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ーその勇者の名前は、『名無し』と言ったー‼︎  作者: みかづきん


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11/18

第11話 その帝国の皇太女の名はー



前回ー!


俺たちは明日のセブナール城侵入に向けて

偵察に来ていた時、なんと謎の金髪美少女を助け

挙句にはうっかり彼女の記憶をのぞいてしまう。



その時に判明したのが、


なんとセブナール帝国唯一の皇位跡継ぎ


皇女様だと判明した⁉︎








ーーーーーーーーーーーーーー






さてさて、


ルイラは思わず彼女に皇女様だと口走ってしまったが、









ーセブナール唯一の皇位継承者ー


リリアーノ=クロノ=セブナール




彼女は、

ゼーゼレン帝の異母妹に当たり、

非常に穏やかで優雅な皇女と聞いた。


その妖精のような姿と精神は、

ゼーゼレン帝から可愛がられ、溺愛されている。






とは言われたが、







その彼女は



「なななな…ナーニヲイイイ言ってるのかしら⁇」


彼女は明らかに視線を思い切り斜めに向き、

膝がとれそうな程にガクガク振るわせ


「こここここーんの私が皇女だなんて‼︎


全くの愚問よっ‼︎」


ここまでわかりやすいのは生まれて初めて見た。


「逆にここまでだと本当に違う説あるぞルイラ?」


オルモはジロリと呆れながら言う。


「いゃ〜、さっき記憶覗いたとき明らかな奴あったし間違いないと思う…」





「…記憶を、覗く?

…あなたのスキル?」


突如、多分皇女であろうその少女は、先ほどの慌て振りは何処へやら、キョトンとした顔で聞く。



「うん、『記憶動画』って言う不思議な」

「どんな感じなの?」


意外にも、少女は、この話に食らいつき、

興味津々であり、


少し冷や汗垂らしながら聞くが、

あまりの近さにルイラは頬を少し赤らめる。


なんせ美しい小麦色の髪にサファイアのような青い瞳の美少女には、


思春期の少年の心には健康に悪かった。



「えっと、相手の視線になる感じ!相手の視線から色々見れたり、

結構最近のだったり昔のだったり!」


「つまり、2時間前とか、1年前とか」


「う、うん…」



ルイラはあまりに続く、質問攻めに少し身構える。

何かしてしまったのだろうか?



「………」



ルイラが答えた瞬間、


彼女はプルプルと体を震わし、段々と顔を赤くする。


「つまりはッ‼︎、貴方!私の裸姿とかも見たのねッ⁉︎」


流石のルイラもこれには固まる。


「ちち、違うよ⁉︎、俺が見たのはあくまでも最初‼︎

見たとしても

俺が見たのは君の生まれたまんまの時‼︎」


「おいバカルイラ、誤解されんだろ⁇」



「へんたーーーーいッ‼︎‼︎」





バチーーンッ‼︎‼︎‼︎









「ごめんなさい…、最後まで話を聞かずに…」



「いいや、いいよいいよ」


そう言う彼の顔には、大きくビンタされた頬が大きく膨れ上がっていた。


その様子を見てオルモはニヤニヤする


「よっ、女にビンタされる悪い人♩」


(コンニャロー‼︎)


「本当にごめんなさい、記憶見れるって聞いて…ほら、知られたくないことが色々あったから…」


ー女の子の知られたくないこととはなんだ⁇


ルイラは思わず聞き耳を立ててしまう。







「…あっ、そういえば貴方たち、ここで一体何をしていたの?」


少女はルイラ達の顔をじっと見ながら聞くも、


ルイラ達にとっては流石に気まずかった。


かのグラノラディウスから頼まれたことだといえ、

城に無断で侵入しようとしていただなんて

とてもいえなかったのだ。





「こう言ってはあれだけど、もしも私にできることならばなんでもいえばいいわ‼︎

皇女なんだもの‼︎」


とうとう認めてしまった…。



「いやでも…」

ルイラが気まずそうに目を逸らすとオルモは後ろから肩をポンと叩き小声で「ちょっと探るぞ」と

まだルイラがしっかり理解する前にオルモは前に出る。



オルモはルイラの耳に小声で何かを言い合わせると

ルイラとオルモは弓に矢、剣を地面に置き、


少女の前に膝をつき手を合わせて何かに祈るような姿勢をする。


そしてルイラが先に緊張しながら口を開ける。


「えっと…皇女様、ご無礼承知ではございますか

幾つか質問を…」

「や、やめてよ‼︎私は特別扱いをして欲しくないから城から抜けだ(こう)しているの!」


少女はルイラが言い切る前に慌てて手を振りながら、二人を止める。


「それと皇女様もバレちゃうでしょ!

