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第二章 支配に侵された魔の手 第十九話 最後の一手

 

 

導が、目を覚ましてから数日が経ち…

首元の傷も完全に塞がり、完全復活した。

 

 

ギフト・ヴィッセンシャフト

「かなり回復した様だな…」

「……もう、会わせても問題はないか…」

 

神陽導

「?…」

 

ギフト・ヴィッセンシャフト

「シンソウの元にだ」

 

神陽導

「行く!今すぐに」

 

ギフト・ヴィッセンシャフト

「分かった。分かった。ほら…」

「手を握ってくれ、兄さんの力で行くから」

 

神陽導

「分かった!」

 

 

導は、此処数日、ギフトと暮らしたおかげか、ちょっとだけ一時的な信頼ではなく、対等な人としての信頼をおけるほどにはなっていた。

 

そして、導は、差し出された手に自身の手を置くと「シュン」と音をたて、瞬きをした頃には、白い壁、太いチューブ、沢山機材がある部屋にいた。

 

部屋の中央にある大きな台座、その隣には、シンソウが止まり木の様な場所に留まりながら目を瞑っていた。

 

 

神陽導

「シンソウ!」

 

ギフト・ヴィッセンシャフト

「近づくな、まだ、実験中だ」

「下手に近づくと問題が起こり、命に関わる」 

 

 

導が、近づこうとした時に、ギフトの腕に阻まれる。

 

 

ギフト・ヴィッセンシャフト

「被験体の実験を止め、速やかに休息を与えよ」

「次からは、最終段階に移行する」

 

 

そう言えば、周囲にいた人たちが、機材を止めてシンソウを起こす。

 

シンソウは、少しぐったりとしているが、導を見つけるとすぐさまに飛んで行く。

導も目に涙を流しながら、シンソウの元に行き、抱きしめる。

 

 

ギフトは、近くにいた研究者と何かを話している。

 

 

シンソウ

「主人様!お怪我はございませんか?」

 

神陽導

「今はないよ!」

「まぁ、此処に来る前までは、体内に魔脈の樹液の原液を注入されたり、解毒剤を使って貰ったりって色々あったらしい」

 

シンソウ

「なぁ!なんですとぉ!?」

「本当に、お身体大丈夫なんですか?」

 

神陽導

「今はピンピンしてるから大丈夫!」

「にしても、シンソウはさっきまで何をされてたの?」

 

シンソウ

「詳しい事は教えて貰っていませんが…単的に言えば…」

「ルーナー様を救うための行動と言う感じでしょうか?」

 

神陽導

「ルーちゃんを救うための行動?」

 

???

「おやおや、2人もやっと参加出来る様になりましたか」

 

神陽導

「!?…プーラ!?」

 

プーラ

「お久しぶりですね」

 

 

研究室にプーラが入って来る。

 

 

ギフト・ヴィッセンシャフト

「嗚呼、シンソウのお陰で外側の膜は、ほぼ完成した」

「あとは、そこに中身を入れるだけだ」

 

神陽導

「どう言うこと?」

「2人は組んでたってこと?」

 

プーラ

「そうですね」

「ルーナー様の心髄が大幅に失われた時から協力関係でしたよ」

 

ギフト・ヴィッセンシャフト

「僕が抱えるプロジェクトは主に2つ、幻(・)夢(・)の抑制と治療技術の確保」

「もう一つが、ルーナー様の心髄の役割を果たす光(・)髄(・)の開発だ」

 

プーラ

「まぁ、月光の吸収する装置の開発を許可したのは私です」

「ルーナー様が助かるので有れば、多少の犠牲は許容しますよ」

 

神陽導

「そう言う事!?」

「でも、どうして敵対を…」

 

シンソウ

「そうですよ!」

 

プーラ

「アンヘンガー帝國が、置かれてる状況からしたら、そうした方が手っ取り早いですよ」

 

ギフト・ヴィッセンシャフト

「話は、そこまでだ」

「機材の準備が出来た」

 

プーラ

「では、早速」

 

神陽導

「何をするの?」

 

ギフト・ヴィッセンシャフト

「シンソウの記憶から抽出して作った、外側の膜のの中に彼の保つ紅月の光と貴方の保つ太陽(光)を使って、心髄の力と似たものを作るんだ」

 

プーラ

「心髄自体が、初(・)代(・)最(・)上(・)級(・)神(・)を創り出した力と“ 原初の月 ”を混ぜ合わせて作られたものですから」

 

神陽導

「そっか、でも、私は初代ではないから…似た様な力しか作り出せないって感じなのか!」

 

ギフト・ヴィッセンシャフト

「そう言う事だ」

「では、始めよう」

 

 

導とプーラは、立ち位置に着くと、手を伸ばす。

導からは、赤や青、薄黄色を含む8色の光の粒が、空っぽな神髄の中へ入っていく。

プーラの手からも赤黒い光の粒が出て、空っぽの神髄の中に取り込まれていく。

 

それは、ある種の幻想的な現象だった。

 

ある程度、力を与えると神髄が光だし、太陽(光)と月(紅月)が合わさる。

 

 

ギフト・ヴィッセンシャフト

「成功だ」

「あとは、これをルーナー様に届ければ問題ない」

 

プーラ

「ギフトさん、誠に感謝致します」

 

 

すると、神髄の近くの空間が歪み、そこから一人の男性が現れる。

その顔を見たプーラが、驚く。

 

男は、黒い髪に鋭い目、吸血鬼の様な大きな八重歯が目立つ吸血鬼の様な存在

 

 

???

