第二章 支配に侵された魔の手 第十三話 Lüge
導たちは、プーラから教えて貰った露出した魔脈や破損した魔脈を修繕し終えた後…
魔界大帝國に移動して、1日を終えた。
翌日、導は古代の装置を使って、魔界大帝國の北にある最大の大都市、「ミルクラ」と言う都市に向かった。
何せ、此処も魔脈の問題を抱えていたからだ。
そして、此処なら“ アンヘンガー帝國 ”について少しは、知れるかもしれないと言う薄い期待を持って訪れた。
このミルクラと言う都市の魔脈の問題は、非常に深刻だった。
魔脈が、公共施設や民間施設を破壊し道路を寸断する様にも生えている。
だが、幸い街の中心部ではあまり破損している箇所は見受けられなかった。
それは、魔界大帝國の軍人が警備をしているお陰だった。
最上級神こと、導のことは、その軍人たちにも伝えられており、導が事情を説明すれば、すんなり通してくれた。
導が、手に源守力を貯めて魔脈に触れると、魔脈が意識を持ったかの様に地面の中に戻って行く。
その光景を、ミルクラに住む民の視線が釘付けになり、中にはカメラの様なもので撮影している者までいた。
そして、導が、力を強めるほど、周囲の魔脈も地面に帰って行くが、建物を貫通して生えている魔脈は砂埃やヒビを入れながら地面に戻って行く。
導は、その点について謝ると、軍人の方から、「建物の破損などはこちらでお任せを」と言って貰えたので少しだけ心が楽になった気がした。
導とシンソウは、一仕事を終えて、目に入ったカフェの様な場所に入る。
中には、沢山のお客さんがいた。
導は、その場で飲み物と軽い軽食を注文し、テラス席へと向かう。
そこには、一人の先客がいた。
赤いピンク髪の女性が、一人、カフェラテの様なものを飲んでいる。
神陽導
「ん〜疲れた〜」
シンソウ
「お疲れ様です。主人様」
神陽導
「ほっ…」
「これから、なにがあるんだっけ?」
シンソウ
「先ほどの魔脈を地へと戻したお陰で、此処ら一帯の魔脈問題は解決したでしょ」
「それと、今日はお疲れでしょから、アンヘンガー帝國についての聞き込みは明日にしますか?」
神陽導
「流石に、疲れたけど、宿に戻る間に軽く聞き込みはしておこうかな」
シンソウ
「承知致しました」
???
「あら、アンヘンガー帝國について知りたいの?」
テラス席にいた先客が、声を掛けてくる。
どうやら、盗み聞きをしていた様だ。
神陽導
「うん、お姉さん知ってるの?」
女性
「えぇ、私、アンヘンガー帝國に住んでる者なの」
「今日は、買い出しでこっちに来たのよ」
神陽導
「へぇ〜そうなんだ!」
「ねぇ、ねぇ、アンヘンガー帝國ってどう言うところ?」
導は、興味深々な様子で聞くが、これは演技だ。
昨日の一件で、アンヘンガー帝國にかなり警戒心を抱く様になってしまったからだ。
女性
「そうねぇ〜」
「医学と機械関係が特に発達した国って思ってくれれば助かるわ」
シンソウ
「医学と機械関係って、意外と幅広いですね」
女性
「えぇ、貴方は、魔脈で亡くなった方を沢山見てきたでしょ?」
神陽導
「……うん、そうだね」
女性
「アンヘンガー帝國の医療技術なら、そう言う人たちを助ける事が出来るくらい」
「って言ったら、アンヘンガー帝國の医療技術の凄さが分かるかしら?」
シンソウ
「それは凄いですね」
2人は、この時点で、警戒心を少し緩めた。
この女性が言ってる事は、「嘘」だからだ。
2人は、“ 嘘 ”情報に踊らされているのだと思っていた。
何故、2人が“ 嘘 ”だと思ったのかと言えば…
“ 魔脈 ”の樹液は、猛毒だ。
“ 魂 ”に干渉するタイプの毒であり、源守力を持ってる者じゃないと即死する為である。
その為に、2人は、「嘘」である事が簡単に分かり、この女性も洗脳されていると思い、アンヘンガー帝國を相当な独裁国家だと思っていた。
女性
「貴方は、あまり信用していないようね」
「まぁ、羽田から見れば嘘の様に見えなくもないけど、これは本当の事よ」
