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ーその勇者の名前は、『名無し』と言ったー‼︎  作者: みかづきん


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第17話 死なないで











「わ、私は…」


アリナの口と考えは、思うように動いてくれなかった。


混ざりけない、荒れていてもなお美しい白銀の髪

夜の海を溶かした様な、サファイアの様な瞳


__この帝国でただ1人


残虐王 ゼーゼレン=アンドゥ=セブナール



しかし同時におかしかった。


噂ではその圧倒的強者の証である

非常に鍛え上げられた体の美丈夫だとも言われる。


その顔は生気などとても感じられず、目は虚であり、前世では髪なんかにかける時間を持たなかった彼女すら勿体無いと思うほどボサボサで、


それでも、その異常とさえ思うほどに彼の整った顔で、まだそれほど強く悲壮感は感じなかった。

見られなかったのは首から下だ。


そんな男の体は非常に細く、

はっきり言って骨に薄く張り付いた程の肉しかあらず、見たことないほどに鎖骨が露わになっていて、

とても見てられなかった。



嫌な記憶がフラッシュバックする、

最後に見た親友がこんな姿で宙に浮いていたからだ。


しかし今は心配よりも、

すぐに目の前の皇帝に礼を言い

4人と合流することである。


アリナは当然、礼儀作法なんて知らない。

生まれてから馬車が家であり、決まった住所なんてなかった。


それでも、なんとか前世の記憶から読み返す。


しゃがみ、

片膝を地につけて、

もう片方の膝は立てて手を置く。


「わ、私はアリナ!旅人のアリナでございますッ‼︎

けっ、決してアサシンなどではございませんッ‼︎」


嘘ではない。もっと言わないといけないことはあるがとりあえず嘘ではない。


「…そうか」


アリナは怖くて顔を見れず、右下斜めを見ることしかできなかった。


その声色からは怒りか落胆か、はたまた別の感情なのかは判別しづらく、とにかく震える。


ここで自身が死んではまずい。


ルイラは?

メゼリーは?

オルモは?

リリアーノは?


前世の年齢も足すと母親でもおかしくない年齢の

アリナはとにかく残りの仲間たちの身が心配なのだ。


「ち、治癒していただき、

ありがとうございました‼︎し、しかし

不敬を承知で申し上げます!

仲間たちが今大変危険な状況で!お礼をまた今度でも…」


「待ってくれ」


「ハヒッ!」


思わず自身から出た裏返った情けない返事に

アリナは顔を真っ赤にする。


「…一つ、お前に頼みたい…。

こちらを見てくれ…」


そう言いアリナは不自然なほどに姿勢をまっすぐに正すと、青年、ゼーゼレンが手招きする。


「ここまで、立って来てくれ」


「…、はい」


そう言い何をされるのだろうと内心冷や汗を滝のように流して瞳をぐるぐる回しながら近づく。


確認するように、

一歩、一歩と歩み寄ると、


ようやく、目の前に立つ。


「…なんでございましょう?」


「…簡単だ、」


そういうと突如その細い腕で、アリナの腕が掴まれる。


強すぎる。


自身の腕と同じかそれ以上に細い、

骨のようなその腕が、信じられないほど強いのだ。


手を引き離そうとする隙すらなく引っ張られる。


終わったー


アリナの思考はそうまとまった。


しかし、その掴まれた手に押し付けられたのは、彼の首だった。


「…えっ?」


唖然としている隙にも、もう片方の手も同じようにされる。


「…頼む」


先ほどまで、何を考えているか分からなかったその声は、震えが伴っており、


「旅人の女…」


その無表情だった顔は、

強い懇願の意を含むようになり


「…楽にしてくれ…」


その瞳は、諦めがあった。



…




__じょうッ、ッだんじゃない。



怒りが湧き上がる。


どうしてそんなことを言うのだ。


『…お願い、___』


『もう嫌だよ…』


誰だー?