「素晴らしい研究だ」

「この神髄とやらは、我々、ファイントにも貸して頂きたい」

 

ギフト・ヴィッセンシャフト

「貸すわけないだろ」

「私の研究成果だ。お前ら愚民に貸すわけないだろ」

 

プーラ

「奪ってなんにする気だ…」

 


プーラが、低い声を出す。怒っているようだ。

 

 

???

「それは、我々の任務を果たすためですよ」

「ミッターナハツゾネ様からの命ですので…」

 

神陽導

「ミッターナハツゾネ?」

 

???

「では、頂きますね」

 

 

男が、神髄に触れようとすると、男の顔面に向かって強烈な足蹴りが入り、壁を破壊しながらぶっ飛んでいく。

 

導は、その情景に驚きだった。

何せ、前にあった“ 例の先客 ”が答えてくれた事と真反対だったからだ。

 

そして、男を蹴り飛ばしたのはフラメンだった。

 

 

フラメン

「ギフト!アイツは、俺が相手する!」

「南の門に、弟子たちを呼んでおいた!さっさと月神のとこまで行ってこい!」

 

ギフト・ヴィッセンシャフト

「感謝する」

 

 

ギフトが、装置から神髄を取り外し、導たちとともに南の門へと向かった。

 

 

______________

 

 

一方、南の門の前では…

 

 

チリク

「暇…」

 

ヴァーテル

「あたしの頭の上で出るの気持ちいの?」

 

チリク

「うん」

 

 

そこには、チリク、ヴァーテル、フルートの3人がいた。

 

チリクは猫の姿になって、ヴァーテルの頭の上に乗って寝たそうにしていた。

 

 

すると、遠くから戦闘音の様な誰かが争っている音とこちら側に走ってやって来ている男が聞こえた。

 

 

チリク

「誰か、来るよ」

 

フルート

「師匠は、呼んでおいてこないとか、どう言う神経してんでしょ…」

 

ヴァーテルが、上を見上げる。

そこでは、赤い炎の様な光と黒い闇の様な光が、空中を飛び回っており、よーく見るとフラメンと…

 

 

ヴァーテル

「あれ、ししょうとレーなんちゃら!」

 

 

フルートが、見上げる。

 

 

フルート

「師匠に、あれは…」

「ファイントの…副代理!“ レ(・)ー(・)ヴ(・)ァ(・)テ(・)ン(・) ”!?」

 

ヴァーテル

「あれ、あそこは、お仲間しゃんじゃないの!?」

 

チリク

「ん?導にプーラさんまでいる」

 

 

そこに、ギフト、導、シンソウ、プーラの4人がやって来る。

 

 

ギフト・ヴィッセンシャフト

「お前たち、俺らを護衛しろ!」

 

フルート

「嫌です」

 

ギフト・ヴィッセンシャフト

「ルーナー様が下手すれば死ぬぞ!」

「それでもいいなら、護衛はするな!」

 

神陽導

「みんな!とりあえず協力して!お願い!」

 

ヴァーテル

「導ちゃんも言ってるから、ヴァーテル手伝う!」

 

チリク

「めんどくさい…」

 

フルート

「仕方ないですね…」

 

 

皆が、ギフトを守る様な配置で、ルーナーがいる洞窟へと向かう。

空では、フラメンとレーヴァテンが戦っていた。

 

フラメンは、拳や足などの格闘技やボクシングを合わせた様な戦法で戦う。

レーヴァテンも負けじと、自身の変わった形の武器、レーヴァテインを扱っていた。

 

戦闘は、平行戦だった。

 

 

地上組は、古代装置をうまく使いながら、ルーナーの元へ向かう。

 

 

そして、ルーナーのいる洞窟の前まで行くと、エネミーに属する者たちがおり、それを見たプーラは剣を取り出すと、一瞬でエネミーを消し飛ばし、奥までの経路を確保する。

 

 

導たちが、洞窟の奥に着くとルーナーは、地面に倒れており、周囲に咲く魔薔薇が萎れていた。

プーラが、近づき、抱き起こすと…

 

 

プーラ

「お嬢様!何があったんですか!」

 

ルーナー

「あぁ…しん、髄…うばわれ…」

 

 

そう言って気絶した。

ギフトが、近づき出来たばかりの神髄をルーナーに入れ込むと…

 

先程までは、死にそうな顔をしていたが、少しだけ楽な顔になった。

 

 


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