第二章 支配に侵された魔の手 第二十四話 憧れなど捨ててしまった者
アンヘンガー帝國と魔界大帝國の国境地帯に黒い結界があった。
その近くに、それはいた。
片腕を上げて、攻撃を溜めている“ 悪食の王 ”がいた。
国境地帯にあった黒い結界が解ける。
其処には、鋭い目をした皆んながいた。
導が、刀を持ち直すと、“ 悪食の王 ”が攻撃を放つ。
その攻撃を、力を溜めて出来た7色の星を飛ばして反撃を試みるも、無意味に終わる。
皆は、拡散する様にバラバラに離れる。
だが、その放った攻撃は、小さく分裂し追尾する様に彼らを襲う。
チリクは、自身の武器を構える様にして防ぐ。
フラメンとギフトは、互いに向かってる攻撃を打つけ、回避し、ブルートに向かってた攻撃はいつの間にか消えていた。
ヴァーテル
「てりゃ!」
小さい身体で、大剣を持ちシールドの様に構える。
フルートも自身の力で近くにあった草木の葉を鋭いダーツの様な物に変化させて、攻撃をするが、それは意味をなさずに飛んでくる。
フルートの目が大きく見開く。
「このままでは、攻撃が当たってしまう」
そう思った時、上から風で出来た槍の様な物が降って来て、その攻撃が消える。
それは、ヴァーテルに向かって当たりそうな攻撃も同様だった。
ヴァーテル
「えぇ!?消えちゃった!」
フルート
「風の槍?」
遠くから見ていたフラメンが、2人に向かって
フラメン
「お前ら!ボケっとしてる暇があるなら、身体を動かせ!」
「次の攻撃が来るぞ!」
2人が、上を見ると2本の赤いレーザーポイントが心臓部を狙う様に光っており、気付けば目の前にレーザービームが近付いて来ていた。
「当たって死ぬ…」
その言葉が、浮かんだり口走るかもしれない。
何処からか、指パッチンの音が森に響く。
2人に当たるコンマ数秒、目の前に風の盾の様な物が現れ、攻撃が終わるまで守り続けてくれた。
その場面を見ていたシンソウは…
「あの風の盾…何処かで…」
と疑問が浮かび上がっていた。
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少し離れたところに、ハンモックに寝っ転がっている黄緑からエメラルドグリーンの髪の男性がいた。
謎の人
「ふ〜ん、“ 汚染 ”されてる奴にしては、結構強いな」
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視点は、戦場に戻る。
敵は、空中にいる。
「空中戦は、こちら側が不利になる」
と思った導
導は、足元を爆発させて空中に飛び上がり、身体に風を纏わせ空を飛ぶ。
まだ、慣れないが、雷を足に纏ってスピードを活かした空中戦に切り替える。
フラメンも、空中戦より地上戦に連れて行った方が弟子達や未熟な導にも有利になると考えて、身体に炎を纏って空を飛んで、導が攻撃しやすい様に囮になって戦う。
それであっても、空中戦は慣れてなさすぎて苦戦を強いられる。
フルート
「リーフウェポン!」
近くにあった草木の葉が、槍や矢に代わって飛んでいく。
ヴァーテル
「ヴァーテルだって、頑張るもん!」
「スイ・スフィア!」
ヴァーテルの周囲に、水の球体が10個現れると先端だけが鋭くなった水球を“ 悪食の王 ”に当てる。
その攻撃が当たると、“ 悪食の王 ”の動きが数秒だけ鈍くなる。
以前として、“ 悪食の王 ”を地面に叩き落とす様な攻撃がされない。
前からフラメン、後ろから導が同時攻撃を仕掛ける。
“ 悪食の王 ”は、全身が「ドクン」と波打つと、身体から幻夢に侵された者の様な化け物が現れ、其方の対処をしようとする。
そうすれば、フラメンの横脇腹に強烈なストレートパンチが、導には大きく尻尾による攻撃が飛んで来て、地面に叩き付けられてしまう。
そのまま、導は気絶
フラメンも受け身を取る事には成功したものの、横脇腹を抑え、すぐには戦闘に参加出来そうにはなかった。
ギフト
「フラメン!」
ギフトの近くに、フラメンが叩き落とされたのですぐに、治療を行う。
だが、導は、ちょうど真反対に投げ飛ばれてしまった。
“ 悪食の王 ”の心臓部から赤いレーザーポイントが、8本出て来て、狙いを定めた…
その瞬間、レーザーポイントが極太のビームになり変わる。
ドォォゴォォーーーーン
と言う、大きな音と共に衝撃波が当たりを襲う。
そのビームがあった場所の周囲の木々が吹き飛ぶ。
空には、キノコ雲が6個も浮かび上がる。
土煙が晴れると、導とシンソウを除く6人が、大怪我をして気絶していた。
シンソウは、謎の力により守られており、気絶している導の前には…
???