神陽導
「へ、へぇ〜」
女性
「それにしても、貴方達は、アンヘンガー帝國に行きたいから、情報取集でもしてるのかしら?」
シンソウ
「は、はい、そうなんです」
「ですが、アンヘンガー帝國は、入国が難しいと聞いておりまして…」
女性が、「ふふ」っと口元に手を置いて笑う。
2人がキョトンとしていると、懐から一枚のカードを取り出す。
女性
「このカードが有れば、自由に行ききできるわよ」
シンソウ
「!…」
神陽導
「!?」
女性
「ふふ」
「でも、タダでは貸せないわよ」
神陽導
「あっ、そっか…」
女性
「でも、そんな悲しい顔しないの」
「今から、2つの条件を言うから、それを守れるので有れば予備のカードを貸してあげなくはないわよ」
シンソウ
「その条件とは?」
女性
「そうね。一つは、頭を撫でさせて貰えるかしら?」
神陽導
「えっ?」
女性
「2つ目は、アンヘンガー帝國国内では、帝王に関する事は基本的に話したり聞いたりするのは禁止よ」
「下手したら、死刑になっちゃうから」
神陽導
「ほぇ…」
シンソウ
「では、実質的には、主人様の頭を撫でれば貸して貰えると?」
女性
「えぇ、でも、予備のカードは基本使わないから家に置いて来てるのよね」
「だから、1日だけ待って貰えるからしら?」
神陽導
「うん、構わないよ」
「準備とかしないとだし」
女性
「それは、よかったわ」
「それで、この条件…呑んでくれるかしら?」
神陽導
「うん!」
女性
「じゃ、撫でるわよ」
女性は、そう言って立ち上がり、導の隣の席に移動すると、導の頭にそっと手を置いて、優しく左右に動かす。
その手つきは、非常に心地よく、導はそのナデナデに、うっとりとした顔になっていた。
周りには、ホワホワ〜っとしたお花のパーティクルが飛んでいる様だった。
女性が、そっと手を離すと…
女性
「ん〜満足」
「ありがとうね」
神陽導
「私の方もありがとう!」
「とっても気持ちよかった!」
女性
「それはよかったわ」
「とりあえず、私は、そろそろ帰らなきゃだから、帰るわね」
神陽導
「うん!」
女性
「待ち合わせは、此処で時間は13時くらいね」
シンソウ
「分かりました」
「あっ、それと。お名前をお伺いしてもいいでしょうか?」
神陽導
「あっ!名前言ってなかったね」
「私は、神陽導っと言うの、こっちは使い魔のシンソウ」
シンソウ
「よろしくお願いします」
女性
「私は…」
リューゲ
「“ リューゲ ”よ」
「よろしくね」
神陽導
「よろしく!」
リューゲ
「それじゃ、またね」
そう言って、リューゲはその場から立ち去り、導たちもトゥアが手配してくれた、宿に戻り、手紙を書いた後に、近くにいた魔界大帝國の軍人さんに、魔界大帝國の国王トゥアに渡す様に言って、その日は就寝した。
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紅月の光が差し込む暗い部屋
そこに、いた。
灰色の髪に目元に包帯を付け、女性の様な体格の女性が、椅子に座って待っていた。
コンコン
???
「入るわよ」
部屋に、赤いピンク髪の女性…リューゲが入ってくる。
リューゲ
「お姉さんの任務完了よ」
「ニヒツ」
ニヒツ
「そう、お疲れ様」
「ブルート」
ブルート
「ふふ、お姉さんの演技は凄いのよ」
リューゲ…
いや、ブルートは、ニヒツの隣りに行くと、ニヒツを抱き寄せ頭を撫でる。
ニヒツも満更ではない優しい笑みになって、ブルートの胸の中に沈む。
ブルート
「明日、導ちゃんたちがくるわよ」
「貴方も直接会うつもりなの?」
ニヒツ
「そのつもり…怒ってる?」
ブルート
「まさか!貴方が、そんな事を言うから驚いたのよ」
「でも、無理はしちゃダメよ。お姉さんとの約束」
ニヒツ
「わかってる」
「後で、ギフトも呼んで一緒に寝よ」
ブルート
「まったく、ニヒツったら」
「いいわよ。お姉さん付き合ってあげる」