『もう、無理だよ…』



誰が、この人を、こんなところまで追い詰めたー‼︎


誰が、この人をこうなるまで放置したー‼︎



「__、申し訳ございません、それは無理な話でございます」


潔く、彼女がそう言うと、ゼーゼレンは再びその顔は人形のように生気を失い、がっくりと俯き、手を離す。


「____」


突然、男は自ら骨ばったその手で自身の首に手をかける。

当然、アリナは慌てた。

「⁉︎、お待ちくださいッ‼︎何を…‼︎」

彼女は皇帝の腕を掴み引き離そうとする。

「黙れッッッッ‼︎」

その言葉と同時に、彼女の手の甲は強くぶたれる。


「……ッッ‼︎」


アリナは一歩下がる。

自身は今世では同年代の中でかなり強い自信があったのだ。しかし手のひらは真っ赤になり、長時間痛みがジーンとなる。


「……ッ‼︎」


しかし、それに痛みを感じたのは叩かれた本人ではなく、目の前の皇帝だった。


「す、すまぬ…ッ!」


ガタッと座っていた椅子が後ろに倒れるほどに慌てた男は手を伸ばそうとし止まる。


目の前の少女の手の甲が赤くなっている。

間違いなくこれは自分がやったのだ。


それを自覚した瞬間、先ほどから荒れていた呼吸がさらに酷くなり、ヒューヒューと息の詰まったような息になっているのに気づき、アリナは慌てて顔を上げる。


「……ごめん、ごめんなさい…ッ!」


皇帝はしゃがみ込み、体が大きく震えながら、

目から涙を流してる。

呼吸もまだヒューヒューとなっている。


「ごめん…ごめん…ごめん…」


「…」

アリナは、その姿をじっと見た。

目の前の男は、間違いなく強い、すごく強いはずなのだ。そんな男を何がここまで追い詰めたであろう


にしてもこの呼吸はまずい、


__しかし、自分の立場としてはそんなことなんてしてられないのだ。


もしも、三人が捕まっていたら?


ただでさえ自身は先ほど気を失って、三人を探すのが遅れている。


そうだ、考えるのだ。

この男は皇族なのだ。自身がそんな気持ちがなくても触れただけで死刑になるかもしれない人だ。そんな危険性を冒してまで助ける必要はあるか?ないのだ。そうないのだ。そもそも自分じゃなくても他の兵士が助けてくれるだろう。この状態の男が自分のこと告発できるだろうか?できるわけないのだ。

ならば逃げ____



るわけないに決まっているだろッッッッ。



「ごめん…ごめん」


「言わないで、そんな事」


アリナ、前世の呼び名、_______はそんな女

だった。自分の面接の日も、取引先に顔出す時も


妊婦が破水したら、老人がしゃがみ込んでいたら

それに手を差し伸ばさないことなんてできない女だった。


他の人がやるとかありがた迷惑とか知らず

最悪を知る前からそんな性格だったのだ。


何度面接で落ちただろう。

何度取引先に土下座したであろう。


それでもやはり見捨てたくなどない女


それが________、今世での呼び名アリナという

女なのだ。




「…ゆっくり、ゆっくりと…、大丈夫ですよ…」


すぐに終える。その後三人の元に行く。

絶対に、


「…ヒュー…ッ‼︎…ヒュー……ッ…ヒュー…………」


段々と呼吸の感覚が空いてきて、

落ち着いてきているのが分かる。


「…ゆっくり深呼吸、できますか…?」


「…」


そう言うとアリナが抱き寄せる体が大きく膨れ、

ゆっくりと落ち着いていく。


「…大丈夫ですよ…、大丈夫…、」


泣いている幼子を泣き止ませるように、背中をポンポンと叩く。


「大丈夫…思い切り泣いて、いっぱい泣いて下さい…」






フーっと、ゆっくり息をしようとしている。


その瞬間、彼の手の甲を伝い、透明な液体が、一粒ずつ落ちてくる。その速度はだんだん早くなり、体の震えは大きくなるとき、

 

