第8話 ー力の帝国 セブナールー
前回‼︎
ー俺らは新たに入ったメンバー、オルモと、元セブナール帝国の騎士であるおっさんのユーシスに
エルフの娘についての情報を共有した‼︎
どうやら正体は、およそ26年前に亡くなった
セブナール帝国前皇后らしい。
オルモの推測では、彼女を溺愛していた先帝のことを考えると、その間の息子、皇帝が知っているかもと言うことだが…。
「かの有名な暴君に聞ける訳ねえだろ〜〜〜‼︎」
ーーーーーーー
「んなー無茶な…」
ルイラはすっかり真っ白な灰と化しており、心無しか、サラサラと一部分が風に舞っているように見える。
「まぁまぁルイラ…!気を取り直していこうよ…!」
メゼリーは何とかオドオドとしながらもルイラを励ます。
「えっと…因みにですが?ユーシスさんは知らないんですよね?」
アリナが藁に縋るかの様な顔で尋ねるが、
ユーシスは首を横に振る。
「残念ではあるが、先帝は、皇后がいつかエルフに見つかり、連れ戻される事にひどく怯えていた
だから俺たちも知らない。教えるとしたら、
その間に生まれて、溺愛した息子の陛下だ…。」
「そんな〜…」
今度はルイラは風船の様に萎れる。
「…陛下は本当は優しい方なんだ…。きっと裏の貴族どもだ。」
「へっー?」
突如として追加された情報に四人は唖然とする。
「細かい事は知らないが、俺は戦後に抜けたから、
古い情報だけどよ
貴族の奴らが、陛下を陥れていると聞く…
…俺の記憶では、一途で純粋で少し悪戯好きな…
本当に母君によく似た方である。」
ユーシスは四人に背を向けると敢えて大きな声で言う。
「あれだー!できたらでいいんだけどよ…
あの人の事を、今どうなってるか
…俺に教えてくれないか?」
「………」
その言葉は、先程いきなりフライパンで殴りかかってきた男とは思えないほどに優しい声だ…。
「ああ!忘れていた…
お前達はこれからセブナールに向かうならば死んでも味方につけるべき奴がいる。
セブナール城に着いたら、ある酒場に鎧の男がいるはずだ…」
ー奴に、ユーシスから頼まれたと言え、
あれを、弟子と呼んでいいかわからんが、
俺の話ならば少しは聞いてくれるはずだ。
そんなわけで、ルイラ達は、彼から教えてもらった、セブナール行きの商人の車に乗せてもらう。
「けどよ〜、あんな強い人の弟子っつう事は…よっぽど強いのかな〜」
ルイラが彼方の方向を見て言う。
正直あの時は本当に死にかけたから、そんな人が鍛えた弟子というのは少し興味がある。
「頼りになる人らしいけど…でもアリナちゃん」
「んっ?」
メゼリーがアリナの方を見て尋ねると、
彼女は先程町で買った新聞を読んでいた手を止め顔をあげる
「どうしてあの時あんなに早く動けたのー?
前世の知識?」
「まっさか〜!親が旅の吟遊詩人でね、よく旅していたから、その時にね……」
「その時ー?」
アリナの話が途中で途切れ、三人は食い気味に近寄る。
ルイラは記憶を読んだが、非常に優しそうな親であった事を覚えている。
「……山賊に出くわして」
ここまで聞き、三人は少し静かになる。
「…それをむしってぶん投げるぐらいにファンキーな人で、いやでも先頭というものに慣れてしまいました」
ここまで聞き、三人は先ほどのしんみりした気持ちを返せと言いたげに、アリナのほっぺを引っ張る。
「ふへへ〜‼︎へへへ〜‼︎」
アリナはごめんごめんと言っているのかわからないが、手を合わせている。
心無しかどこか笑っている。
(やっぱりこいつ、前世変態だろ…)
ルイラは内心そう思いながらほっぺを引っ張る。
「ーおいあんたら、セブナールに行くなら覚えておくと良い」
「「「はい?」」」
「はひ?」
商人の男が、馬を走らせながら話す。
「…いやよ、セブナールに行く時、帝国の奴らは義理人情が厚い奴もいるが、基本的にプライド高い奴が多いからよく詐欺られるんだ」
「へぇ…」
セブナールは非常に規律を大切にする頑固な者が多いイメージがあったがそんなこともあるのかとルイラは関心を持つ。
「そういえばにいちゃん、セブナール帝ってどんな人なんだ?」
「セブナール帝ね…最後に人前に姿見せたのがもう3年前だって聞くしな…個人的には良い王だとは思うぜ…自分の誕生祭を無くしてまで、復興に金当てた人だし…でも」
商人は隅からくしゃくしゃの紙を取り出してルイラに渡すと、そこには数年前の記事が書いてある。
「【セブナール貴族の陰謀論説】…?」
「そう、要は今はほとんど貴族どもが政治の特権を握ってるって事」
「「「「えっ⁉︎」」」」
四人は声を合わせ驚く
「んなわけ無いでしょ!?、例の皇帝は許していいのか?」
「だから色々陰謀論が飛んでんだよ…
とりあえずお前らも、まだ若いんだから…」
ー命大切に、気をつけて行けよ
そう言い、ルイラたちを目的の場所まで運び、
そこで別れた。
ーーーーーセブナール帝国城下町
青と白を基調としたヨーロッパ風の建物が建ち並び、先ほどまでいた街と違い、随分と栄えており、貴族の馬車がよく見える。
「ハエ〜〜〜ッ⁉︎、こんな広い国から、酒場を探すの⁇」
しかも人に聞こうとしても、
人々は忙しそうにキビキビ動いており、人相が暗く悪い人ばかりである。
「いーや、、、、なんだかこえぇ〜なぁ…」
ルイラは先ほどのフライパン事件より学んで、いつだって剣の持ち手を持つようになる。
「まさかあんなことになるとは思わなかったもんね〜」
メゼリーもあれからはいつだって杖を握るようになる。
「まあ今は大丈夫だとは…あっ!あの酒場ではございませんか⁉︎」
アリナが目をキラキラに輝かせながら見る先は、
例の酒場である。
「おおおお‼︎ナイスアリナ‼︎」
「アリナちゃんありがとう!」
「アリナ凄え…!」
3人が各々の反応でアリナを称賛する。
「いやぁ〜〜!それほどでも〜!
