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幽囚葬列  作者: 或鏡α
第一章 軌道と言う名の鎖

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プロローグ

 ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン。

「あ、ああ…っ」

喉の奥から出てきたのは乾いた声にならない悲鳴だった。

今、自分が触れているのは冷たい鉄の床ではない。

さっきまで確かに同じ乗客「だった」人達の液体だ。

温かい。

生温かく、ひどく鉄の臭いがする。

肉の輪郭を失い、赤黒いスープに男は塗れている。

助けを呼ぼうにも声は出せないしスマホを使おうにも、指が滑って上手く操作ができない。

クソっ。

画面にはベッタリと赤黒い手形がつくだけで現状は

全く変わらない。

誰か、誰でもいい。

切実な願いだった。

 その時、閉鎖された車両の奥。

暗闇の中から滅紫色の、深いフード。

そこから覗く異様に長い髪。

それらを兼ね備えた少女が暗闇の中から現れた。

男は必死に手をのばす。

自分を助けてほしい、ただそれだけだった。

しかし、少女は男の方を見向きもせず、男の近くに落ちていた「何か」を拾い奥の車両に立ち去った。

まるで男の存在など最初からいなかったかのように。

その瞬間、赤黒い液体から無数に手がのび

男の体を絡め取った。

男の視界は赤く染まった。

愛する者の温かみも、心臓の鼓動も、全て、全て忘れてしまい呑み込まれていった。

――これは、生者が絶望し、葬られていく話。

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