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第二章 支配に侵された魔の手  第二十六話 過去の“ 汚染 ”

  

 

皆が、導の近くにやって来る。

 

ルーナーは、導を優しく抱きしめる。

 

 

ルーナー

「お疲れ様、よく頑張ったね」

 

神陽導

「うん」

 

 

そう言う、疲れた笑顔を見せるとルーナーの方へ身体が倒れる。

 

そして、近くにいたチリクやヴァーテル、フルートも疲労からかその場にぶっ倒れてしまう。

 

 

_____________

 

 

爽やかな柑橘系のお香が部屋に立ち上る。

ベッドには、ぶっ倒れた4人とシンソウが眠っていた。

 

 

ルーナー

「ねぇ、ギフト」

 

ギフト

「なんだ」

 

ルーナー

「シンソウくんって大丈夫なの?」

「かなり疲れてたし…」

 

ギフト

「あの時、僕たちの方から少し力を分け与えておいたから命には別状はない」

「シンソウの場合は、ほぼ疲労で、他は、疲労と怪我による気絶だからな」

 

ルーナー

「そっか」

「ありがとう、神髄にあんな機能をつけてて」

 

ギフト

「別に、こうなる事はある程度予想していた」

「神髄の中にある光髄、それを、一時的に“ 原初の太陽(光) ”に変換する機能は…もう二度と使えないだろうがな」

 

 

ルーナーが、俯く。

その隣に、プーラがやって来る。

 

 

プーラ

「お嬢様、私の経験上、もうすぐ皆さんが目を覚まされますよ」

「そんなお暗い顔では、ヘルメス様に心配を掛けてしまいますよ」

 

 

その言葉を聞いたルーナーは、顔を横にぷるぷる振って、元気な顔を作る。

 

そうしていれば、続々と目を覚ます。

各々、骨折やら骨にヒビが入っていたりと、問題はあったが「流石、魔族」と言わんばかりに平気で動いていた。

 

 

チリクは、猫の姿になろうとして、ギフトに止められ、ヴァーテルは腕や足にヒビが入っているのでベッドから出て来て部屋を駆け回る。

 

フルートも近くに魔薔薇が無いことを嘆いていた。

 

その様子を見て、ギフトは治療をやめようか考えているほどだった。

ルーナーは、何故かドヤ顔をしており、プーラもそんなルーナーを見て嬉しそうにしていた。

 

ヴァーテルが、導の寝ているベッドに向かうと、大きくジャンプして導の上に乗っかる。 

 

 

神陽導

「ブヘェ…」

 

 

導は、そんな声を出して、目を覚ます。

ルーナーは、その様子を見て思わず笑いが込み上げて来る。

 

ギフトが、無言で導の上に乗っているヴァーテルを下す。

ヴァーテルは、また、飛び乗ろうとするが、導の上に着地する前を捕まえて下す。

 

の繰り返しをしており、そんな光景を見ていた導も笑いが込み上げて来る。

 

 

神陽導

「ぷふふ…アハハ!」

「ギフトが、お母さんみたいにお世話してる」

 

ヴァーテル

「ほんとだ!」

「ねぇ、ねぇ、もっとやって!」

 

ギフト・ヴィッセンシャフト

「ダメだ。怪我人に乗ったら、遊べなくなるわ」

「大人しくしろ!お前は」 

 

 

ギフトが離れた隙に、チリクが、猫の姿に化けようとする。

 

 

ギフト・ヴィッセンシャフト

「おい!チリク、バカ!変身するな!」

「お前、肋骨を折っているんだぞ!今変身したら、激痛が走るぞ!」

 

 

その忠告を無視して、猫の姿に変身して、「ニャァーー!!!!!!」と大きな声をあげて、人型に戻った。

チリクは、痛みから気絶し掛けていた。

 

 

ギフト・ヴィッセンシャフト

「言わんこっちゃない…」

 

ブルート

「ちょっと、何さっきの猫の叫び声は!」

 

ギフト・ヴィッセンシャフト

「骨折してると言うのに、変身をしたバカの叫び声だ」

「気にするな」

 

ブルート

「あらら…」

「チリク、ギフトの言う事はちゃんと聞きなさいね…」

 

チリク

「ニャァ…」

 

ブルート

「これ、ご飯食べれるかしら…」

 

ギフト・ヴィッセンシャフト

「無理だろ」

 

ブルート

「あらあら…」

 

 

その後、フラメンが、フラメン特製元気になるお粥風親子丼を持って来て皆んなに食べさせる。

チリクは、変身の時の激痛の余波と猫舌で食べてはいなかったが…

 

 

神陽導

「ん〜!おいひぃ!」

 

フラメン

「お代わりはいくらでもあるぜ!」

 

ブルート

「アンタ、無駄にデカい鍋で作ってたのもね」 

 

フラメン

「まぁ、あれは俺が食う分も作っていたからな」

 

ブルート

「だからって、6kgは作りすぎよ!」

 

ルーナー

「ろ、ん?6?」

 

