4-6 南戸とジャベリンの和解
手掛かりを頼りに隠れ家を目指す道中、地中海エリアでは尾張連合会と闇バイトアプリで集められた連中が交戦をしていた。
「ハチの巣にしたらァ!」
「うわああ!?」
闇バイトアプリで集められた暴徒は数で勝るが、尾張連合会はサブマシンガンで軽く一掃してしまう。
「クソッタレがッ! 目障りだがねッ!」
「ひッ! がふッ!?」
率先して戦っている美馬坂も愛用の高級ゴルフクラブで敵の足を払って転倒させ、フルスイングで頭部をかち割り絶命させる。
流石は日本最大級の指定暴力団だ。有象無象の雑魚なんてまるで相手にならない。これが暴力のプロなのか。
最早戦国時代の合戦の様だがお互いに潰し合っているのなら好都合だ。俺達は混乱に乗じて先へと進んだ。
「お母さんッ!」
「南戸さん!」
「鈴ッ! 土師君ッ!」
すると戦場の中心でうずくまる南戸を発見、ジャベリンはすぐに彼女を助ける為に駆け出し母親の手を引いて走り出した。
「こっちだよッ!」
「ああッ!」
「オイコラ、なにしょんじゃクソガキャアアッ!」
美馬坂はブチ切れていたが無視の一択だ。俺達はジャベリンに導かれ隠れ家と思しき施設に飛び込んだ。
「急いで閉めるんだ!」
「わかってる!」
しかしまだ安心出来ない、このままではすぐに連中もやって来る。
真矢に指示された俺は急いで入り口を塞ぐものを探した。
「って!?」
だがその必要はなかった。何故なら古い建物には似つかわしくないシャッターが下りて来て入り口を封鎖してしまったからだ。
「待てッ!」
尾張連合会の構成員は慌てて中に入ろうとしたが間に合わず、閉め切られたシャッターをガンガンと蹴り飛ばした。
「チッ! 道具を持ってこいッ! バールでも何でもいいッ!」
けれど相当頑丈なのかびくともせず彼等は侵入を諦めてしまう。一時的ではあるがこれで時間は稼げたはずだ。
「はあ、はあ……鈴、どうして……!?」
「あたしにもわかんねぇよ……なんでお前を助けたのかわかるわけねぇだろぉッ!」
母親を助け窮地を脱したジャベリンは泣きながら互いに熱い抱擁を交わした。
それは実に心温まる光景だったが、俺はそんな事よりも閉め切られたシャッターのほうが気になってしまった。
「閉まってるな」
「これはもしかして……ワタシのマスターが」
一連の動きはまるで俺達を助けているかのようだった。
コレットは黒幕の真意を探ろうとしたがすぐにエージェントの顔つきに戻る。
「いえ、今は先を急ぎマショウ。時間の猶予はありマセン」
「そうだな。つーわけだ、悪いが感動の再会を喜ぶのは後だ」
少しばかり空気が読めない事は重々承知の上だったが俺はジャベリンと南戸にそう告げる。
シャッターはそこまで耐久性が高い様には思えないので直に破壊されてしまうだろう。
「立てるかい?」
「う、うん!」
涙を拭ったジャベリンは未来を掴み取るために土師の手を掴んだ。
……さあ、いよいよだ。この先に乾ラルーエットがいるはずだ。




