第7話 不穏な戦闘国家⁉︎
前回ー
俺、ルイラのしくじりで、エルフの女王を怒らせ、
行方不明のエルフの王女を探すことになった。
どうやら正体は
四大帝国の一つ。
力の国、セブナール帝国の先代皇后なのだが…
ーーーーー
「ぎ、偽名って、
どう言うことなんだよッ⁉︎」
帝国の皇后陛下、
天下の帝国の皇后が、エルフであることもそもそもとても耳を疑うが、更には偽名だなんて、
最悪、謀反を疑われ処刑されかねない。
「本気で言ってんの?お前は?」
オルモは真剣な面立ちでうなづく。
「間違いない。俺はアイツらに父を殺されてから
同じ様にエルフの題を科されたやつら全員聞いた。
どんな手を使ってでもな
そしたら全員父と同じ事を言い、
全員が皇后がエルフだと言う。
とは言っても信じられないよな…?」
オルモはそう呟き、困った様に眉をハの字にして考える。
「……さっきまで、俺がいたところがあるから、そこで話すよ。」
そう言い、オルモはルイラたちを手招きをする。
「ん?…お、おう!」
ルイラたちは最初困惑しながらもついていく。
正直変なところに連れ出されないか不安ではあるが、暫くついていくと、少しあたりが薄暗く、一目につかない場所になっていく。
(少しこえーな…。山賊とか出ないよな…?)
ートントン、
メゼリーがルイラの肩を叩く。
ルイラがゆっくり振り返るとメゼリーが布を渡す。
布を受け取ると文字が書かれており、
彼女も文字にしては、あまりにも雑であるから、きっとアリナからであろう。
【警戒必要、いざの時に武器を取れる様に、
持ち手を握っときましょう】
後ろを振り返り、二人を確認する。メゼリーはギュッと杖を握り、アリナも腰掛けに入れてある。小さい斧の持ち手に手を添えている。
「………ッ!!」
ルイラもまた、一応で剣の持ち手に、手を添える。
「ーついた、此処だよ」
オルモが止まった場所は、とある民家である。
ーコンコン、
2回ノックすると、機のドアがギィと、木が軋む音を響かせながら開く。
ほんの数センチ開き、顔を覗かせたのは、中年か、それより上ぐらいのなかなかに歳をとった男である。
「…坊主、さっきの追手は?」
「はい、彼らのおかげでー」
オルモがそう言い紹介されたルイラたちは三人は、それぞれお辞儀する。
オルモは手を立てながら小声で、男の耳に入れる。
「…どうやら、彼らも女王の罰に、」
「…可哀想な目にあったな」
そう言うと彼はなんとも哀れな目で見つめる。
「…俺の弟子がよ、お前らぐらいの歳でエルフに殺されちまった…。」
そう言うと彼は手招きして、扉を大きく開く。ルイラとメゼリーは、悪い人ではなさそうと判断し持ち手を強く握る手を緩める
ーその瞬間、フライパンがルイラの頭めがけて飛んでくる。
「ールイラ君ッ‼︎」
アリナがルイラを押しどかし、思い切りフライパンに斧を振り下ろす。
フライパンの四分の一が、アリナの斧で突き刺さる。
「ー◯×⬛︎‼︎、に⬛︎♢ッ‼︎」
突如アリナは謎の言葉で話す。
ふとハッとした顔をした瞬間、何と男はそのままフライパンを上げて、その勢いのまま、アリナから斧を盗む。
「ーッ⁉︎」
ルイラは急いで手持ちの剣を構える。
「ーッ‼︎、簡易炎魔法ッ‼︎」
魔法を念じ、剣に炎を纏わせ男の腕に目掛けて投げる。
男はただの剣だと思い掴み、反射的にすぐさま離す。
熱さで鉄の剣が床に落ちるとき、少し床が焦げる。
メゼリーはその隙を逃さず杖で構える
「ー捕獲魔法‼︎」
すると男は錬成された縄ですぐ様縛られる。
「…‼︎、おいおじさん‼︎、何のつもりだ‼︎、試験ならさっき合格しただろう⁉︎」
すみの方で、同じ様に捕獲魔法で縛られているオルモが叫ぶ、
「し、試験…?」
「…先程はすまなかった。」
そう言うと、先程まで捕まえたのに、何と縄を切り、男は立っている。
ーあいつ⁉︎、いつの間に…!
