん、いいよ」
トゥマイニが、丁寧に導の手を握ると…
足元に、小さめの緑色の魔法陣が現れる。魔法の中心には、此処にくる途中で見た神界大帝國の国旗のマークが入っていた。
そして、魔法陣が消えると、トゥマイニはゆっくりと手を離す。
トゥマイニ
「記憶喪失の方専用の記憶を思い出しやすくさせるための魔法を掛けさせて頂きました」
神陽導
「ありがとう!」
トゥマイニ
「いえいえ…」
ハボリム
「もし、記憶を取り戻せなかったとしてもこの神界にいたいですか?」
神陽導
「分からない。私は、人間界にも居場所はある」
皆、無言になる。
神陽導
「でも、私は此処もいい場所だと思うよ」
「過去に、私が此処で何をしたのかは分からない」
「にしても、なんかな〜」
「皆んなと話してると、とっても懐かしい気持ちになるもんだね」
ハボリム
「…………そうですか」
「預言の通りだな」
神陽導
「預言?」
シンソウ
「預言。それは、主人様が失踪した時に、主人様に支えていた預言者が言い残した言葉があるんです」
「それが、「主人は、記憶を失っている。それと同時に力も失っているだろう。だが、彼女が残したものは以後も残り続けるだろう。」っと言う預言を残しています。」
「それと同時に、「器でないものが、指導者をやるべきではない」と言う言葉も残しています」
神陽導
「………………………………」
「そ、そうんだ…」
ヴァッサー
「そうかしたの?」
神陽導
「その人は、どうなったの?」
シンソウ
「預言者ですか?」
「預言者様は、もう既に亡くなってますね。寿命で」
神陽導
「なんか、懐かしい気持ちになってね」
「その人のお墓があるなら、行きたいなぁ〜」
トォオーノ
「えぇ、今も存在致しますよ」
「わたくしの王国、ベツィーウング王国で一番大きな山に」
「預言者様は、優秀でしてその功績を称えるため我々、ベツィーウング王国側でお墓を管理しており、誕生祭も毎年行っております」
神陽導
「そうなの!?」
トォオーノ
「近々、預言者様の誕生祭がございますよ」
「よければ参加すると預言者様も喜べられるでしょうね」
神陽導
「!!…絶対に参加する!」
「そうですか、では、お席の準備でもしておきましょう」
ヴァッサー
「えぇ…ちゃんと守れるんだよねぇ?」
トォオーノ
「守れますわよ!」
「そんなに、ご心配なのでしたら、神界大帝國側にでも護衛兵を出すよ申請すればいいですわ」
ハボリム
「今年の誕生祭は私も参加するんだから、護衛兵ついてくるけどね」
トォオーノ
「そうでしたわ」
トゥマイニ
「何故、忘れてるんですか?」
トォオーノ
「仕方ないでしょ。わたくしにも色々あるのですから!」
レプブリーク
「(本当に、大丈夫なのだろうか)」
神陽導
「にしても、過去に私が何をしたのかってわかる様な博物館的な場所はないの?」
レプッブリカ
「それは、人間界にしかないので神界にはないですね」
ヴァッサー
「あっ、でも、僕の王国とベツィーウング王国の国境地帯にはほぼ現像された形で、壁画として残ってるし!」
「僕の王国には、最上級神様がやったこととかの詳細が書かれた資料とかあるよ!」
神陽導
「そうなの!じゃ、後で行ってみようかな」
ヴァッサー
「いいけど、今、僕の王国はファイントがウロチョロしてるから危険だよ」
神陽導
「そうなんだ…」
導は、しょんぼりした顔になる。
ヴァッサーは、慌てて
ヴァッサー
「でも、どうにかしてファイントをやっつければ行ける様になるから!!」
「元気出して!!」
神陽導
「!〜うん!」
ネブラ
「(意外と元気でヴァッサーさんと似た感じの人なのかな?)」
「(元気な子は、元気なんだなぁ…)」
そんな会話をしていると…
国王面会室の大きな扉が外側から大きな音を立てて開けられる。
そして、部下の様な人が1人、慌てて入ってくる。
部下
「国王様!それと、各国の国王様方」
「大変申し訳ありませんが、今、重大なご報告が!」
ハボリム
「も〜う、何〜面倒なこととか嫌んだけど…」
部下
「先程、レーラー王国が、悪の組織…ファイントと手を組んだと正式公表されました!!」
導以外
「はぁ?」
導は、何がなんだかで、追いつけていけなかった。
部下は、また口を開く。
部下
「それに、ファイント率いるレーラー王国が、神界大帝國含む全ての国家に宣戦布告してきましたぁぁぁ!!」
ハボリム
「はぁ?おまっ、何言ってっか理解してるだろうな!」
トゥマイニ
「神界大帝國への宣戦布告は、叛逆罪とされ…確実に死刑になる罰をしてる…」
「あそこの、国王は何とち狂ったわけ!?」
部下
「国王様…どうされますか?」
ハボリム
「とりあえず、彼方側から動きがなければ特に攻撃はする必要はないが…」
「国民の住居区域などに結界を張ってろ!」
部下
「りょk…」
「ゴホゥ…」
神陽導
「ひっ…!」
導の前で、報告をしていた部下の心臓部に槍の様な物が刺さり、部下は前へと倒れ込む。
導が、恐怖に顔を歪ませ、一歩、また一歩と後ろに後退させて行く。
王国たちは、すぐに警戒体制に入った。
神陽導
「キャッ!」
シンソウ
「主人様!」
導の声のした方を見れば、フードを深々と被った人が、導の首の前にナイフを翳す。
???
「動くな。動いたら、コイツを殺す」
神陽導
「ひっ!」
???
「そのまま大人しくしていれば、コイツは殺さないでおく」
「捕まえた。帰還させろ」
男の声で、そう言えば…足元に茶色の魔法陣が出て来て、導はフードを深々と被った人と共に姿を消した。
シンソウ
「主人様!何処に行ってしまったんですか!」
「主人様!主人様!」
シンソウは、先程まで導が立っていた場所に近づき、声を出しながら必死に探す。
ハボリムたち国王たちは、異常なほどの殺気を出していた。
床には、心臓部を槍で刺され亡くなった部下の血で濡れていた。
ハボリム
「貴様ら…行くぞ…」
「レーラー王国に、アイツのやった事は許されない」
トゥマイニ
「えぇ、ハボリム様の仰せのままに」
レプブリーク
「嗚呼…」
レプッブリカ
「はい!」
ミスト
「万死に値する行為をよく平気で出来ますね。ほんと」
ネブラ
「あの行為は、許されません!…」
ヴァッサー
「…………………………………」
トォオーノ
「………………………………………………………………」
無言の2人も頷き、皆、「レーラー王国へ向かう」と決心をしたのであった。
ただ、一人の男を除いて…
「………………………………………………………………………………………………」
一方、光の一切がない暗闇の空間
一人の男が、何かを決心した様な声で言う。
「作戦の一段階目は、成功」
「あとは、このまま順調に三段階目まで育成すればいい…」
「表の世界での任務は、任せたぞ」
冷静な声が、光の一切がない暗闇の空間に響き渡り、そのままコツコツと言う足音だけが響いていた。




