薬と新しい人
ガドルの家に来て数日が経った。この数日で、ガドルの事が少し分かってきた。
ガドルは魔法使いで、自給自足で暮らしている。麓の村には滅多に行かないらしい。
「どうして村に行かないの?」
「僕はこんな顔だからね。村のみんなを怖がらせちゃうんだ」
「かっこいいと思うんだけど」
「そう言ってくれるのはラールだけだよ」
優しく頭を撫でてくれるガドル。今は薬草を調合して、薬を作っているところ。ガドルは慣れた手つきで作業をしている。
そういえば魔法使いとか言ってたけど、この世界には人間以外の種族が存在しているのか。捨てられる前はそんな人と会ったことないから知らなかったな。
「ねえ、ガドルってどんな魔法使えるの?」
「色々使えるよ。水を操ったり、風を操ったり」
話をしながらも、ガドルは作業する手を止めない。背伸びをしてその様子を見ていると、ガドルは私を抱き上げて膝に乗せてくれた。
「でも今は魔法を使うより、こうして薬を作ることの方が多いかな」
「作った薬はどうするの?」
「買い取ってくれる人がいるから、その人に売るんだよ。多分、そろそろ来る頃じゃないかな」
ガドルがそう言った時、家の扉が叩かれた。ガドルは私を抱えて玄関に向かい、扉を開けた。
「よーっすガドル。薬を買取に……」
扉の向こうに立っていたのは白衣を着た青い瞳の金髪の男。その男は私を見るなり目を見開いた。
「ガドル……まさか誘拐──」
「違うからね」
この人が薬を買い取ってくれてる人か……。なんか軽そうな人だな。でも、ガドルとは仲がいいみたいだし、悪い人ではなさそう。
「その子どうしたの?」
「森で保護したんだ。ただの迷子じゃないみたいだったから」
「ほ〜。嬢ちゃん、名前は?」
「ラール。あなたは?」
「俺はトラヴァー。村で医者をやってんだ」
お医者さんなんだ。それなら薬を買いに来るのも納得だ。
「そうだ。頼んでた薬は出来てるか?」
「出来てるよ。入って」
三人でさっきまでガドルが作業していた部屋に入る。ガドルは私を椅子に座らせると、棚からいくつかの袋を取り出した。
「これが頼まれてた薬」
「サンキュー。これお代」
「まいど〜」
このやり取りを聞く限り、この二人は長い付き合いなのかな。商売の話をしてるようには見えない。
「お前の薬評判いいぞ」
「え、僕が作ってること皆に言ってるの?」
「いや、とある魔法使いが作ってるとしか言ってない」
ガドル、自分が作ってるって知られたくないのかな?怖がらせちゃうって言ってたけど、それ以外にも理由ありそう。
「そうだトラヴァー、今度ラールのこと診てくれないかな?結構痩せてるから心配で」
「あぁ、いいよ。特別に友達割りにしてやる」
「普通に払うから」
あれ、なんか知らない間に受診が決まった?この世界の病院ってどんななんだ?え、ちょっと怖いんだが……。