ただ、彼女は、目の前の男の背中を撫でた。



大きな背中、されどやはり限界のある背中


どれほど過大な重責を積まれたであろう。

どれほど辛いことが起きたであろう。


分からない。分かるはずがない。


本人の辛さなんて、本人しか分からないから、





アリナは本人が落ち着いたことを確認し、ゆっくり離すとその場で皇帝に毛布を掛ける。





…さて、行こう。









_________________





その頃、皇帝付きである侍女長エレーンは

ひどく焦って、皇帝の部屋に向かった。



というのも戻る事30分前。



彼女と公爵のアンドレートが馬小屋から抜けて、城の廊下に入ると、本来皇帝の部屋にいるはずの兵士たちが何故かその場にいたのだ。

 

最初に聞いたのはアンドレードだった。

『君たち?、

先ほど陛下の部屋の前にいた気がするが?』


すると兵士の一人がこう答えたのだ。


『先程、侵入者が殿下を連れて逃げたと聞き、駆けつけて行きました。』


その言葉を聞いた時は、戸惑いを隠せなかった。


『つまり貴方達は⁇、あの状態の陛下を差し置いて、ここに来たの?代わりの門番は誰⁇』


『…えっと』






あの時、アンドレードが必死に止めてくれていなければ、男達が気絶しても兜を脱がしてタコ殴りしていたであろう。



(陛下…‼︎陛下…‼︎お願いします神様ッ‼︎

ただ、生きているだけでいい…‼︎)


それでいい、十分だ


だからどうか取らないでくれと、彼女は必死に祈り、皇帝の部屋に向かう。



ここの廊下をまっすぐ行けば、すぐに着く。


…ときだった。


いきなり、彼女の腕を目掛けて矢が飛んだ。


エレーンは先ほどまで走っていた足を止め、

その矢を手で掴み取ると、パキッと音を立てて、

2本、地面に落ちる。



「退きなさい!急いでいるのよ…!」


彼女は目を大きく見開き、蛇のように瞳孔を開き、

睨む。


その睨みの先にいるのは、濃い緑のローブに、身を包み、弓を月光で曲線部が照らされながら構える。


オルモの姿である。


「…こっちも通せないと言ったら?」


「…あんまり余裕がないの!、無能の部下のせいで主人が危険な状態だから!

その年で死にたくないなら退きなさいッッ‼︎」


その勢いと、凄みのある表情は、まさに蛇に睨まれたような心境で、女は一歩ずつ近づく、


誰もが道を退き通したくなるのに、


オルモは矢を引く。


しかし彼女は理性がほぼない状態でも顔を左に傾け避けた。


その時に、


脇腹に一本の矢が当たる。


「…⁉︎」


彼女は脇腹を抑え、目を丸くする。


あの自分が、目の前の自分よりも10はゆうに超えるだろう、歳の差がある男の矢が、当たってしまったのだ。


「…、チッ‼︎」


ならばと左に大きく移動し、地面を蹴って避けて通り抜けばいいとするが、その時今度は足元に矢が刺さる。


彼女はその一瞬は、唖然とするしかなく、

すぐさま一歩取り、目の前の男を睨む。


目の前の男は、じっとこちらを逃さないように見ており、弓を瞬きの一瞬の合間に構え直す。


しかし冷や汗は流れ足も若干震え、その度に足も構え直す。


怖いはずである。


今の自身は、白蛇を出しているのだ。その溢れる殺気に震えずにいられる人物は、

自身よりも強者である。


目の前の少年は、間違いなく感じているはずなのに


「…何がしたいの?」


「…時間稼ぎだ。」


そう言いながら、また彼は足を構え直す。


その手すら、震えているというのに



「友達が、あんたん所の王様慰めてるからな…


邪魔しないでくれ、おばさん」








_________________






  




