第10話 視察と謎の美少女
ー前回のあらすじ!
セブナール帝国の皇騎士であるグラノラディウスの計らいにより、
なんとさっそく次の日の夜にセブナール城に忍び込み目的地の場所に行けと命令する。
リーダーであるルイラは、
憧れの騎士相手だった事もあり、
何とその内容で引き受けてしまう。
「…つーわけで、今男女グループで分かれて、明日の夜の侵入ルートを確認しているところだよな?」
オルモはその猫目の四白眼を、
さらに細めてルイラの方を見る。
「あっ…たり前じゃないのオルモくん‼︎
ナーンのために男女分かれて確認してると思ってんのさッ‼︎」
「ならさぁ……
何だその両手に持ってる物は?」
そう言われたルイラの姿は、
右手には肉串に飴が二本ずつ、左手には誰に買わされたのか謎の笛らしく物とでかいセブナール名獣一つの白蛇のぬいぐるみ。
「…………」
オルモはゆっくりと体を前に倒す。
「…スゥゥゥゥ」
思いっきり息を深く吸い、思い切り背中が反るまで吸うと止まる。
「…バカヤロォォォォォオ‼︎」
ー後にルイラは、最初の方だがあの頃のオルモは自分の記憶の中でも1番大声出して怒っていたとの事
ー10話 金髪美少女と、
「せっかくならさ!少しは観光しねえとなぁ〜も思って!」
ルイラは女子チームと別れ、オルモと一緒にあちこちの屋台を回っていた。
美しい石造りの家が並び細かい彫刻などが飾られている城下町も華美で良いが、少し下って屋台が並び繁盛しており人付き合い良き屋台の方が好きだ。
「お前なぁ…⁉︎女子チームは真面目にやってるころさだぞぉ…⁉︎」
「いや分かってますよオルモくん‼︎しかしこうやって離れもしっかり見る事により…‼︎」
そう言いながらしっかり先ほど買った肉串をもぐもぐと食べている。
「バカリーダー……」
一方女子チーム
「うぉぉぉ!メゼメゼェ〜♩、見てくださいよ!
先程的当てで巨大ぬいぐるみを…!」
「元の場所に、返しに行きなさ〜いッ‼︎‼︎」
ーーーーー
ルイラとオルモは串を食べながら明日のルートを確認すると、小川が流れる橋のところで一休みする。
「あ〜ッ‼︎疲れたなぁ…‼︎」
ルイラはすっかりヘトヘトで、橋の手すりに座る。
「…」
「ん?どしたオルモ?」
ルイラはあんまりにも不思議そうに、手を見つめるオルモが、
彼もまた不思議でしょうがない。
きっと、彼が気になるのはこの手袋、
自分が初めて活躍した街で貰った、大切な革製の手袋、
以前アリナやメゼリー、猫にも試したが、
どうやら直で無いならば記憶は言えないらしく、
そのためルイラは基本的にはこの手袋を普段していた。
「そんなに手袋してるの珍しいか?」
そう尋ねると「えっ?いやさ…」とオルモの口が止まる。
「…ルイラお前、触れたらスキル発動する系?」
その言葉に思わず「えっ⁉︎」と驚愕が出てしまう。
「えっ‼︎オルモなんでわかんの⁉︎」
「いやさ…親が元々神父様の家でさ、
スキルには詳しいんだよ」
ルイラがなるほどと感嘆していると、オルモは「でっ!」とルイラに近寄り尋ねる。
「お前のスキルは?俺にも教えてくれ!」
そう言われ、ルイラは少し考える。
「えっと…俺は触れた人の、記憶を見る事なんだ」
そう言った途端にふとルイラは思い出す。
確かオルモにはタイミングを逃してメンバーで
彼にだけ教えそびえてしまっていた。
「…一応、手袋してる間は見えねえんだけど、少しでも皮膚に触れたら発動するんだ〜」
そういうと、オルモは納得したように「ヘ〜」という。
「オルモのも、覗こうか〜?」
「ぜっったいにやめてくれ!」
突如、そう間髪入れたオルモに、ルイラは唖然とする。
「…!、ご、ごめん…」
「…いやちげえ!あ、悪い…」
「…安心しろ、やろうと思えば見えるけど、おまえの見てるエロ本の記憶とかは、
覗かねえよ♩」
ーゴンッ‼︎
その後、しばらくルイラは、先ほど買った、旅先でいつ使うか分からないフライパンを振り回すオルモから逃げ惑う。
「あの後、グラノラディウス様も都合で去っちまったしな…。たくっ、本当にうまく行くのかね〜…!」
オルモはポカスカ満たされるほどにルイラにお灸を添えると、背筋を猫のように伸ばし固まった背筋を解す。
「…………。」
「?、ルイラ…」
普段ならば『もう!そんなこと言わずに〜⭐︎』とか言ってなんとかしようとするのに、今回のルイラは空を仰ぐように見て、ようやく動いたかと思えば、俯いただけで、そのまま何も話さない。
「…オルモ、後で二人にも言うんだけどよ…。
ごめんな…。」
「…はっ?」
ルイラらしくもなく謝る様子にオルモは少し困惑する。普段が普段だからか、逆に不信感すらも芽生える。
やはり強く叩きすぎたであろうか?