ギフト・ヴィッセンシャフト

「コイツの胃袋は、どうなってんだよ…」

「仲間であっても理解できん」

 

ブルート

「そうよね」

「前なんて、30分で3.7kgの大盛りご飯を食べるチャレンジやって、10分で食べきったと思ったらお代わりしてたんだから…」

 

 

フルートは、「相変わらず、胃袋が6個でもあるんじゃないの?この人」と言うような視線を送っており、ヴァーテルは、夢中になって食べており、チリクは痛みでチーンとなっていた。

 

ブルート達も、フラメンの特製料理を食べながら団欒としていた。

 

 

フルート

「ねぇ、導さん」

「1000年前…この魔界で何があったの?」

 

 

踏み込んだ質問をした。

導は、手を止めたが、すぐに笑顔を作って話し始める。

 

 

神陽導

「そうだねぇ〜」

「1,000年前、神界と魔界、天使界を繋ぐ大きな“ 世界路 ”って言う世界同士を繋ぐ通路があったの」

 

フルート

「魔界って、天使界と繋がってたっけ?」

 

神陽導

「1,000年前は、繋がっていたんだけど…」

「1,000年前の大規模な戦争が勃発しちゃったせいで崩壊しちゃった」

 

ギフト・ヴィッセンシャフト

「だが、それを直す前に君が失踪したと?」

 

神陽導

「まぁ、なんで失踪したのかは、今も思い出せないんだけどね…」

 

ヴァーテル

「1,000年前の大規模な戦争って、どんな感じ?」

「ぶわぁ〜!って感じ?」

 

神陽導

「そうだねぇ〜」

「まず、原因から言えば、さっき言った“ 世界路 ”の天使界と魔界側の所に、謎の世界が突然誕生したの」

 

フルート

「謎の世界?」

 

神陽導

「今は、崩壊してるから…詳しくは分からないよ」

「でも、そこの世界が、急に宣戦布告をして来て3世界を巻き込む大戦争が勃発しちゃった」

 

チリク

「それで、その3つの世界から軍とか王とか直々にやって来たって感じなんでしょう?」

 

神陽導

「うん、そう。それで、魔界と友好関係をようやく結んだ天使界からの要請で、“ 悪魔大帝國 ”って言う帝國から少数だけど精鋭部隊がやって来て、敵を一瞬で倒していったのよね〜」

 

「もう、凄かったんだよ」

 

フラメン

「どう言う風にだ?」

 

神陽導

「だって、私ですら苦労する敵を、ワンパンしていくんだよ」

「化け物集団だよ…」

 

フラメン

「oh……」

 

神陽導

「まぁ、ただ、神界や魔界、天使界側と“ 悪魔大帝國 ”側…互いに実力を見誤っていたの」

「私達は、戦闘実力から見たら、明らかに強いことは分かっていた」

 

 

導が、沈黙をして…

 

 

神陽導

「“ 悪魔大帝國 ”側もこちら側の実力を、一体相手するのに10人の居たら苦戦はするが倒せると思っていたのかは分からないけど、多分そんな感じだった」

 

フルート

「互いに実力の把握を怠っていた…ってことですよね」

 

神陽導

「“ 悪魔大帝國 ”の実力も凄かった」

「一瞬で敵が倒れていくだけど、こちら側が追いついていなかったの」

 

「そのせいで、連携とかも遅れちゃってね…神界と魔界は全滅、天使界側も王を残し軍は全滅って結果で、勝利する事はできた」

 

フルート

「壮大なことが…」

 

神陽導

「まぁ、一番被害を受けてたのは神界だったから、私は神界方面で戦ってて、魔界方面の事はよく知らないけど、多分、沢山の人が亡くなったんだと思う」

 

 

導が、目を閉じて、開く。

 

 

神陽導

「でも、私は、前に進み続ける」

「失敗なんて、人生必ずしも沢山ある事、教訓として生き未来の為に役立てればそれでいいの」

 

 

導の瞳に光強く宿る。

 

 

_____________

 

 

魔界大帝國の城

 

その一番に、いた。

城の頂点に、立っていた。

 

顔に頭を付けており、細い身体に長身で、2枚の翼と2枚の歪な形をした翼が背中から生えていた。

 

 

そこに、部活らしき人がやった来る。

 

 

部下

「ミッターナハツゾネ様、天使界の方でも部隊の準備は完了致しました」

 

ミッターナハツゾネ

「そうか、だったら、魔界は用済みだ」

「魔界の月神の心髄も手に入れる事はできた」

 

部下

「分かりました。撤退の準備も完了致してます」

 

ミッターナハツゾネ

「先に、帰ってろ」

「私は、まだ、此処に用がある」

 

部下

「承知致しました」

 

 

部下が、撤退した。

一人残されたミッターナハツゾネは…

 

 

ミッターナハツゾネ

「嗚呼、俺の力が浄化されてしまったか…」

「取り戻す事は、不可能か…」

 

「“ 汚染 ”の源である俺を、“ 浄化 ”出来る存在がいるのか…」

 

 

ミッターナハツゾネの声は、少しある種の嘆きに聞こえた。

 

 


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