第4話 斧使いの少女の名はー‼︎
あれから二日後ー
頭痛はおよそ2時間ほどで止み、そのままルイラは旅をしながらメゼリーに内緒でスキルについてあらゆる実験をした。
「あれから何ともないみたいだけど…?本当に大丈夫⁇、痛くないの…⁇」
そう言いと彼女はルイラの額に手を置き確認する。
「いやいや、本当に大丈夫だって…。」
そう言いながらも彼の心はどこか上の空だ。
どうやらこの記憶は、生まれてから現在までの記憶を覗けれるスキルであり、ネズミなどの記憶も見れその際は頭痛は少ししか感じなかった。
この2日で分かったのだ。
「でももしも人の過去覗けるんなら、気をつけないとね。手袋でも買う?」
「そうなんだよな〜…」
(昨日、自分の記憶を見たら、頭の頭痛はやっぱり痛さは変わらなかったけど、あの瞬間から今の記憶見ようとしたら全部見れた。)
どうやら、自身の記憶はいつでもみれるらしい。
これで、無くしものとはおさらばでなる。
「ルイラ!」
「んっ?」
普段落ち着いている幼馴染の声色が明るくなり視線を上げるとグイッと裾を掴まれる。
「着いたよ!都に!」
「お…、ウワァ‼︎」
そのまま引っ張られるまま、森を抜けると、
広く続く平野に特徴的な時計台に様々な店が並んでいる。
ーハシリバ町
この辺りの冒険者がまず最初に行き武具などを整える最初の町として有名だ。
ー市街
「おーい‼︎魚が安いヨォ!」
「このブーツ‼︎
なぁんとこの通り、一筋も切り傷無し‼︎」
冒険者の多くが通るからか、普通の店以外に、冒険者向けの商品もズラッと並ぶ。
「おお‼︎美味しそう‼︎」
目の前では焼き鳥屋が鳥を焼いている。
「ねー!目移りしちゃう!」
メゼリーも目をキラキラと輝かせて見ている。
正味、ここで色々と買ってしまいたいが、それだと村の人が預けてくれた武具などが無駄になってしまうからグッと衝動を抑えつつ、ルイラはチラリとバニーのお姉さんたちを見る。
やはりいつか男ならば、あんな美人にお相手されてみたいというものだ。
そうしてわいわいと賑やかになっていく町に、切り裂く様な悲鳴が飛ぶ
「助けてくれー‼︎」
「⁉︎」
「‼︎」
いきなりの悲鳴に、ルイラもメゼリーも振り返る。
すると中々ガタイのいい大男が袋を持って走って来た。
「ひったくりだー‼︎」
「メゼリー‼︎」
ルイラが声をかけるとメゼリーは親指を立てて良しと返事をすると杖を床に向けて念じる。
「簡易氷結魔法‼︎」
ピシピシッ…‼︎
一気に凍り始める地面に、町人や冒険者たちは何かを察しあるものはその場から退き、あるものは退く様に命令を出す。
凍った地面に気づかない大男はそのまま突っ込む。
「オッ⁉︎、お、お、お!?」
ツルン
ドシン
「ギャッ‼︎」
大男は大きくツルンと空中を一周して滑ると
ルイラは迷いなく肩の方にピョンと飛び乗る。
「よしっ‼︎、男は上に乗れ‼︎」
振り返り大声でそういうと3人ほどの男が前に出る
「よし‼︎」
「あいわかった‼︎」
どんー!
「グッ」
ドンっー!
「ウッ‼︎」
ドシンー‼︎
「グエッ‼︎」
そして先ほどまで立ちあがろうとした男もその場で力尽きる。
辺りはその瞬間を見て歓声を上げる。
ーウォォォォ!
「よくやったあんちゃん‼︎」
パチパチパチパチッ‼︎
「でへへ〜」
普段は村の男たちにいじられることしかなかったがこんなにも大勢に誉められて嬉しいことは他にない。
ルイラはメゼリーに目を合わせ満面の笑みで親指を立て、メゼリーもまた親指を立て返す。
ーしかし、男の指がピクリと動く。
「チッ‼︎どけぇ‼︎」
「んっ?ウワァ‼︎」
大男はルイラと男3人が乗っていたのにも関わらず姿勢を起こしブンッと投げ飛ばすと四方八方に飛ぶ。
「グッ!」
「ガッ‼︎」
「ギッ⁉︎」
「ウワァッ‼︎」
壁に当てられ落ち、背中に頭にあちこちに痛みが走り抑える。想像以上の力にルイラは痛さと悔しさで歯をくいしばり痛さを耐える。
メゼリーはその姿を見て顔を青くしルイラの方に行こうとするが、今すべきことを思い出す。
「フ、簡易氷結魔法‼︎」
メゼリーが再び凍らせるも、
大男は今度はヒョイっと飛び越える。
「なんだあいつ⁉︎」
「見た目に反して素早いぞ‼︎」
人々は驚愕の顔で走り去っていく大男を見ることしかできない。
(ダメだ…‼︎ 距離を置かれた…‼︎)
ピピピピ…
とある少女が宿の2階から男に目をつける。
「フッ…」
自身の鉄の斧を手に持つ。
「フン…‼︎」
それを構え、彼女は目を見開き男をじっと見る。
ピピピピ…ピ、ピ、、、、
その目の先は何かに照準を合わせている。
ピッ。
その音が頭に響くと、思い切り投げる。
ドッシーン‼︎
その瞬間、男の前に突如砂埃が立つ。
ルイラは脇腹を抑えながら駆けつけてきたメゼリーの肩を借りながらじっと見るがよくわからない。
「んっ?何があったメゼリー?」
目の良いメゼリーに問うとメゼリーは冷や汗を垂らしていた。
「見間違いじゃなかったら…斧が…‼︎」
ー斧?