「俺が…元々あの二人巻き込んだのも、俺が勝手に花摘んで、女王様を怒らせたからなんだ…」
ルイラはそのまま頭を下げたまま続ける姿は、髪のくせ毛が下に向いているのも相まって、反省している猫のようだ。
「…グラノラディウス様に、少しは交渉すればよかったよな…」
そう言い、彼はズボンの裾をギュッと握る。
「…なぁルイラ、」
「…んっ?」
オルモの方を向くと、彼もまた真剣な顔をしてルイラを見つめる。
「…俺が、初めて会ったあの日、どうして追われてたと思う?」
「ー組織のボスの彼女に手を出したとか?」
そこまで言うと、オルモは弓を構えて矢も準備してルイラに構える。
「ヒィ‼︎、ごめんってごめんって‼︎つーかお前弓担当だったの!?」
「お前っ!俺と一緒にいるんなら気づけやアホォ‼︎」
先ほどのしんみりは何処へやら、ルイラは馬をあやすようになんとか落ち着かせようとし、それに更にオルモが怒る。
「どうどうー!どうどうー!」
「俺は馬じゃねえぇよ‼︎」
ー助けて‼︎
「「へっ⁇」」
突如、金髪の少女がルイラに抱きつくー。
(えっ⁇、俺今日で死ぬの⁇)
あまりの運の良さでルイラは死を予感する。
しかしそんなことを思う暇もなく。
また遠くから足音が聞こえてくる。
「ヤダ⁉︎、何この嬉しくないデジャブゥ‼︎」
「そんなこと言ってる暇かバカァ‼︎」
二人は周りを見渡すが隠れれそうな物はない。
「ええい!こうなりゃぁ」
オルモは決死を決めた顔でルイラの肩を掴みルイラの顔を引き寄せる。
「いいかルイラ…その子しっかり抱きしめろ…‼︎
覚悟決めろ」
「えっ⁇ちょ待って⁇、心の準備
「セェェエイ‼︎」
ルイラが言い終える前にオルモは勢いよくルイラの肩を押し、少女ごと川に突き落とす。
「ギンヤァぁぁ‼︎」
ーバシャーン‼︎
オルモはすぐにルイラ達を落とした川に背を向け、早速来た騎士がオルモに目をつける。
「君!此処に金髪の少女は来なかったか⁉︎」
オルモは目の前に出された少女の肖像画らしき絵をまじまじ見るとそのまま、自信なさげな様子で先の方を指す。
「確か……真っ直ぐ向かわれたような…」
「ご協力感謝いたスゥゥゥウウ…‼︎」
そのまま大量の兵を率いてオルモが指差した方向に進む。
風の如く去った騎士達に目を点にするが、ハッと我に返り、急いで橋をの横を通り抜け橋の下を覗く。
「ルイラァ……!」
まさか流されたかと周りをキョロキョロ見るもいない。
「…ここじゃアホォ…!」
か細く、かつ怒りがこもった声の方を探すと、
橋の裏に支えの支柱に必死にしがみついているルイラと、何とかルイラにしがみつき目をパチクリする少女がいる。
「まっ、お前なら死んでも死ぬ気でこっち戻りそうだしな」
「殺すぞ」
ルイラは岸に上がり持っていた腰の荷物入れも脱ぎ手袋も外す。
「追いかけてきた人たちは…?」
「さっき俺が指差した先に真っ直ぐ向かっていったぞ?」
「ーねえ!さっきはありがとう!」
先ほどの少女が、ルイラの手を握るー。
「ーッ!?」
ルイラはその少女の方を向き、
大きな青い瞳に小麦色の美しい金髪。
真っ白肌に明るい笑顔。
「あっ、ああ…」
こんな美少女から感謝されると、
流石の彼も頬を赤らめ目を逸らすぐらいになる。
しかし同時に
「ーーーーあっ、」
彼女と素手のまま手に触れている事に気づく。
ーパチパチッ‼︎
「くっー!!」
再び容赦なく襲う頭痛のあまりの痛さにルイラは体制を反る。
「ーッ!?」
「ルイラァ!?どうしたんだよ…!」
目の前の少女は困惑して、オルモも慌てる。
しかしルイラは何とか精神を落ち着かせるのに必死であり、今回のは慣れてきたからなのか随分とマシになった。
「う……‼︎」
目を閉じてあの時のように、映像のようになり目の裏に流れる。
《…オギャア‼︎、オギャア…‼︎》
ルイラはその目に映る光景に驚く。
彼女の美しい服などから見て、普通の少女では無いと思っていたが…、
美しい天蓋らしき、太陽の紋様の刺繍が縫われたデザインに、多くの商人らしき人物がにこやかにこちら、いや彼女を見る。
赤ん坊である彼女を抱えているであろう。その人は美しい黒髪の女性である。
《…ほお、女の子か?》
《陛下…ちょうどお生まれになりました》
へ、陛下…?
横から入り込んだのは、金髪で青い瞳の、少し歳を重ねた男前が、映り込む。
《美しい…
…ゼーゼレン……こちらにおいで》
ゼ…ゼ!?
「ーちょっと‼︎大丈夫…⁉︎」
ルイラは方を揺らされてようやく目を覚ます。
横を見るとオルモが方を大きく揺らし、汗をかいて息を切らしている。
「オルモ…‼︎」
「ちょっとー!貴方大丈夫なのぉ!?」
目の前の美少女は心配そうに顔を覗き込み、ルイラの汗をハンカチで拭う。
ルイラは彼女をじっと見つめ呟く。
「…君、もしかして皇女様?」