「待ってくれ‼︎、おっさんは殺すつもりなんてないんだよ‼︎」
ルイラたちは再び戦闘体制に入るも、
オルモに止められて立ち止まるも、アリナだけは男の首に小野の刃先をかまえる。
何なら少し当たり、血が一筋細く流れる。
「何故あの様なことをしたか?目的は?貴方の身分は?」
男は、アリナをじっと見る。
人相が悪いか、睨んでいるかはわからないその顔は、迫力がある。
「…名は、ユーシス・クライム
元セブナール騎士団二番隊隊長だー。」
アリナはピクリと下瞼を動かすが、まだその腕を動かさない。
「…君らは、殿下…彼の太陽の君に、名を尋ねるつもりであろう?、ならばそれ相応の能力が必要だが…君らには必要なさそうだ…。」
「本当に、殺すつもりはない、だとしても、君らに要らぬ心配をかけたことを詫びる。すまなかった…。」
しかしアリナは油断しない。
「では今すぐに、騎士団二番隊隊長の証の、硬貨を持ってきてくれますか?」
そう言うと彼はポケットから取り出すのは、
美しい銀で彫られた龍の紋章で、硬貨を取り出す。
それは間違いない。この大陸で生まれ育ったものとしては、誰もが知る偉大な騎士に贈られた証の硬貨である。
「これで、偽物かも知れねえと疑われたらもうおしまいだけどな…。」
アリナはそれを見た瞬間目を見開き、汗を一粒落とす。
「……失礼しました。」
「本物だったのか…⁉︎」
「その人が、俺に教えてくれたんだよ。エルフの姫が今、どうなっているかをー」
メゼリーに縄を解いてもらったオルモはそう言う。
「ごめん三人!俺の時が特別だと思ってて…
おっさん!あんたほどの実力ならば、見ただけで何となく俺より格上ってわかったろう‼︎」
「見かけで強さが分かるわけでない。単純な力以外にも、実力があるのだ。」
そう言われて、オルモはバツが悪そう顔をし三人に頭を下げる。
「ごめん…三人」
「いいって、オルモ知らなかったんだろう…。
そんなことよりもだ。
ユーシスさん…」
ルイラは振り返り、尋ねる。
「…皇帝陛下の母君がそうなの…?」
そう言うと、男は少し黙り、口を開く。
「…間違いねえさ、俺が当時の先帝のところに現役でいた時に、そう言われた。
【とんでもないことをしでかしたが、私は後悔してはいない。】
【誰にも彼女のことを話すな
分かってくれるだろう?】
俺らは、先帝に、そう言われて、言いつけを聞いてたら…、弟子がエルフに捕まって、尋問受けた挙句、結局娘の名前を聞けずに死んだよ…」
ルイラとメゼリーにアリナの三人は、胸が潰される様な感覚になる。
子を大切に思う女王に、同情していたが
それを思うあまりに、何人かを犠牲にしてしまっていると気づく。
「だから俺は、申し訳なくなって、騎士を辞めたさ…弟子一人の命守れねえ師匠は、師匠じゃねえ…」
男はルイラたちをじっと見る。
「…この10年、更にエルフと人間、
特にセブナール帝国との溝が深まってる」
「オルモ、お主は知っているであろうが、
…ルイラとやらたち、」
「はい!」
「…答えは一つ、
…太陽の君、皇帝陛下
ゼーゼレン=アンドゥ=セブナール様に尋ねろ」
「はい‼︎……へっ⁇」
ルイラは思わず情けない声を出す。
今では誰もが知る。
ーー暴君・ゼーゼレン帝ーー
皇太子時代は非常優しく、明るい皇太子で
誰もが大好きな皇太子だった。
ーしかし
10年前に始まった。
「ウェシリアノリス大国の逆乱」
当時のセブナールの隣国が
先帝と複数の大臣を殺めたことより始まった戦争ー
当時16歳の現帝が、およそ4年程の年月を注ぎ、
ウェシリアノリスを滅ぼし、
今最も広い国土を有する国にした。
しかしその背景は酷いものだったらしく、
多くの死傷者を出して、
本来ならば、ウェシリアノリスの降伏で
2年程で終えられた戦争を、敢えて無視して、
ウェシリアノリスを滅ぼす為に2年長引き、
国民からは私情のために帝国民を物資の様に扱う非道な皇帝だと強い反感を受ける。
それゆえに、
幼き頃は、
銀色の艶やかな長い髪で、宝石の様な碧眼で
【帝国の真珠】とも呼ばれた名は廃れ…。
【ー血塗られの残虐王ー】
…それが今の陛下の評価だ。
今でも、少しでも気に入らなかったら首を刎ねると言う噂も聞く。
んっ?