リリアーノだから、リリィって呼んで‼︎

お兄様もそう呼ぶわ‼︎」


「り、リリィ⁉︎」


少女、改めてリリアーノがそう言うとオルモが歪んだ顔をしながら言い、冷や汗をどっと出す。


「天下の皇位継承者にリリィ…

しかも皇帝が使っている愛称で呼べと…⁉︎」


流石にあまりの身分差のある皇女を、


愛称を使い呼ぶのには抵抗があり、


しかし当の本人がリリィと呼べと言っているため


言った方がいいのだろうかと板挟みで頭をぐるぐるさせているオルモに対し


「えー…じゃあリリィ!」


ルイラがあまりにケロッと言うため、オルモの息が本気で止まりかける。



しかし、そんな彼の考えとは裏腹に、リリアーノは少し嬉しそうだ。



「そう!それでいいのよ!」


何故かその時の彼女のドヤ顔は、

少しルイラは可愛いと思ってしまった。


「それで?貴方たちは何を聞きたいの」


ルイラはハッと本来の目的を思い出す。


このままでは、自身と仲間の命が危ないのだ。



「…その、皇帝陛下について」





それを聞くと、リリアーノは笑みを失う。





「…お兄様について、何が聞きたいの?」



ルイラはゴクリと唾を飲み、聞く。


「…皇帝、ゼーゼレン帝について知りたいんだ。


どんな人…そして、君にとってどんな人」




先ほどの反応から見て、帰ってくる答えは予想できている。





ーだが



「…‼︎、大好きよ‼︎私お兄様がだーいすきッ‼︎」



意外にも、彼女はその質問をした瞬間に、急に満面の笑みに戻り、手を広げて、自身は国がこれぐらいならば、皇帝のことはこのぐらい大好きだと言う。


「だって‼︎お兄様は世界一優しいんだもの‼︎」


ーえっ?優しい…?


聞いたことのある話とは違う。



ゼーゼレン帝は強欲で、怠惰の王である。



そんな者が?優しい?




リリアーノは後ろで想像と全く違いすぎて唖然とする二人を差し置いて、


一人道の端の部分を両腕を伸ばしバランスをとりながら渡る。



「しかもお兄様は私だけでなく、

みんなに優しいのよ!」


そう言い、まるで自分の武勇伝でも語るかのようにドヤ顔をするのだ。


「一人一人、自分の担当の侍女だけでも何百人もいるのに名前を覚えて、誕生日に小さなブローチとか送ってね!お祝いしてくれるの‼︎」


「雑用の子は、流石に名前までは覚えれないけどねお礼をしっかりして

暇な時は手伝ってあげたりもするんだから!」



「しかもね!私の誕生日にはでっかい舞踏会開いてお祝いしてくれるのよ‼︎

普段は倹約家なのに‼︎」


彼女が彼の武勇伝を語るたびに段々とゼーゼレンという皇帝がわからなくなる。



しかし、突然そこまで嬉しそうに語っていた彼女が腕を下ろし、突如顔を俯き、明らかに落ち込む。


「…でもね、最近おかしいの

狂ったように発狂して、…あのグラノラディウスにも手をあげる様になっちゃって」


そう言い、肘まであるワンピースの裾を上げる。


「ッ⁉︎」


オルモは目を見開き

ルイラは思わず

「その傷は…?」

と聞いてしまう。



そこには大きな男であろう巨大な手形がついていた。



「…エレーン……侍女長の言いつけを破って、

その頃から相手してくれなかったお兄様の寝室に

こっそり入ったの」


彼女は語る。どうやらそれをしたのは今朝の話らしい。いつからかどんどん兄はやつれていき、


最初は起きる時間が遅くなるぐらいだったのが、

どんどん長くなり、


終いには部屋から出なくなり、気になったのらしい



「…その時に、お兄様が、


いえ、果たして『お兄様』だったかしら…?


