第二章 支配に侵された魔の手 第十六話 毒のあり方
ポコポコ
丸底フラスコに入っている液体が、沸騰している。
其処には、ギフト・ヴィッセンシャフトとブルートの姿があった。
ブルートは、ギフトの頭の上に自身の顎を置いて、実験の様子を見ていた。
ブルート
「ねぇ、ギフト」
ギフト・ヴィッセンシャフト
「なんだ。姉さん」
ブルート
「何作ってるの?」
ギフト・ヴィッセンシャフト
「幻夢の解毒剤」
「どうせ、今は堕ちてる状態…そこから救うだけ」
ブルート
「難しいわね〜」
ギフト・ヴィッセンシャフト
「俺の血液を使って、魔脈の樹液をも使うとは想定外だったがな」
「だが、下手くそすぎる」
ブルート
「そんなに?」
ギフト・ヴィッセンシャフト
「俺なら、発光もしなければ、襲われている事すら分からん毒を作る事すら可能だ」
「それなのに、ド底辺研究者どもは、中途半端な試作品ですらないゴミを“ 完成品 ”と言言える神経が分からん」
ブルート
「研究者気質が出てるわよ〜」
ギフト・ヴィッセンシャフト
「別に構わないだろ」
「……完成した」
ブルート
「行って来るのね」
ギフト
「どうせ、召使が助けているだろう」
ブルート
「確かに、そうね」
「それじゃ、気をつけて」
ギフト・ヴィッセンシャフト
「嗚呼」
ギフトが、火を止め注射器に解毒剤なるものを注入し、蓋をして研究室を後にする。
ブルートも後を追う様に研究室を後にした。
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一方、導はと言うと…
気絶した状態で、魔界と幻夢の中間でぶら下がっていた。
ギフト・シズムが必死に幻夢の方に落とそうとするが、まるで、強靭な紐で繋ぎ止められているようだった。
ギフト・シズムの目に一羽のアルビノの鴉が映り込むと、ギフト・シズムが頭を抑え出し幻夢の方へ落ちていく。
ギフト・シズムは、激怒の声をあげるが、それは届かず、導は、魔界へと連れ戻されていった。
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木材で出来た部屋だ。
部屋には、木製のベッドと棚、木製のテーブルと椅子
そして、ギフトの姿があった。
ギフトは、手早く導に注射器を腕に当て、解毒剤なるものを注入する。
ギフト・シズムによって噛まれた首元は、消毒に止血剤を塗って、包帯を巻く。
部屋には、お香の様なものが置いてあり、香りは檜の様な温もりある木のお香だ。
導は、まだ眠っている。
導の体内では、ギフト・シズムによって注入された魔脈の樹液の原液とギフト・ヴィッセンシャフトが注射器で注入した解毒剤なるものが戦っている状態なのだから…
ギフト・ヴィッセンシャフト
「導の救出、非常に感謝しているよ」
「召使」
召使
「こちらも、救出に少し時間を掛けてしまい申し訳ございません」
ギフト・ヴィッセンシャフト
「私は怒ってなどいない。寧ろ、こちら側の任務をしてくれて助かっている」
召使
「光栄なお言葉です」
「それで、導様の体調は?」
ギフト・ヴィッセンシャフト
「最低、一週間は眠りにつく」
「まぁ、最大でも1ヶ月は眠るだろうな」
召使
「そうですか…」
「“ 臨時秘書 ”には、私の方からご報告しておきます」
ギフト・ヴィッセンシャフト
「嗚呼、助かる」
そう言い終えると、「召使」と呼ばれたフードを被った者は居なくなっていた。
ギフト・ヴィッセンシャフト
「相変わらず凄いものだ」
「私ですら、魔脈の樹液の原液を飲めば障害が残るかもしれないと言うのに…」
「……障害一つ、起きる事なく回復する事が出来るとは…」




