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ーその勇者の名前は、『名無し』と言ったー‼︎  作者: みかづきん


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9/10

第9話 初めての侵入先は、城でしたー。


ー前回


ルイラ達一向は、ユーシスからの提案で、酒場で彼の元弟子の力を借りるために、


目的地のセブナール帝国に向かう。


商人から情報を得ながら、その元弟子は、


セブナール帝国を代表する皇騎士


またルイラが尊敬してやまない人物の一人


ーグラノラディウス=アルフィンド


その人であった。





ーーーー酒場、



ドンッ、


騎士グラノラディウスは豪快に酒を呑むと、口を指で拭い、話を聞いて頷く。


「エルフの呪いか…。

随分と厄介な呪いにかかっちまったなお前ら」


当の本人が真剣に話を聞いてくれているのに、ルイラは勿論、パーティ全員が上の空である。




皇騎士グラノラディウスー


皇帝の文字の一文字が称号の名前に刻まれているように、


本来ならば自分たちは一生会えぬ騎士であるのだ。


「本物だぁ…‼︎」


ルイラの黄色い瞳が益々輝き、黄金色のようである。


その視線に気付いたのか、グラノラディウスは呆れ笑いをしながら酒を呑む手を止める。


「あのなぁ…、お前ら俺を聖人君子でも見つめている顔してるけどさぁ…



俺なんて、元はただの平民だぜ?」



「そうそうー!ただのボンっキュッボォン‼︎が好きな変態騎士のおっさんだ!」


「おいおっちゃん‼︎自分よりも年下におっさんはどうかと思うぞぉ‼︎」


そう彼が抗議の声を上げると店は笑いに包まれる。




ーしかし、やはりルイラにとっては英雄だ。





そもそも皇騎士というのは、強さと共に、皇帝の信頼が必要である。皇帝の騎士ともなれば一国を滅ぼせれる実力がほとんど、その為何よりも信用が必要となる。その為、基本的に、皇帝のそばに幼き頃から支えている貴族からの出や、鍛えるために買われた奴隷出が多いー。