『お前もどうせ俺が嫌いなんだろ?』って…」









その時に、訳が分からず固まっていると


ゼーゼレンが切羽詰まった顔をして腕を強く握ってきたのだ。




『そうだよな?、だってお前の母は‼︎

俺を憎んでた!気持ち悪がってたッ‼︎


…俺は信頼していたのに‼︎』


その時の兄は、とても兄ではなかった様であった。



『い、痛いわお兄様ッ‼︎お願いッ‼︎やめて…‼︎』


その瞬間に、ハッとしたのか、手を離したのだと






「……でも、怖くなって、離してくれたのに、

思わず部屋の隅に逃げちゃったの…




あの時のお兄様は、すごく悲しそうにしてね



だからだわ」




そう言うと、彼女は悔しそうに手を握りしめる。


「…お兄様、その後、棚から、

…ナイフのようなものを取り出して」


そこまでいうと、リリアーノは震えながらいう



「…あの人、己の首を切ろうとしたの」



ルイラ達は固まる。


本来ならば、父の仇も取り、人生これからの皇帝が


一体何があったら、そうなってしまうのだろう。




「…私は一生懸命止めて、大声で助けを呼んだから、

すぐにグラノラディウスが来てくれたの


でも、そのグラノラディウスを一番信用しているはずなのに



彼を思い切り殴っていったの…」





『…出ていけぇ‼︎お前なんか、大っ嫌いだぁッ‼︎‼︎』








そこまでいうと、リリアーノは肩を振るわせ、ルイラ達に後ろを向かせているが、手で思い切り顔を拭い、


地面にポタポタと水滴を垂らしている姿に、


ルイラ達は、彼女がどんな顔をしているのか察する。



「…どうしてこんなことになっちゃったのか分からないのッ‼︎」


震えた声が響く。


「優しかったお兄様は変わっちゃったし…‼︎


エレーンも、最近私の相手もする暇もなくなってしまったし…‼︎


公爵家も何も教えてくれない‼︎」



ー公爵家?





   《絶対に、そいつが来る前に捕まるか

       成功させろ》






オルモは思い出す。



アンドレート=ディア=ハイドンデア




セブナールが建国されてから続く公爵家の一つの


《獅子の一族》とも言われる公爵家の当主。




本来は次男の身分で、当主候補ではなかったが、


ウェシリアノリス戦にて、


当主の父と兄が亡くなったから成り上がったが、


それも全て、彼の計画ではないかと言われるほど




黒い噂がある公爵である。








「皇女様…えっと、リリィ…様」


オルモが恐る恐る聞く。


「その…、公爵家の人間で、アンドレートという人物は」



「ー?、アンドレートね、彼もすごく優しいから好きよ、エレーンと同じくらい好き」



(まあ、そりゃ皇女だからな…)


オルモはこんな質問しても無駄かと思った時


ふと、ピンとくる



このまま、彼女が満足いくまで場内を散策させる




きっと彼女の様子を見ると、


相手を尊重する、ゼーゼレンに強く尊敬の念を抱いたことであろう。


きっと、彼女は自由に散策をさせてくれた自分たちに恩義を感じるであろう。



(その時に俺らの目的を話して

城にバレないように案内させてくれたら、


…万が一バレて公爵に捕まっても、

殺されることはないはずだ。)



彼女のことだ。泣いて処刑をやめるように懇願するはずだから。



「…リリィ様、よろしければー」



オルモが早速作戦を実行しようとした時



「ーねえ、貴方達、少しいい?」


彼女は突如そう言う。


「ー?」


ルイラ達が固まると、リリアーノは思い切り息を吸い、落ち着かせると言う。



「ー私はこの国の皇太女!