「…ッッ……ハァ…ハァ…」
プーラ
「ルーナー様、ご無理は…」
ルーナー
「私だって、ハァ…守られてばっか…は、嫌なの!」
ルーナーは、地面に崩れそうになるのもプーラが支える。
其処に、シンソウが飛んで来る。
皆の居場所は、一目瞭然だった。
皆を隠していた木々が吹き飛んでいたせいでもあった。
プーラ
「皆さん、気絶しています」
「起きるまでは、私も介入してよろしいでしょうか?」
ルーナー
「私だって…!……ッッ…」
シンソウ
「無理ですよ」
「そんな身体では、今は主人様や皆様を安全な所に移動させてあげましょう」
ルーナー
「分かった」
シンソウは、ルーナーに力を与えて、安全な場所に次々と連れて行ってあげる。
その間、プーラは、剣を取り出し“ 悪食の王 ”と対峙していた。
だが、一瞬で決着はつけない。
プーラの年齢は3000億歳だ。
その経験を踏まえれば、たかが数千年しか生きてない魔族など、雑作もなかった。
でも、これは作戦のうちだった。
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回想
神髄の研究をしているギフトと護衛の為にいたフラメン
ギフト・ヴィッセンシャフト
「まぁ、私達の力であっても“ 悪食の王 ”は簡単に倒せるだろう」
フラメン
「でも、これは俺たちの問題だったが、少しでも楽にしてやりたいんだ」
「だから、俺たちは出来る限り手加減をする」
プーラ
「“ 楽 ”ですか…」
フラメン
「“ 汚染 ”された存在は、“ 純粋 ”に戻る事は出来ない」
「だが、俺らは、それを覆す事が出来る奴がいる事を知ってる」
プーラ
「!…ヘルメス・ルシテア」
「そうか、彼女は初代最上級神の直結の子孫だから…」
ギフト・ヴィッセンシャフト
「初代の持ってたら、凡ゆるものを“ 浄化 ”する炎を力を受け継いでる可能性が大いにある」
「もし、無かったとしても、一時的に“ 汚染 ”を取り除く事が出来るのは確認済みだ」
プーラ
「だけど、彼女は、その力に気付いていない」
フラメン
「其処が問題なんだよなぁ〜」
「直前まで、アイツを出来るだけ油断させる為に、俺たちは敵対しにゃならんし」
プーラ
「その点については、私の方で考えがありますので」
「お任せ願えないでしょうか?」
ギフト・ヴィッセンシャフト
「構わない」
「その代わり、こちらも最高のものを送ってやろう」
ギフトの目が鋭くなり、口元が緩んでいる。
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舞台が、空中戦に戻る。
プーラは、攻撃を余りしない。
だが、“ 悪食の王 ”からの攻撃は全て捌き、全員が回復に特化出来る様に、仕向けていた。
一方、ルーナーを含む、地上組はルーナーの治癒でギフトを目覚めさせる。
回復しきってない身体に鞭を打つ様に、ギフトは、皆に手当をを施す。
ルーナーは、その様子を見たのちに、導に回復を施してあげた。
これは、プーラから言われた事だった。
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回想
ルーナーが、身を寄せている洞窟の奥で
プーラ
「近々、魔界大帝國とアンヘンガー帝國の国境付近で、大規模な戦争が行われるそうです」
ルーナー
「それで、私になんの関係があるわけ?」
プーラ
「ヘルメス様もご参加するらしいですよ」
ルーナーが、驚いた表情になる。
プーラ
「もし、ヘルメス様に回復が必要になったら、してくれますか?」
ルーナー
「する!命の恩人なんだもん!」
「1,000年前、助けれなかった、この屈辱が晴らす時が来ただけ!」
プーラ
「そうですね」
「ですが、ギフトさんをご存知で?」
ルーナー
「神髄を作ってくれた?」
プーラ
「もし、彼が倒されたら真っ先に回復してあげてください」
「彼に他の方の回復を任せて、お嬢様がヘルメス様への回復に注力する為にね」
ルーナー
「分かった!」
ルーナーは、元気よく頷く。
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そんな事を思い出しながら導の回復に尽力を尽くす。
すると、ギフトが近付いて来て耳元で何かを囁く。
それを聞いたルーナーは、大きく目を広げ、ギフトの目を見つめ頷くと…
今、自分が出せる最大限の月光を手に集約させてる。
当たりを光が包み込む。