「待てよ…、なら‼︎、唯一本名知ってるだろう
先帝も、戦死したんだから、
もう名前を聞ける人物ねえじゃねえか!」
ルイラがそう尋ねると、
「先帝は、その後、第二皇妃と婚約するまで、
ずっと皇后の名前をつぶやく程、皇后を愛してた
ーもしもだ。俺ならそこまで愛する人の名を
我が子には覚えておいてほしいと思う…。」
ユーシスがそう語ると、
オルモは苦虫を噛み潰したような、
言いにくそうな顔をしながら言う。
「つまりは…まぁ………。
聞くしかねえよなぁ…」
そこまで聞いたら、基本鈍感なルイラでも察すと、
3人は見る見る顔を青ざめる。
「ウ、ウソだよね…オルモ君⁇」
「流石に俺らじゃ天下の皇帝が会いに行ってくれる訳…」
「…植物の養分になり死ぬか、
残虐王に直接聞くのなら…。
1%はあるかもしれない方に賭けようぜ」
「………。
…1%もある訳ねえだろ」
その時のルイラの声は、
蚊の飛ぶ音よりも小さかったとも言われる。
ーーーーーーー
セブナール帝国城内。
ーin城の廊下
コツンー
コツンー
大理石で出来た。よく響く廊下の奥から、
龍の紋章と、
騎士を表す紋章をつけた男が現れる。
「悪い悪い、遅れたよ
今日は陛下の様子は?」
そう飄々としており、遅刻も何もなさそうにするのは、この帝国の皇騎士であった。
手前の分厚い鎧でを身を包む騎士が敬礼をし
答える。
「ハッ‼︎今回は龍の日は来ておらず、
部屋におりますッ‼︎」
「…ご苦労様♩」
しかし、男はズカズカと、先ほどよりも早足で
皇帝陛下の部屋に歩みを進める。
「ッ⁉︎、グラノラディウス皇騎士様!?」
ガンっっっ‼︎‼︎
勢いよく、皇帝部屋の寝室のドアを蹴る。
「…いけませんよ、陛下」
奥にいる騎士は部屋を見ると、プルプルと震え、
手が震えながら剣に触れる。
「……このッ‼︎クソ騎士と怠惰王ッッ‼︎‼︎」
「チッ、るっせ…、中級空間魔法…」
ドスッ‼︎
グラノラディウス、かれは素早く中級空間移動魔法ワープホールから剣を取り出すと
騎士、いや暗殺者が剣を取り出したのが先か、それよりも早くに貫くと、
鎧特有の鈍い音を立て倒れ、すぐに血の海が出来る。
「あーあ、いけませんよ陛下…。
あいつの毒に、
わざとかかろうとしても
ダメですよ…。」
「自殺なんてやめましょうよ…。陛下」




