⑨愛の力だとか愛の奇跡だとか
割烹見てた方、すみません!
投稿ミスってしまい、遅くなりました!!
結局ふたりが戻ってきたのは、丸一日後。
制限時間による解除とほぼ同時──ただし前回とは違い、強制的にその場に戻されるのは制限時間解除の際のみ。
つまり、ちゃんとミッションはクリアしている。
その証拠に、ふたりは解錠された扉から、歩いて戻ってきたのだ。
手を繋ぎながら。
ふたりはダンジョンの階段だけでなく、大人の階段をも上っていた。(やんわり表現)
おそらく出てきたのがこの時間になったのは、アナウンスによる制限時間終了の告知があったからである。
ミッションクリア後になんらかの話し合いがあったのか、はたまたそのまま盛り上がっちゃっただけなのかはわからねど……あまりの長さにやきもきしていた騎士達は、ダンジョンに響く足音を聞いて駆け付け手を繋いで戻ってくるふたりの姿を確認して安堵し『踏み込まなくて本当に良かった』と脱力もした。
しかしその直後、
「!」
「あっ?!」
「ええ~!?!?」
朝の光に晒された姿を見て、凄まじく驚くこととなったのだ。
「──ちゃんと睡眠は取りましたか?」
ユリウスはにこやかにふたりに尋ねた。
心配もないではないが、あからさまな当て擦りと嫌味である。自分達というより、一日中警備していた騎士達への。
ちなみに今彼等は、寝ている。
「ああ、感謝する!」
「……」
ツヤッツヤの肌で満たされた表情をしたカールハインツは元気よくそう答え、マジョレーヌの方は顔を赤らめて俯く。
24時間あっただけに、事後はちゃんと寝たらしい。
今の彼等には嫌味は通じない。申し訳ない気持ちは多少あるだろうが、大したダメージに非ず。
そしてユリウスは、その気持ちもまあまあわかるだけに、それ以上は咎めない。
王宮へ戻る際のマジョレーヌの身の危険性に行き着き『既成事実を』となることも予測して、部屋の準備も行っていた。それはミッションクリア後でもアナウンス告知が続いたように、魔道具機能は継続も含む。
マジョレーヌが不本意ならば、強制転移で戻されていたのだ。それだけに、双方合意であるのは間違いない。
それよりも。
重要な変化が起きていた。
「しかし驚きました」
マジョレーヌの痣がなくなっていたのだ。
それはもう、綺麗さっぱり。
エディトにも見せたが、どうやら呪いは完全に浄化されている様子。
「ふふ、これが愛の力とか愛の奇跡とかいうヤツかもしれん……!」
「まあ、そうかもしれませんね」
「卿、私は今浮かれている自覚があるが、やはりそう思うか?!」
──ウザい。
なかなかのウザさである。
ユリウスは『共感できるだけに、気を付けよう』と反省したが、それはさておき。
「ぶっちゃけ『ウザッ』とは思ってますが、強ち間違いでもないのでは……とも」
「なんか前置きが随分だが、卿がなにか難しい表情をしているのはそのせいか?」
「いえ。 違います」
まあ幾許かはカールハインツがウザいせいだとしても、ユリウスが難しい顔をしているのは勿論そのせいじゃない。
「……込み入ったことをお尋ねしても宜しいでしょうか。 甚だ不躾で、不快になるような質問になりますが」
「なにかあるのだな? 構わない」
「マルケル嬢は大丈夫ですか?」
「も、勿論です!」
むしろ、この問はマジョレーヌの方が重要になるのだ。
「マルケル嬢の痣の変化はいつ頃起こったのでしょう」
「それは……気が付いたら、というか」
「マルケル嬢は事後、身体になにか感じませんでしたか?」
「えっ……? その」
なるべく淡々と業務的に聞いたつもりだが、マジョレーヌは顔を赤くして狼狽える。
「ンンッ……いやその」
できれば彼女には先入観を与えずに詳しく話して欲しかったが、若くて可愛い子に弱い(※保護者的な意味で)ユリウスは『こちらが羞恥に耐えられそうにない』と気まずく咳払いした後、質問を少し変える。
「マルケル嬢は、エディトに治癒や加護を受けたことは?」
「あっあります…………あ、あぁっ?!」
幸い彼女の反応は良い。
(なら、予想通りだ)
「おそらくですが、魔力譲渡に近いようなかたちでの浄化が行われたものと。 原理はわかりませんが」
エディトと結ばれた朝、自分が身体に感じたのと同じ現象が起こったのでは──ユリウスはそれを疑っていた。