(先程いたカップルに聞いただけなんですけどね…)」
いざルイラは胸を張り、入る。
ーガチャ
酒場の扉の音は思った以上に酒場に響く。
「アァン⁉︎」
「ンゥンッ⁉︎」
「オォオンッ⁉︎」
突如として、入った瞬間お出迎えしたのは、
某ゲーム名物のパフパフバニーのお姉さんではなく寧ろうさぎのように跳ねさせてカツアゲしような
ザ・山賊男の3人が迎える。
ーバァァンッ‼︎
ルイラはそのまま勢いよく閉める。
途中勢い余すぎて帰る反動を塞ぐために思い切り両腕で抑えながら。
「ーーーー!」
「ーーーーーーー」
「ーーーーーーー」
「ーーーーーーー」
後ろの3人から冷たい視線にとうとう耐えられなくなったのか、彼はコホンと咳払いをする。
「よぉし‼︎3人共、ここは違った
ードォンッ‼︎
「人の顔見てドアしめんなヤァァ"‼︎」
「お袋泣くゾォォォォ‼︎」
「俺らも泣くぞォォォぉお‼︎」
ーギャアァァァア‼︎‼︎‼︎
ーーーーー酒場
「それは大変な思いしたんやのぉ〜〜」
最初のモヒカン刈りの男は四人にジュースを奢り、
「こぉんなちっさいのに、頑張るやなんて偉いのぉ〜」
二人目の謎の三つ編み風(?)の髪型でルイラの頭をポンポンと手のひらを弾ませながら叩き
(俺の髪、弾性あるんだな…)
「キャンディあるから、食べるぅ?」
3人目の謎リーゼントの男から、ふくろに包まれたキャンディを貰い食べるアリナとメゼリー。
(何だろう…、この既視感は…)
この時の四人の心情としては、
一人除いて、某お好み焼きとたこ焼きの地に行った事もないパーティメンバーではあるが、何故か心の中は揃った瞬間である。
「その…、実はここで、ユーシスさんと言う人からの紹介で、彼の元弟子さんに会う予定なんですが…」
ルイラが恐る恐る話し、モヒカン男がサンタのような長いヒゲを撫でる。
「あの人か…‼︎」
そうニヤニヤしながらルイラの髪型をくしゃくしゃにする。
(く、首もげる…!)
「お前らは大陸1運がいいぜ‼︎、誰もが知ってる人だからな〜‼︎」
そう話すと、店主も店の客の厳つい男どもすらもニヤニヤする。
「ほんとほんと…!まっ!誰が来るかはお楽しみだけどな〜!」
ルイラたちは顔を見合わせる。
いったい誰が来ると言うのだろう。
「にしても兄ちゃんらよぉ、まだ10代だろぉ?」
「何でそんなわけぇガキンチョがそんな急いで冒険者になってんだよ?」
ーガキンチョ…。
「俺は、憧れの人がいて…」
「憧れぇ?」
3人の男はルイラを囲む。
ルイラはその圧倒的筋肉の圧に圧倒されつつも、何とか力強く保ち話す。
「はい‼︎俺の憧れが二人いるんですけどね…
その二人とも若いうちから活躍しててかっこいいと思ってね…‼︎
一人は勇者エレクーネで……」
「ーうんうん…」
「もう一人が…
皇騎士‼︎グラノラディウス=アルフィンドッ‼︎‼︎」
その瞬間当たりが静まり返る。
ルイラはふとまずいと思い、3人の方を見つめる。
三人はすでにやれやれと言いたげにルイラを見る。
また何かやらかしたか?
四人はそんな思いが渦巻く。
「ークックック…‼︎」
ふとモヒカン男が笑うと、三つ編み男がニヤニヤしながらルイラのほっぺをツンツンと触る。
「兄ちゃん、言いなおすわ、
世界で1番‼︎運がいいでぇ‼︎」
「せ、世界一…」
ー俺のファンかよ‼︎それは嬉しいなぁ!
酒場に、突如として豪快で渋い声が響き渡る。
ルイラは、何かを察する。
決して聞き覚えはないが、
周りの様子、後ろから聞こえた事ー。
口から出そうになる心臓の位置を握り、何とか抑える。
後ろを振り返る。
ー昔、本や牧師様に教えて貰っただけだ。
しかし、そんな偉大でかっこいい彼の伝説を聞くたびに、その尊敬像はどんどん高まっていた。
赤みがかった茶髪の髪のオールバックにして
後ろにたなびかせ、
顔の頬についた剣の傷は勲章の証、赤く、セブナール皇騎士の証である龍の紋章が掘られたローブがよく似合い、
その安心感を与える大柄で筋肉質な体付きは、間違いなく本で読んだ通りの容姿である。
「グラノラディウス=アルフィンドだ
俺も嬉しいぜ、ファンに会えてよ」
「グラノラディウス=アルフィンドォォォォオ‼︎⁇」
8話 完




