第二章 支配に侵された魔の手 第七話 救いの手
レースのついたキングサイズのベッドに眠っている導
隣には、シンソウが座って導が目を覚ます様に祈っていた。
すると、その願いが叶ったのか、導の瞼がゆっくりと上がっていく。
神陽導
「ん?…」
シンソウ
「主人様!?」
神陽導
「……此処は…」
そう言って、身体をゆっくりと起こし周囲に視線を移す。
シンソウ
「主人様…」
シンソウの声がする方を向けば、大粒の涙を浮かべていた。
神陽導
「大丈夫?」
「って、そう言えば…私は…何を……」
ガチャ
部屋を一周した時に見つけた扉が開く。
其処から入って来たのは、紫色の長いポニーテールが特徴の研究者がやってくる。
その人を見た導は、目を大きく広げ、驚きを表す。
即座に、導は戦闘体制に入り、周囲に7色に輝く星を召喚してその人に向けて放つ。
シンソウ
「主人様!?ちょっ!何を!?」
導の目には、「警戒」の二文字が写りそうな程、鋭かった。
ドォォーーーン
導の攻撃が、研究者に当たったと思われたが…
男性研究者
「……危ないな」
煙がはれると、そこには無傷の研究者がいた。
そして、研究者の前には…ニヒツがいた。
男性研究者
「兄さん、ありがとう」
神陽導
「クッ!何しに来たの!」
「また、呑み込みに来たの!?」
シンソウ
「主人様!お待ちください」
「ギフトさんは、味方ですって!何を勘違いしてるんですか?」
神陽導
「えっ?……ッッ…」
そのままベッドの淵に、倒れ込む。
「ギフト」と呼ばれた研究者が、近づきベッドに導を座らせる。
シンソウ
「ギフトさん、主人様は?」
ギフト
「大丈夫だ。幻夢の影響が少し出ただけだ」
神陽導
「幻夢?それに、貴方は?」
ギフト
「私は、ギフト・ヴィッセンシャフトだ」
「アンヘンガー帝國、国王のニヒツ・ベグリッフの弟だ」
神陽導
「アンヘンガー帝國…」
ギフト
「それと、私は、アンヘンガー帝國“ 科学国 ”の代表兼最高責任者だ」
導の脳裏に、森で出会った「ギフト」と名乗る男性と瓜二つの男性の言葉を思い出す。
「我々は、アンヘンガー帝國から生まれた魔界を救う者」
その言葉を聞いてから、相手に悟られない様に警戒心を持って接する。
そして同時に、「幻夢を作ったのは、もしかしたら…この人…」と言う考えが思い浮かぶ。
神陽導
「ねぇ、ギフトさん」
ギフト
「ん?」
神陽導
「幻夢って何?」
ギフト
「幻夢とは、特定の時間になると出てくる原因不明の霧だ」
「幻夢には、大きく分けて2つの現象が起こる」
シンソウ
「2つの現象?」
ギフト
「1つが、堕落。つまり、幻夢と同化してしまう。と言う現象だ」
「もう1つが、幻覚だ」
シンソウ
「主人様は、幻夢に侵されたと言う事になりますか?」
ギフト
「そうだな」
「次からは、特に夕方には外出を控える様にしろ」
すると、ギフトの近くに半透明な画面が現れ、其処にはフラメンが写っていた。
フラメン
「ギフト!お前、ちょうど暇だろ?」
「俺、明日まで、会議で魔界の案内出来ねぇから、案内を頼んでいいか?」
ギフト
「……ハァ…姉さんが、言っていたのはこの事か」
「まぁ、いい分かった」
フラメン
「おう!ありがとな!」
「導!明後日には、俺の弟子に会いに行くからそれまでには、回復しておいてくれ」
ギフト
「嗚呼、アイツのもとか」
フラメン
「それじゃな!」
すると、半透明な画面が消えた。
ギフト
「それじゃ、引き続き休むように」
シンソウ
「ありがとうございます」
ギフト
「嗚呼」
導をベッドに寝かすと、ギフトはそのまま部屋を跡にする。
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部屋を跡にしたギフトは…
誰もいない部屋に入ると、目の前に半透明な画面が現れる。
其処には、目元部分に包帯を巻いた灰色髪の中性的な顔の人が映る。
ギフト
「兄さん、計画は着実に進んでいる」
「計画は、99%で成功しそうだ」
ニヒツ
「そっか…」
「それじゃ、早く見つけてね」
ギフト
「分かっている」
その会話を換気の為に開けられた窓から、ギフトの視覚になる場所から聞いていた。
ニヤリ
口が裂ける様な大きな笑を浮かべる。
その者は、ギフトにそっくりだが、薄紫色に発光していた。