ほんの1分前だ。




オルモはあらゆる部屋のドアを開けて、必死にアリナと仲間を探していた。


いない、いない、いない、


どの部屋にもいないのだ。


アリナはいつ息の根が途切れても

おかしくない状態だ。それなのに見つからない。


そこで同時に現れるはルイラ達一行、彼らもまた今どこにいるのかすら分からない。


それすらも分からない。


正しい選択肢が、分からなくなってくるのだ。

今誰を探すべきか、何をすべきか、


どれが最善かなど、分からない。


でも、最善でなくても、仲間を裏切るようなことだけはしたくないと強く思った。


しかし、ふと耳に入った他の雑音と違う音を、彼は聞き逃さなかった。


誰かの呻き声がするのだ。


ルイラでもない。


アリナでもない

メゼリーでも、リリアーノでもない。

関係のない音だ。


だとしても、オルモは見に行った。


ほんの少しでもいいから、ヒントでもいいから、関係あるかも分からない音を頼りに部屋を探すと、


アリナの斧が刺さったドアを見つけた。


「アリーッ!」


部屋に入り叫ぼうとしたのだ。


しかし、その光景に、オルモは固まったのだ。


目の前の、大きな髪の長い、声的に男であろう者が泣き崩れて、その男の背中を、先ほどまで負傷していたアリナが何度も何度も背中を撫でていたのだ。


その姿を見て、オルモは本当に、彼女は自分たちと違うかもしれないと思ったのだ。


彼女の話から、自身は別の世界からきた転生者と聞いたが、よくあるホラだと耳を貸さなかった。


しかし、そこにいたのは普段ちゃらけた

少女ではなかったのだ。


優しく、その優しい眼差しと、じっと焦らずゆっくり背中を撫でる手は彼が見覚えのある例えをするとしたら、


聖女のようだったのだ。




そしてきっと、慰められている男は、あのゼーゼレン帝だとも、彼は察した。


「…。」


しかし同時に、違和感に気づくのだ。


守りの兵士が皇帝の部屋の前に見れないのだ。


こんな騒ぎの時に皇帝を守る兵士がいないなんて馬鹿な話があるかと思ったが、きっとそれは他の奴らも同じであろう。


他のものも、間違いなく皇帝の守りを強める為に

この部屋に集まる。


ならば、


自身は覚悟を決めないとー。
















_________________















皇帝ゼーゼレンは、疲れた子供のように眠る。


アリナはそっと起こさないように部屋を出る


たった3分、されど3分

すぐ様四人を見つけなければと動く。


「お待ちなさい」


その言葉が、後ろから耳に響き、

そっと振り返ると、女が立っていた。


この時代になかなか目に見ることもないだろう。

背の高いメイド服に身を包んだ、

髪の長い女が現れる。


「この子、貴方の仲間?」


そう言いながら見せてきた脇に抱えていたのは

紛れもないオルモである。


「いいお仲間ね、貴方を庇って私の邪魔をするなんて、いい度胸としか言えないわ」


「…。」


この時点で、目の前の女の言いたい事を察した。


「私におとなしく捕まりなさいな、それとも… 」

女は後ろから突如ナイフを取り出すと、

オルモの首に回して当てる。


「…お分かりよね?」


そうニコリと微笑みながらいうが、決してその瞳に冗談などなかった。


「…」


それに、勝負に出るのが彼女である。


「では」


彼女は、後ろに隠し持ってた斧を皇帝の部屋に投げ入れる。


女からは、皇帝の部屋の中は見れない。

だが、女の今までの感覚は、すぐ様皇帝のベッドに投げられたと察すると、すぐにアリナを突き飛ばして部屋に入る。


「陛下ッッッッ‼︎」


その甲高い声が部屋に響く。


が、ベッドに皇帝がいない。

普段ベッドにいつもいるはずの皇帝がいないのだ。

まさか外に出たのか。それともまさか窓から?

