第二章 支配に侵された魔の手 第九話 魔界の王・フルート
古代の装置を利用し、最短ルートでローゼ=マール王国に向かう。
導が、ふと窓の外を見ると、魔界にしか生息しない魔薔薇がアーチ状に咲いていた。
神陽導
「わぁ〜!」
フラメン
「おっ、そうか」
「今は、開花種の時期か」
シンソウ
「開花種?ですか?」
フラメン
「嗚呼、この時期に咲く魔薔薇の総称だ」
神陽導
「へぇ〜」
馬車が、石で出来た橋の上を渡り、大きな門を潜る。
そして、馬車から導達が降りる。
チリクは、馬車の中で、爆睡をかましておりフラメンに抱えられながら、少し待っていると…
???
「あっ、お疲れ様です…」
フラメン
「おっ、フルート」
お城の扉から緑髪の女性が、オドオドとしながら現れる。
そこから、「フルート」と呼ばれた女性の案内の元、魔薔薇が咲き誇る庭に案内される。
庭には、大量の食事が置かれており、導は目をキラキラしていた。
???
「おや、フルートさんから、突然「ご食事を作って欲しい」と言う理由を言っていたのは…こう言う事でしたか」
「お久しぶりですね。ヘルメスさん」
耳元で、少し小馬鹿にした様な声が聞こえ、後ろを見るついでに距離を取ると…
そこには、ツノが4本、黒い緑から緑の髪、黒の執事を身に付けた男性が立っていた。
神陽導
「もう!耳元で、喋ってこないでよ!」
「プーラ!」
魔界の月神眷属 1代目 プーラ・エイトゥ・コヌングル
プーラ
「おやおや、背中がガラ空きでしたのでイタズラしたまでですよ」
神陽導
「だからって、するな!ほんとびっくりするんだから」
プーラ
「ふふ」
ヴァーテル
「2人とも知り合いなの?」
プーラ
「えぇ、私が、お使いしている月神様のお友達さんです」
フルート
「ルーナー様とお知り合いだったの!?」
神陽導
「うん!」
皆んなが、驚きを見せる。
プーラ
「そろそろ、お嬢様の元に戻ります」
「それと、貴方が帰って来た事は、お嬢様にもお伝えして来ますので」
神陽導
「ありがとう!」
プーラが、お辞儀をしたのちに、月明かりに照らされるとそのまま姿を消した。
導が、自身の腰に手を置いて少し頬を膨らませていた。
シンソウ
「相変わらず、彼は主人様に無礼極まりないです!」
神陽導
「まぁ、仕える人が違うから、仕方ないか…」
「でも、そんなのは別々!早くこのお料理食べてみたい」
シンソウ
「主人様、礼儀がなってませんよ」
神陽導
「だ〜って、お腹ぺこぺこなんだもん」
フルート
「では、お食事にしましょう」
と、フルートの掛け声を聞いてそれぞれ席に着く。
チリクもフラメンに頭を「バシッ!」と叩かれて目を覚ましていた。
その後、和気藹々とした雰囲気で食事会が始まる。
導が、ナイフをメインのお肉にスーッと入れ、フォークに突き刺し、口の中に運び入れる。
口の中に、お肉の油が溢れ出し、その次にトロ〜ッとした甘くジューシーな肉汁を出すお肉を噛み締める。
導の瞳の光が一回転している。
神陽導
「ん〜〜〜!!」
導は、頬が落ちそうと言わんばりに頬に手を置く。
他のメンツもナイフとフォークを使ってメインのお肉を食べる。
シンソウは、ナイフとフォークを魔法を使って持ち上げて小さく切っては、その小さな口で頬張る。
ヴァーテル
「おいひぃ!!」
チリク
「ん〜っま…」
フルート
「やっぱり彼に任せてよかったです」
フラメン
「相変わらずの腕の良さだなぁ〜」
テーブルには、他にも、彩り魔野菜のサラダに魔獣魔のお肉汁物と様々な料理が並んでいる。
お肉を使った料理が、多いが、それでもお肉の美味しさには敵わずに、フォークが進んでしまう。
フラメン
「にしても、お前たち最近はどうだ?」
その言葉を聞くと、チリクとフルートの顔色が少し悪くなる。
ヴァーテルは呑気にお肉を食べていた。
チリク
「悪いね。南の支配者って呼ばれてる俺の国でも、幻夢が発生したし…」
フルート
「私の方も、幻夢の発生しやすい時間帯は、お城の周辺以外はもう発生していますし…」
「毎日、100人以上の犠牲者が出てます」
フラメン
「そうか…」
「やっぱり、魔脈が関係しているのか?」
シンソウ
「どういう事ですか?」
「魔脈が地上に出て来たのは、つい最近なのでは?」
チリク
「違う。本当は、500年くらい前から、魔脈が地上に出てくる事はあった」
フルート
「そうです。その影響で、一部の地域は地面の高さが、数十センチも上がっているんです」
フラメン
「原因は、全く分からんけどな」
「ほら、ギフトがいただろ?アイツに調べさせてるけど全く分からん」
ヴァーテル
「お肉おいちぃ!」
ヴァーテルの呑気な声の他所に、会話は続く。
フルート
「魔脈の地上に出る事自体、とても問題なのです」
「貴方は、最上級神様ですからお分かりでしょうけど…」
神陽導
「魔脈の樹液問題でしょ」
フルート
「はい、私の国でも、その問題に悩まされてます」
「私の国は、アンヘンガー帝國に近い為に、その被害者が多いです」
フラメン
「アンヘンガー帝國の方では、露出した魔脈を発見したら即座に保護を行ってるから、その問題は今のところそれほど重要視はされてないな」
フルート
「でも、私の国の方は、その対応が間に合ってないんです…」
神陽導
「その場所をピックアップ出来る?」
フルート
「出来なくはないけど、2日間くらいは掛かるかもですし、まだ、発見してない場所もありますので…」
シンソウ
「それは、一人、だけ適任がいません?」
神陽導
「あっ、確かに」
「助っ人って事で、手伝って貰えるかも!」
シンソウ
「でも、何処にいるか分かりませんよ」
神陽導
「大丈夫!ねっ!そうでしょ!ヴィント」
ヴィント
「そうだなぁ〜」
シンソウ
「!?…ヴィントさん」
「いつの間に!?」
ヴァーテル
「わぁ〜お空飛んでる!ヴァーテルも飛びたい!!」
いつの間にか、食事の並ぶテーブルの上で、プカプカとねっ転びながら、浮いていた。
フラメン
「おい、ヴィント」
「テーブルの上で浮かぶな!」
ヴィント
「すいやせんね〜」
「それより、ローゼ=マール王国の仕事奪っちゃった☆」
フルート
「ど、どういう事ですか…?」
ヴィント
「今、露出してる分と損傷してる分を見つけたものを書いておいたぜ」
ヴィントの手には、一枚の紙が握られており、ゆらゆらと振って導に手渡す。
其処には、ローゼ=マール王国の地図に、赤の罰点と黒の罰点が描かれてた。
ヴィント
「赤は、露出してる部分。黒は損傷してる部分」
「ヤベッ…そろそろ、神界に戻らねぇといけねぇや」
神陽導
「あっ、そうなの?」
ヴィント
「お前のことも報告しておくよ。「元気にしてる」って」
神陽導
「ありがとう」
ヴィント
「んじゃ、なぁ〜」
ヴィントの体が、風へとなり変わる。
その時に、ヴィントがフラメンを一瞬見て、何かをやり取りしていた。




