第5話 その転生者の名はー!
前回ー
ルイラとメゼリーは新たな仲間のアリナが入り大喜びしていたら。何と油断して手を握ってしまい、彼女の過去を見る。
すると、
ー見慣れない文明。
明らかに目の前の少女のものとは思えない姿。
そして謎の馬車のようなものにひかれた後に、彼女の生まれた姿が映し出されていた。
そんな彼女は自身を『転生者』と名乗った
果たして、ルイラ達はどうなるー!
「だ~~~れが、老けとるって??」
******
「てん…転生者、?」
ルイラとメゼリーが困惑している様を見て、
目元を少し緩めるその姿は、自分たちと年はそう違わないはずなのに、
圧倒的に年上の貫禄を感じる。
「はい!、私転生者なんです!」
目の前の怪力少女は何のためらいもなくそう言った。
彼らの知ってる転生とは違う。
普通は前世の記憶がなくなるものではないのか?
そんな疑問がルイラとメゼリーの頭に浮かぶ。
そう教会では彼らはそう習ったのだから。
しかし当然、
ルイラの見えるのは、当の本人の記憶である。実際にルイラも自身が生まれる前の意識は見えなかった。
しかし、目の前の少女は、
それができてしまったのだ。
「…未来の世界から転生してきたのか?」
そう尋ねると彼女は笑みを崩さずに首を横に振る。
「ううん、正確には私は異世界から来たの!
遥かずっと、
魔法もモンスターもスキルも…
知能を持つ生き物が人間しかいない世界から私は来たの…」
「…は?」
頭の中が一気にぐちゃぐちゃになる。
自分たちが知っている常識と、
違う世界で生きる存在。
それが彼女、アリナなのだ。
「私たちとは違う世界で生きて死んで、そのまま記憶を持ったままこの世界に来たということ…?」
「はい、自分もどうしてこんな奇跡が起きたのかはわかりません…」
少女はその鮮やかで赤い髪を耳にかける。ボブの髪はよく揺れる。
「この世界では、私は吟遊詩人の子として生まれ、スキルを慣らしてから冒険者として旅立つのを決めました。」
そう語る彼女の顔は、先ほどの能天気な姿とは違い、なんだかミステリアスである。
「私も早死にしたくは無くて、ベテランでまだ気まずくなさそうなパーティに入ろうと思ったんですけどね。門前払いされましたね」
そう言うと、アリナはじっとルイラの方を見る
「だから、君たちみたいな少数精鋭のところなら入りたいと思ったんです!」
「多分同い年ですよね?私15なんです!」
そう言い少し気まずそうに頬を指でかく。
「まぁ、実際の年齢だと、もっと上だしなんなら足すとアラフォーぐらいですけども…」
「…14だ」
ルイラはポツリと呟く。
「14歳です」
続けてメゼリーも言う。
「…へ??」
先ほどまでどこかミステリアスな雰囲気があった彼女はいきなりどこかきょとんと腑抜けた顔になる。
「だって⁇、普通はスキル慣らす為に15くらいかに旅立つでしょ⁇」
「その…待ちきれなくて」
そう言いルイラは少し恥ずかしそうに頭を掻く。
アリナは更に顔を引き攣らせ、ピクピクッと口角が動く。
「じゅ、じゅじゅじゅ、14…歳??」
「うん、だからそうだと
「こげんかわいい女の子と男の子が、、、、二人でですか??」
ーーーー
(えっ〜〜〜⁉︎この子達14歳で旅してるの⁇
周りは20歳かそこらから年上の頼りになりそうなメンバー引き連れて旅してるのに⁇この子達は⁇
14歳で⁇)
アリナは頭の中がとにかく『信じられない』の一言が頭を埋める。
普通、10代のうちは、悪党に目をつけられる危険性もあり、必ず年上の冒険者のパーティに入り、
経験を積むのだ。
(あーあ‼︎童顔な18歳ぐらいか、保護者でもいるかと思ったら…14⁉︎スキルもちたてほやほやが…
…こんな危ないのに⁇)
※人のことは言えない。
ここでアリナは一つの可能性を頭に浮かべる。
この子達に何かあったら⁇
ー子供のパーティ、怪しい連中の餌になるに違いない
「そうで
「大人ずらしたこと謝るからさぁ!!一緒に旅しよ‼︎」
そう彼女は間髪入れず答える。
「ハイィ⁉︎」
ールイラは、「斧使いの少女」を仲間にした!!ー
「いゃ〜‼︎元々なんとかお願いして、入れてもらおうとは思ってはいたんですけどね〜
入れてよかったよかった!」
先ほどのミステリアス少女は何処へやらすっかり飄々としている。
「でも危ないですよ!スキル発生したばかりの10代が、年上のメンバー無しで冒険するのは!」
そうピシッと言うと、ルイラは呆れ顔でイヤイヤと手を振り言う。
「お前も10代だろ⁇」
「前世含めれば30代ですよ‼︎
(四捨五入しなければ…)
だから私はOKなんですッ‼︎」
※ダメです。危ないです。
良い子の冒険者は頼り甲斐のあるベテラン冒険者を連れていきましょう。
メゼリーはアハハ〜と苦笑いを浮かべた後、何かを思い出した様に目を開く。
「あっ!ルイラ手袋!手袋を買わないとまたあの時みたいになるよ!」
そう言われルイラもああと腕を組み考える。
「手袋か…。どこで買おう?」
「今から防具屋行きますか?そこならいいのも…」
ーちょっとお嬢ちゃんら!
「「「ん⁇」」」
3人は同時に振り返ると、坊主頭の皮のエプロンをした男性が近づく。
「えっと…、そこのあんた、手袋欲しいのか?」
「は、はい!」
「ならよ…」
男性は袋からゴソゴソと何かを取り出すと、包みを剥がす。
「さっきの盗人からとってきてくれただろう?
お礼言いたいのにいなくなるからよぉ…」
そう言い包みの中から出てきたのは、
立派な革製の手袋だ。
分厚すぎず、質も見るだけでも他とは違い特に良いものだとわかる。
「盗まれた品の一つだ。これで良かったら持ってけ」
「えっ⁉︎、いやいや‼︎、俺は結局確保に失敗したし、捕まえたのはアリナで…」
どうやら男性は、あの店の店主だったのらしい。
首をブンブン横に振るルイラに、
店主もまた、首を横に振り、手に持たせる。
「それでも、ここは事件は多くてよ、あんなにガタイのいい奴だと捕まえることすらも諦める奴もいる。あんたらは俺の英雄だ!」
そう言われた3人は一瞬パチクリとしたが、次の瞬間にはそれぞれの反応で、照れながら誇り高くしていた。
「いや〜♩それでもないですよ♩」
ルイラが照れている間に、店主はせっせと手袋を取り付ける。
「ほぉら、やっぱり似合っているじゃないか!」
「あっ‼︎いつの間にぃ!」
ガーバッハ!と豪快に笑うと店主は言う。
「代金はいい、どうかそれを使ってくれや」
「でも…、やっぱりなんかお礼したいよ…。」
ルイラがそうポツリと呟くと、店主は顎の髭を撫でながら言う。
「ならよ、この先良いとこの金持ちとかに宣伝してくれよ!俺は皮の取り扱いには自信があるんだよ♩」
ー後に彼は、この発言に、贅沢すぎる後悔をする羽目になる。
おまけ
ルイラは手袋の触りごごちに感動しながらもふと思い浮かぶ疑問が一つあった。
「…さっきのおっちゃん、
『お嬢ちゃんら』って言ったよな⁇」




