第二章 支配に侵された魔の手 第十話 魔界の帝王・トゥア・シズム
一向は、フルートが用意した客間に泊まり、一夜を過ごした。
そして、翌日になり朝食を済ませ、導とシンソウは、フルートの案内の元、ヴィントが作った露出した魔脈や破損した魔脈が記された地図を頼りに進む。
そこには、沢山の破損した魔脈に大量の魔界の民の死体が山積みになっていた。
周囲には、死体の腐敗臭が漂っており、その臭いが目に染みる様なほぼまで腐敗が進んでるところもあった。
導は、源守力でガスマスクの様なものを創り出し、シンソウとフルートに手渡し、修繕しながら、奥へと進み続ける。
奥に行くほど、露出は多く、そして太かった。
それ、修繕する箇所も必然的に増えるという事だった。
導が、破損した魔脈の修繕をしている間、フルートが藍色の炎で魔脈へと帰す。
シンソウは、辺りを警戒と死体がある場合の確認をしていた。
そして、大体の修繕を終え、また地面の中に戻し終える。
残り、一箇所になる事には、神界でいう夕方にあたる時間になっていた。
だが、魔界には、“ 1日の時間 ”なるものは存在しない。
魔界は、常に、赤い月が出ているために、時間の感覚にかなりルージュというか、疎いのである。
フルート
「ねぇ、導さん」
「もう帰りましょう?もう、夕方ですよ」
神陽導
「ううん、最後の一箇所をやり終えないと…」
シンソウ
「主人様、帰りますよ!」
「このままでは、“ 幻夢 ”が発生してしまいます!」
神陽導
「でも!」
シンソウ
「「でも!」では、ありません」
「また、“ 幻夢 ”に侵されたらどうするんですか!次助かる見込みもないのに!」
神陽導
「その時は、ギフトに助けて貰うもん」
導がフンとした顔で、シンソウの言葉を突っぱねる。
フルート
「ギフトさん、基、アンヘンガー帝國は、あまり信用しない方が身のためです」
神陽導
「えっ?」
「でも、フラメンは?」
フルート
「フラメンは、師匠だからある程度信用しています」
「ですが、今は、過去と比べてそれほど信用していません」
シンソウ
「なぜ…」
フルート
「これは、長い話になるので、王国に帰って話しましょ」
神陽導
「ぷぅ…」
「わかった」
導は、不貞腐れた顔になるが、大人しく納得した。
そうして、帰っている時に、フルートが不意に、立ち止まる。
導が、フルートの顔を覗き込む様に見ると、フルートのたちの前方から聞き慣れた…
いや、嫌でも聞きたくない声がした。
フルートが、即座に武器をと取り出したのを見て、導も武器を取り出す。
聞きたくない声
「おやおや、それほどまで私を警戒するのかな?」
フルート
幻夢のコピー…」
幻夢のコピー
「それは、如何なものか…」
「私には、“ ギフト ”と言う名があるのに…」
目の前から、薄紫に淡く光り、紫髪の長いポニーテールに白い白衣を身につけた男性…
ギフト・ヴィッセンシャフトに似たその者は、その場にいた。
周囲に、幻夢が発生する。
神陽導
「何しに来たの?!」
ギフト
「そうですね。単刀直入に言えば、お迎えに来ましたよ」
「最上級神さまぁ〜//」
ギフトの頬が赤くなる。
興奮している様だ。
ギフトは、頬に手を置き喋り出す。
ギフト
「さぁ〜魔界を救うために、我々の一部になってくださいよぉ〜//」
神陽導
「嫌に決まってるでしょ!」
「一部とか、気持ち悪すぎでしょ!」
ギフト
「ハァ?」
「この様な好機を逃すのですか?最上級神さまぁ」
ギフトの瞳が小さくなり、少しガンギまっていた。
導とフルートは、後退る。
背後の幻夢から、ラメの入った霧の手が生えて、必死に手を伸ばしてくる。
ギフト
「ほら、彼らも喜んでいる」
「さぁ…!早く!」
幻夢が、導に向かって手を伸ばす。
フルートが、武器を構える。
???
「ハァァァァ!!!!」
「クタバレ!幻夢ぅぅ!!」
空から、野太く厳つい声がする。
上を向けば、赤黒い炎を纏った大剣を振り翳す者が、そのまま降って来ていた。
ギフトは、目を大きく開け「マズい」と言う顔になって、その大剣が当たる。
目の前を、赤黒い炎が立ち上る。
地面は、大きく凹み、その威力を物語る。
フルート
「!…」
「国王様!?」
神陽導
「はい!?」
シンソウ
「?…」
フルートと導は驚きを見せ、シンソウは首を傾げていた。
???
「ふぅ…」
「大丈夫か?フルート、それと神界のお客さん」
導達の目の前には、2メートルはありそうな大柄な黒い肌をした魔族が、大剣を肩に乗せ話しかけてくる。
フルートは、ガチガチに緊張していた。
???
「フルート、そんな緊張するでない」
フルート
「は、はひっ!」
???
「それと、神界のお客さん」
「我は、魔界大帝國、第5696代目国王のトゥア・シズムだ」
魔界大帝國 第5696代目国王 トゥア・シズム
神陽導
「そうなんだ!私は、神陽導!よろしくね」
シンソウ
「私は、主人様の使い魔兼秘書のシンソウです」
シンソウは、トゥアから感じる謎の不信感を感じつつも自己紹介をする。
トゥア・シズム
「導さん、シンソウさん、よろしく頼むよ」
「それより、まずは王国に戻ろう。また、幻夢が発生しては困るだろう」
神陽導
「は〜い」
導は、少し不貞腐れた顔になった。
そして、トゥアに導かれる形で、フルートの王国、ローゼ=マール王国に帰ることになった。