ルイラはキョトンとしながらも
遠くをよぉく見ると、
砂埃が消えて男が腰を抜けている。
ルイラはまた先ほど痛みで細めてた目をかっぴらく。
なんせそうだ
そいつの目の前には、斧がぶっ刺さっていた。
後数センチずれていたら、刺さっていたであろう。立派な斧だ。
「な、どんな男が…!?」
「イヤー、お兄さんダメですよ。」
「!?」
声の方に振り向く。
(嘘だろおい…‼︎)
後ろに居たのは、ルイラと同い年ぐらいの
細身の少女だ。
「大丈夫ですか〜?お怪我は?」
少女は男に近づく。
「ち、近寄るなぁ‼︎」
男は立ち上がりブンッと拳を振る。
「危ない‼︎」
「…フン‼︎」
突如として人々の目は丸くなる。
まるでお芝居でも見ているかの様に。
少女は自身よりも何倍も体格のある男の腕を押さえていた。
「フンッ‼︎」
「ナ…‼︎⁇」
男が驚いている間。彼女は思いっきり地面を蹴り
空中を回るとその勢いのまま、男の頭に回し蹴りをかます。
「…ッ‼︎」
ドーンっ…
男は今度こそ倒れる。
彼女はそっと手首に二本指をそっと添える。
「まあ、死んで無いよね。よかったよかった…!」
「……………。」
周りはあんまりにも奇天烈な光景に、驚愕のあまり固まる。
「…パチ、パチ、パチ」
そう拍手したのは、ルイラである。
パチパチ、パチパチ
それから段々と周りが釣られる様に拍手をし始める。
パチパチパチパチパチパチパチパチ‼︎
周りは拍手と共に歓声をあげて、男を取り押さえれた少女に歓声を上げる。
「すげえな嬢ちゃん‼︎」
「あんたやるねぇ‼︎」
そう言われた少女はすっかり顔を赤くして照れる
「いや〜、アハハハハ〜。」
ー信じられない…。あんな細身であんな2メートルはある大男を倒したのか…?
ルイラは目の前で見ても
信じられないほどに鮮やかに技を決めた彼女に、
驚愕という感情しか出なかった。
「お嬢ちゃん、名前はなんて言うんだい?」
「ああ、私の名前はアリナです‼︎」
「…アリナかぁ」
ルイラはその少女の名前を呟く。
「ルイラ?」
その様子を不思議がられたのかメゼリーがルイラの肩を揺らす。
パーティには1人は欲しい、怪力係、
大きいモンスターに出くわしたときや、
何かを壊したいとき、
何かと助かる存在になるからな…。
少年はそんなことを考えながらじっと見る。
「ねぇ、あの人見た感じ1人っぽいし声かける?」
メゼリーがその視線の意図を汲み、ルイラの耳元に囁く。
「……。そうだねぇ…」
少女は少し照れながら街の人々の間をしている時、ふと目が合う。
「…あっ‼︎」
突如少女は目を大きく開き嬉しそうに笑みを浮かべる。
「「んっ?」」
突如、先ほどからヒーローとなった少女と目が合い、笑みを浮かべられた二人は声を合わせて驚く。
そんな間に、彼女は颯爽と人々の集まりから抜け出しこっちに小走りで向かうといつの間にか二人の前に立つ。
「ねえねえ君たちだよね?、さっき大男捕まえたのって?」
彼女はそう顔を近づけて問う。
「えっ⁇、はい、まぁ…」
そんなどこかハイテンションな彼女にルイラは少し怯む。
「ならさ…
私をパーティに迎えてくれません?」
「「…えっ?」」
あんまりにも急展開でルイラもメゼリーもキョトンとする。どうしてであろう。彼女ほどの強さならばどこでも引っ張りだこであるはずなのに。
「わ、訳を聞いてもいい?貴方ぐらいの強さなら引っ張りだこだと思うけど…?」
流石のメゼリーも疑問に思ったのか理由を問う。
彼女は一瞬考え込み、腑抜けた顔で言う。
「いやね〜、元々入りたいなぁ〜と思ってたところがあんまりにも強過ぎて、私の年齢ではとても役にも立たないなぁ〜って」
何やら自分たちはもしかしなくても譲歩した結果かとルイラは少し複雑になる。
「まぁしかし…それ以上に…」
「「⁇」」
彼女の目が猫の様に目が輝く。
「やっぱり入るなら、美しいものを見てたいではないですか!」
「顔⁇」
ルイラは目をパチクリとしながら問う。
「そう‼︎圧倒的ゆるふわ感溢れる青髪美少女‼︎