責任は私が取るから…



…お兄様を、救ってくれない?」



その頼みを聞いた瞬間、ルイラとオルモは思う



ー無理だ。


無理に決まっている。


彼がどんな状態なのか、先ほどの話を聞いただけで尋常でないとわかる。

現皇帝のその力は素手でクマを殺すことができると言われる豪傑。


万が一の拍子で暴れられたら、

殺されるかもしれない。




しかしー。



その時、一人のバカは何を思ったのだろうか





「…オルモ」

ルイラはオルモに声をかけ、オルモは振り返る。


「な、なんだルイラ」



ルイラは気まずそうに俯いた瞬間、


いやでもわかってしまったオルモは、


眉間に皺を寄せて、ルイラの方がちぎれるが如く引っ張り、リリアーノに「少し失礼いたします」と丁寧にお辞儀すると、 

裏に連れて行き、壁にルイラを押し付ける。



「おいバカボス、お前まさか受けるつもりねえよな?お前は何回殺すつもりだ?」


オルモはパーティメンバーの中で一番遅く入ったが、

それでも今まで見たことないほどに怒りに包まれた顔で迫られ、ルイラは少し怯える。


「俺はまだだけど、なぁ、アリナとメゼリーにはどう言うんだ?」


はっきりとルイラの目を睨みながら言う。


「テメェのおせっかいと、テメェの自分勝手な行動で、アリナとメゼリーはエルフの呪いで死にかけて

るし、


城の潜入も、お前が勝手に頷くから

俺らは最悪、明日には死ぬかもしれない。」


ルイラはそこまで聞くと俯く。


しかしそれも許さないが如く、オルモはルイラの顎を掴み無理やりあげさせる。


「セブナールの事情なんて知らねぇ‼︎、

俺はお前らには、親父の件と、あん時お前が俺を助けてくれた恩もあって付いてきたが…」


気がつけば、オルモの手は震えており、それをなんとかグッと堪えて先ほどの険しい顔から、どこか悲しそうな顔をして言う。



「…変に足突っ込んで、死ぬためじゃねえんだぞ?」


そこまで語り、ルイラもまた表情をキュッと引き締めてオルモの手を握る。



「…わかってる、俺らじゃ救えないことなんて

わかってる…けど!


…やれることだけでもやりたい。



責任は全部俺が取るから…!」


しかし、

やはりオルモは納得しなかったのか。

更に襟を掴む手の力を強める。



ーしかし、そんな時でも


ルイラはその瞬間、力無く笑って見せる。




「『女の子の笑顔は、守ってやれ』…

これ、俺を育てた人らの、教えなんだ…」



この時、流石のルイラも、


ーもっと他の言葉もあっただろうと、

殴られる覚悟を持ったが、



意外にもオルモは手を緩め、離してくれた。




「…ハァ、


まず最初に、アリナと、メゼリーに離してからにするぞ」




オルモは内心、自身がこの男に甘いことを自覚しながらもそう言うと、ルイラは後ろから飛び乗り抱きしめる。



「あっりがとー‼︎オルモーッ‼︎」


「ギャーッ‼︎ひっつくなクソボスッ‼︎」




こうして、オルモとルイラは少し作戦を考ると

早速、リリアーノに自分たちの考えを言いに行く。



最初にもう左の仲間達から許可をとらせてほしい事


自分ルイラと、もう二人の仲間達は、


エルフの怒りを買い、


期限までにきっと誘拐された相手であろう


セブナール先代皇后


また、エルフの姫の本名を当てて


それを女王に言わなければならないこと。



そのため、まずはそれが出来てから、


皇帝に関して出来ることをしてみる、と







「…本当に、いいのー?」

その条件を聞いた彼女は、静かに涙を一筋流して



ルイラとオルモは意外な反応に何とかして励まそうとするが、その前に





「…ありがとう‼︎」


と、二人同時に抱きしめられそうになる



ーが、美少女からのハグの前に、不敬罪や身分差が頭に思い浮かび、オルモが避けてしまった事で



事実上、ルイラがリリアーノに抱きしめられる構図になってしまった。





(!!!⁇⁉︎!?@(゜∀゜)(//∇//))


頭の中が混乱と歓喜で止まらず顔を赤らめる。




ー後でスキルで見返そうと決意する。














「ールイラ?」





とある灯の上から城の様子を確認する青髪の少女、


メゼリーが自慢の目の良さでルイラ達を確認する。



明らかに女の子に抱きしめられ有頂天になっているルイラが、目に止まる。



その時、彼女の心の中で思った。





「…嫌(・)だ(・)な(・)ぁ(・)…。」




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