そんな物騒な考えばかりが頭を巡った時、ふと、


床に座り込んで寝ている皇帝を見つける。


「…陛下?」


あの皇帝が寝ている?、

しかもそれはそれは心地よさそうに眠っているのだ。

どんなに寝具を変えても、どんなに寝つきがいいとされる枕にしてもしっかりと眠らなかったのに

ゆっくりと、体が呼吸に合わせて動いているのも確認される。


「…どういう」


ふと、彼女はここで策にハマったと気づく。

抱えていた少年はおらず、当然廊下を見ると二人ともいなくなっているではないか。



「…ッッッッ‼︎」


ミシッー。


彼女が握った、ドアの縁が音を立ててひび割れる。












_________________








アリナはオルモを必死に背中に抱え、落ちないように低い姿勢で、しろの壁を目指す。



城の壁に着いたら風魔法で外に抜けて、そこから後からルイラ達を救う。


そうしようと考えるが、

なんせオルモの体を支えるのは思った以上にバランスが要るのだ。


こうなったら一旦オルモも置いて自分一人塀の外に出て後から迎えようか?しかし自分一人で乗り込むことは不可能だ。


アリナは考えていると、木々で隠れて見えずらかったが、目の前に壁が見えるのだ。


「ッ‼︎ヨシッ‼︎」


その瞬間、一気に足を踏み込み、

高く跳ね上がる。


「う、ウィンド…‼︎ボォールッッ‼︎」


下に向けて大きく発射し、そのまま風の力がうまく働き真上に通り、城の兵をもう少しで越えれる。


「やった‼︎」


兵を超えた時である。


アリナの顔は満面の笑みから驚愕に変わる。隣から、大きなカラスのような物体が、自分たちに大きく口を開ける。


まずいと思った時にはもう遅く、

そのまま、二人とも飲み込まれてしまう。


そのままカラスはアリナ達を飲み込まず飛ぶと、

とある男の前に止まる。


「失礼、淑女淑女(レディ)」


《…オエッ》


カラスが吐き出すと、外に出されて咳き込むアリナとオルモが出てくる。


「ハァ…ハァ…」


アリナは必死に息を整え、辺りを見渡すと、

すでに20名ほどの兵士が、自分たちを囲っていた。


「…ど、どういうわけ?」


「獣神系のスキルは初めてですかな、淑女(レディ)」


「誰!?」


アリナは後ろを向くと、そこには黒の貴族衣装の男がいる。


「お初にお目にかかります淑女、

クロノデイヤ家当主、ヤバラと申します。」


そういうと、うっすら目を細める。


「少々、お遊びがすぎましたね」




その光景を、ハイドンデア公爵、アンドレードは城の窓から見つめる。


「あらあら、珍しいじゃない、君が取り逃すだなんてさ」


そう言い窓から一転、エレーンに移す。


「大変、申し訳ございませんでした。

今回は私の油断ゆえに生じた事です。何卒、後で処罰の方を」


「まさか、元はと言えばあの兵士達が持ち場離れたのが原因だ。君は悪くないよ」


そう言いながら、アンドレードはジロジロとエレーンを上から下まで細かく見る。


「少しクマが目立つね、だから今回のことあったんじゃない?少し休憩とったら?」


そう言われて、エレーンはお辞儀する


「心配していただき、ありがとうございます閣下

ですがこれぐらいで休むようでは他のものへの示しになりませぬ」


「…あっそ、そうやって僕に看病されたのは誰だっけ?」


その言葉に、エレーンはウッと言葉がでなくなる。


「まっ、別に僕にはご褒美だけどさ、

にしても、めんどくさいけど、いい機会だ。」


アンドレードはまた、窓からヤバラにより運ばれる

アリナとオルモを見つめる。


「あの子達で、四人か…



使わせてもらおう」









_________________




ピチョン__、ピチョン___、