中性顔美少女‼︎最高ではないですか‼︎」
その言葉を聞き、二人は益々キョトンとする。
中世顔…
ルイラとメゼリーはゆっくり目を合わせ、その意図に気付いたメゼリーはぷっと一瞬吹き出す。
「ちゅ、中性顔美少女…か」
メゼリーが口ものを抑え、必死に笑いも抑えようとする。
「?」
今度は少女の方がキョトンとすると、何かを勘づくと、ハッとした顔で冷や汗を垂らし、気まずそうにルイラの方に目を合わす。
「俺は…
正真正銘の男じゃい‼︎‼︎」
ールイラは、 斧使いの少女を仲間にした‼︎ー
「いや、本当にすみませんでした‼︎
声が高いから女の子かと…‼︎」
少女•アリナは九十度にお辞儀しぺこぺこと謝る。
「いやいや、もう慣れてたし……
でも仲間になってくれてめっちゃ嬉しいよ‼︎
よろしく‼︎」
そう言いルイラは手を差し出す。
「ええ‼︎」
アリナもまた手を差し出し、ルイラの手を握ろうと手を差し出す。しかし…
「ッ⁉︎、ルイラ!ダメ‼︎」
メゼリーが止めるも遅かった。
バチンッ‼︎
「っ!?」
ーしまった‼︎
再びあの頭痛が頭に走る。あの鋭く走る痛みが、
あの時と同じ痛みに、ルイラは再びその場でしゃがみ込み頭を抑える。
「ルイラ‼︎」
「っ⁉︎、ルイラくん⁇、大丈夫ですか⁉
ルイラくん⁇︎」
アリナは初めての状況に困惑しながらも小刻みに体を揺らす。
「えっと…ルイラくん……持病を……?」
「持病……なくて……‼︎」
またあの時の様に意識が遠のく。
(またかよ…‼︎)
再び視界が暗くなると、段々と目の裏に色鮮やかになっていき、また誰かの一人称の記憶が流れ始める。
ーのだが
『疲れた〜』
ーッ⁉︎
突如として流れたのは、見たことがないほどにキラキラと輝く夜の夜景。
とても炎の光だけではこんなに明るくなると思えないほど明るく。
少なくともとも視界から見えたのは、赤と緑に光る謎の機械に変な格好をしながら歩く人々ー。
『今日はコンビニでいいかな〜?』
ーな、なんだこれ…⁉︎
『たくっ、あのクソ上司がヨォ‼︎…』
『缶ビールプシュっと‼︎』
『推しが尊いぃー‼︎』
聞き馴染みのない言葉に頭を抱える。
しかも…
ー視点の女…彼女じゃない…‼︎
視点の対象の彼女であるはずの手や皺から、
明らかに二十代である。
(誰だよ‼︎…こいつ)
見慣れない機械
夜なのに明るいという世界に、ルイラは困惑する。
『…キキッーーーッ‼︎』
『ドォン‼︎』
⁉︎
鉄でできたであろう、大きな馬車の様な乗り物と衝突すると視点がまた暗くなる。
『……オギャア‼︎、オギャア‼︎』
『…貴方‼︎女の子が生まれたわ!』
今度はまだ見覚えのある家の風景に、優しそうな女の人が抱えている。
『なんて可愛い‼︎白雪の様に白くて愛らしい‼︎』
『名前は決まっている‼︎アリナだ…‼︎』
ー!?ー
…ルイラくん‼︎」
「っハッ!?」
気がつくとメゼリーとアリナが囲んでおり、心配そうに見ている。ふと周りを見ると、先ほどまで明るかったのに、少し火が沈んでおり、大体1、2時間が経ったことに気づく。
アリナは安心した様にホッと息を吐く。
「よかったよかった…何かあると思いましたよ!」
アリナは胸に手を置き、ホッと一息をつくも、
ルイラは先ほどのどこか腑抜けた顔から一気に真剣になる。
「…なあ一つ聞いていいかアリナさん?」
「んっ?どうしたルイラ君?」
ルイラは先ほど見た世界から、仮説ではあるが、ほぼ確信をする。
「あんた、ここの世界の人じゃないだろ?」
そう言うと彼女は驚いて目を見開きこちらを向く。
しかし、すぐさまにニコリと微笑む。
「…なんで分かったの?」
意外にも彼女は否定も何もせず、
それを受け入れた。
「…俺のスキルは、触れた相手の記憶を見れるんだ…」
ルイラは意を決してその事実を言うと
彼女は少し黙り込んで考える。
「……。」
すると、口をようやくゆっくり開き、話始める。
「ねえルイラ君、メゼリーちゃん、
君たちはさ……
…転生者って、信じる⁇」
ールイラは、 斧使いの少女を仲間にした?ー