グラノラディウス=アルフィンド



彼はそのどちらでも無く、平民で、戦争が始まった16の時に剣才に目覚めた神童と言われ、今では四人いる皇騎士の中で最強と言われる男ー。



ー更には、皇帝のずっと戦争の際から支える

皇帝の親友という強大すぎる称号すらも持つ





ー世界から付いた二つ名はー


「ーゴットミスー」



神が地上に落とす際に、間違えて最大にして送りつけてしまったという意味を持つ名であるー。





ーしかし、実際のところは、


こんなふうに明るく豪快な人なのだ。





「それで、お前ら皇后の名前を知りたいんだろ?」



「はっ、ハイッ‼︎」


グラノラディウスはその返事を聞くも難しそうなかおをし、己の短い顎髭を撫でる。


「わりぃが、俺も知らねぇんだ、

昔よ、興味本位で聞いたんだけどよ…」



突如として、口をごもらせた彼に、


ルイラ達は段々と血の気が引いていく。



グラノラディウスはルイラと目を合わし、少し気まずそうに言う。




「…当の本人も知らねえんだよ…。」






ーカラン、




周りは騒がしく、豪快に笑いながら酒を飲んでいるのに、ルイラ達の耳に響いたのは、ジョッキの氷が回る音だけである。




当の本人は死亡。


ー唯一知っているであろう先帝は暗殺され、


最後の砦にさえも、彼女の名前を知らない。









ー死ー



その一文字が頭を覆う


「でも、俺はお前らを救える!」


突如、彼の声が耳を貫く。


「聞いて驚け小童ども!」


目の前の皇騎士はニヤリと笑う。


「師匠の頼みだ!、そう簡単に死なれても俺の目覚めが悪くなるだけなんだよ」



そう言い勢いよくルイラの方をグイッと引っ張り耳に囁く


「先の皇后陛下の遺体の薬指に指輪をしてある。


それに彼女の真の名を彫られてる。」


「ーッ!?」



ルイラは目を丸くし瞳孔を小さくする。


そんな機密事項を

こんなところで話してもいいのか⁉︎


グラノラディウスはルイラの肩から手を離し姿勢を元に戻す。


「まあ、こんな情報、ここの酒場の奴らならみんな知ってる。俺の部下だし」



「「「「へっ⁇」」」」


「勿論、元も見るけどな」


四人は一斉に周りを見渡す。


よく見ると、服こそは着崩しているが、ほとんどの服にはセブナール騎士団の騎士の証の竜の刺繍が彫られている。


つまりは、


あそこのヒョロそうな男も、


店で1番大きい、巨人の男も…


「私もだよ♩元でね」


店主の男も…




四人は恐る恐るあの厳つ優しい男共の

モヒカン、三つ編み、リーゼントを見る。



「二ヒィ…‼︎」


何ならこの三人は、


セブナール騎士団の小隊隊長の称号の銅色の硬貨を取り出す。




「………ッ‼︎⁇」


四人の口は顎が外れたかの如く開き閉じない。

ーいや閉じる事が出来ない。



「つーわけで、案外、ここの連中なら知られてもいいわけ」



グラノラディウスはそう言うと話を続ける。


「まぁでも…、陛下は両親を大切に思っているから墓を荒らすだなんて言語両断ー

そんな事すれば、俺でもこことおさらばよ」


彼は首元をトントンと叩く。


ルイラも流石にそんなことをすれば死刑なのは想像つく。むしろ死刑だなんて生やさしいもので許してくれるかさえ怪しい。



「そして更に悪い話し…、



…俺、明日から遠征なのよ」



「…えっ?」


ルイラは再び石になる。


「し、しかしここにいるお方で協力できるお方は…」


オルモが恐る恐る手を上げ、そう提案する。


グラノラディウスはうんうんと頷くと、騎士達の方に目を向ける。


「お前らぁ!この中で現役は手を挙げろ」


そう言われて、大体席の半分が手を上げる。


「次にぃ、明日俺と遠征行くのはぁ!?」


そう言い、手を挙げたのは、ほぼ、いや全く同じもの達だ。


モヒカン男がルイラの肩をポンと叩く。


「今回はちょっと厄介な奴らが出てきてなぁ…

この時期なると、魔物暴れないか見ないといけないのよ…。」


ルイラは自身の石化を解き、現実に目を合わせる。


「つーわけで、ちょっと俺は直接は手助け出来ないのよ!ごめん!」






「…………。」









この時四人は、心の内は虚無となった。








「だから、俺の計画に沿って行動してもらう。」





一つ目、明日は比較的に警備が緩いから、今から言う通りに城に入れ、


その際に護衛が何人か見るが、明らかに多すぎるところは、ただの鎧を見立てた奴だ。




ーそこまで言うと、小さい金色の鳥のような金属を渡される。




「それに基本的な魔力込めろ

そしたら目的の部屋まで導いてくれるさ」


「あ、ありがとうございます!」


「の、前に一つだけ…」


グラノラディウスはその瞬間、先ほどまでヘラヘラしながら語っていたのに、途端に真剣になる。


「もしも身が確保されたら…明日は少しまずくてな


一人の女が、手柄確保したら理由語れって言うはずだ。そしたら今までのことぜーんぶ話せ、そしたらその女は白で身元を引き取るって言うはずだ…。」





そう言うと、今度は指を刺しながら、更に声を低くして言う。


「けど、死んでも避けて欲しいのはー、

アンドレートっつう公爵様がいるんだが…









絶対に、そいつが来る前に捕まるか、

成功させろ」















ーーーーーーー次の日、






「憧れからあんな事言われたら従う以外ねえじゃん…」


ルイラがどんよりとしながらしゃがんでおり、オルモが目頭を抑えため息を吐いていた。


「だからって…、本気かよ?城に無断に入るってよ…」



結局、あの無茶も大概なあの作戦を、ルイラは少し迷いながらも…。



『これ成功したらいっちょ稽古つけてやろうか?』


ーと言われて承諾した。



「ごめんなさい…」


そう謝るルイラにメゼリーは頭を撫でる。


「まぁまぁ、もう決まっちゃったし、失敗したら基本的にその女性…侍女長さんに捕まればいいんでしょう?」



彼が言うには、基本見回りには近衛侍女である女が城の見回りをしており、


口調などは厳しいが、内面は優しい為、


彼女に捕まれば、基本的には死なないとのことだ。



ーで、その対となるのが、


アンドレート=ディア=ハイドンデア





ー獅子の公爵

ハイドンデア家の当主、

彼は遅い時間まで城に残ることもあり、なるべくならば彼が帰る時間が良いのだが、




時間の都合上、

どうやらそれは不可能であるらしい…。








「あ〜でも、やっぱりグラノラディウスかっこよかったなぁ〜‼︎」





ー力も、権力も、モテも、全てを制していると言われる騎士はやはり格が違った…‼︎




…しかしそれはそれとして、









ルイラはグラノラディウスの顔を思い出し、自身の顔を水の入った甕で確認する。





「…やっぱりモテは、顔だな…」




更には筋肉であるー。







ーーー昨夜、深夜1時 セブナール城





ーコツン、ーコツン、



その夜、


ハイドンデア公爵当主は、ある者を探していた。


その者がいるであろう部屋の扉にノックをするー


「…エレーン、少しいいかい」


しかし、そう尋ねても返事は返ってこない。


「…失礼するよ」


ゆっくりと扉を開けると、一人の長身の女が立っていた。


それが彼が探していた者である。


女の前には、彼女と同じように黒い服に白いエプロンをつけた。


言わばメイド服を着た女が大きな血溜まりを作り倒れている。



「…ワーオ」


公爵は短くそう発すると、彼女に近づく。



気がついた彼女はただ無表情に振り返ると、そのメイド服には一筋の血が染み付いている。


「…君にしては珍しくシミになったね。エレーン…」


「…こちらの者は、陛下の服に毒針を仕組んでおり、

こちらの決断で処させていただきました。」


「そうか、死体は俺が片付けるよ。

君は着替えておいでよエレーン……」


女はその言葉を聞き90度にお辞儀をする。


「御言葉に感謝致します閣下ー」


「いいって、いいって…


でも油断しちゃダメだよエレーン……





この場合はちゃんと役名で言わなきゃか…









侍女長ー」

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