セブナールにあるとある牢獄に、ルイラ達は投獄されており、まだルイラ達四人は目を覚ましていなかった。



暗く、何も見えない牢獄に、扉が開き、

背の高くガタイの良い男が入ってくる。



「おい、おいお前…」


男はルイラに声をかけるが、当の本人は起きず、

呆れて足でつつくとようやく起きた。


「…んっ、んう…」


ぼんやりする目でルイラは最初に見たのは、牢獄に入った男、その者は髪が赤く、左の頬に傷がある。


「グ、グラノラディウス⁉︎」


ルイラは慌てて起き上がる。

そこには呆れながら見下ろすグラノラディウスの姿があった。


「せめてここでは様付けてくれ」 


グラノラディウスは苦笑しながら目頭を抑えて俯くと、


「罪状聞いたぞ、こっちで庇えるやつは庇おうと思ったけどさぁ…

随分とやらかしたらしいじゃん、お前達?」


「ギクっ」


ルイラに限っては、心当たりがありすぎて思わず目を逸らす。


「た、大変…ご迷惑をおかけしました」


その答えにグラノラディウスはため息を吐く。


「まあ、そのご迷惑に、どんな答えを出されるかは、今から決まる。他の三人も起こせ」


「い、今から?」


ルイラは順番に三人を起こしながら聞く。


「まあ、着いてこいって、その手錠繋いだままな」








連れてこられたのは、牢屋を抜けて少し進んで出てみると、巨大な部屋にたどり着く、木製でできた部屋は丸い形のドームのような設計で、3回構想になっており、


下には綺麗な服を着た貴族達


真ん中にはその綺麗な服がさらに豪華になり、アクセサリーをつけている貴族達


3段目には、

右から痩せ細った黒い服装の貴族の老人と、

白い髪に白い瞳の、こちらをじっとみる無表情の貴族の男

そして、あの時リリアーノをとぼして、

あの火に耐えた髭のある男だ。


そしてその後ろの真ん中の台には、

裁判長らしき老人が座っていた。


「此度、左から

『黒の烏(カラス)の一族』

クロノデイヤ家当主、

ヤバラ=ディア=クロノデイヤ様」


そう言い黒い服装の老人は一礼すると会場から拍手が鳴る。


「続きまして

『銀の白蛇の一族』

フローデア家当主

ウィルゾルト=ディア=フローディア様」


そこでもまた拍手がなり、

男はただ、じっと俺たちをみる。


そしていよいよあの髭男の番だ。


「続きまして、

『銅色の獅子の一族』」


_んっ?銅色?獅子⁇



「ハイドンデア家当主

アンドレード=ディア=ハイドンデア様」


その言葉に一気にルイラの体は白色を一度通ってから青色になる。


アンドレードはニコリと微笑むと、

拍手と共に、ご令嬢達ばかりいる席からは黄色い悲鳴が聞こえる。


「きゃ〜ッ♡!」

「ハイドンデア様ぁ〜♡‼︎」

そのご令嬢席にも、優しく微笑み、手をゆっくり上品に振ると、バタリと誰かが倒れる音がする。


その瞬間、

ルイラは髭男こと、アンドレートと目が合う


その時、はっきりと、こちらを見て微笑むと、

一気にご令嬢席がざわめく。


「えっ?何よあのチンチクリン?」

「罪人のくせにハイドンデア様から微笑んでもらえるとは‼︎」

「なんていやらしいの!」



なんだこの差は、なんだったらあの目はどう見ても

笑ってなかったであろう。理不尽だとルイラは思う


…隙間もなく、


なんなら口から霊体のようなものがヒュロヒュロ

飛んでいる。


メゼリーは呆れてため息を吐いて

オルモは入るパーティをミスったなとあさっての方向を向き

アリナは自分が一番動くのが遅れておるから何も言えないと下を向いて冷や汗をかく。









グラノラディウスは、どこか諦めたような表情をしていた。









次回、ルイラ死す(?)

















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