第19話:Cランク試験②
大体の方針が決まった。その頃には他の受験者達が集まっており、いつでも出発できる状況だ。
ダマカルさんが皆を集める。
「皆、集まってくれ!」
皆、集まっていくので俺も起き上がり足早に向かう。
皆が集まったところでダマカルさんが口を開く。
「それじゃあ、作戦について簡単に説明する。まず斥候として2人に盗賊の見張りの人数や配置などを調べて貰う」
斥候2人が任せろと言いたげに頷く。
「次に弓使い2人で見張りを倒して貰う。流石に2人以上、見張りがいた場合は剣使い又は槍使いの中から数人先行して弓使いの2人と連携を取り見張りを倒して貰う」
ここまでは、いいなと言いたげな目を皆に向ける。
「そして、最後に見張りが片付いた後、魔法使い2人による全力の魔法を洞窟内に放ってほしい。その後、慌てて出てきた盗賊を皆で連携して倒していくという作戦だ」
作戦と呼べるのかすら疑わしい作戦を自信満々に言っている。他の受験者達の目を見るが1人以外はこれで勝てると思っているような目をしている。
仕方ない。ここで何か言っても屁理屈を並べられて終わるだけだ。それなら、孤立した方がいい。
そう考えた俺は口を開く。
「済まないが、俺は勝手に動かせてもらう」
「何故だい?」
優しく問い掛けているように見えて内心ではかなり苛立ってそうだ。
相手が屁理屈を並べる前にこちらも屁理屈を並べるまで。
「俺は集団行動が苦手だし、これまで連携をとったことが無い。だから、このままでは君達の邪魔をしかねない。だから、俺を単独行動させて貰えないか」
「単独行動は認められない。流石に1人では危険すぎる」
そこへ待ってましたとばかりに声を上げる者がいた。
「なら、俺がそいつと一緒に行動するならどうだ?」
そう口にしたのはマッシュさんだ。
しばし考え込むダマカルさん。俺はマッシュさんにナイスアシストと言わんばかりの目を向ける。
「わかった。それで構わない。君たちは2人で行動してくれ。ただし、こちらの作戦の邪魔だけはしないでくれ」
「あぁ、分かっている。そもそも、邪魔をしないようにする為にこうなったんだからな」
「それじゃあ、出発する!」
受験者達がそれぞれ馬車に乗っていく。俺達が乗っている馬車は他の馬車よりも小さく人2人の荷物と人2人を乗っけると後、1人か2人くらいしか乗らない。
今回用意された馬車にはどうやらこの馬車は何人でこの馬車は何人と言ったふうになっていたようだ。
マッシュさんはそれを知っていてこの馬車にしたのだと思う。
「とうとうやる気になったのか?」
「まぁ、そんなところだ。早くランク上げたいからな。それより、いいのか? 試験管なんだろ?」
「あぁ、それについては問題ないと思う」
「それならいいんだが」
「おまえがきにするようなことじゃねぇーよ。それよりも俺はお前の力がどれほどか見定めたくなった」
「そうか」
ユラユラ揺れる馬車が進み盗賊のアジトから近い街道を少しそれたところで馬車が止まり、予定通り2人が斥候として盗賊のアジトに向かっていく。
しばらくして斥候が戻ってきた。
「どうやら見張りは2人だけのようだ。配置は入口の左右にいる。2人共酒を飲んでいるようだ」
「わかった。それじゃあ、予定通り見張りの始末は任せる。皆、作戦通りにすれば上手くいく! 皆でCランクになろう!」
「「「うおおぉ!!」」」
ある程度、声を落としているようだったが気付かれていないと言う保証はない。それなにのこんな大声を出していいのか? ふとマッシュさんを見るが呆れた目を向けていた。
何故か5つのグループに別れて盗賊のアジトである洞窟に向かう事になった。
1~2グループは前衛だけのグループ。3グループは弓使いと護衛として1人。4のグループは魔法使いと護衛として1人。そして、5グループは俺とマッシュさんの遊撃部隊的なのになった。
森を進みつつマッシュさんと話をしていた。
「知ってたか。ダマカルって実は元貴族なんだぞ?」
「貴族が何故、冒険者を?」
「それはよくある話で三男だから、家督も告げない。だから一攫千金を夢みて冒険者になったって所だろ」
「あぁ、なるほど」
取り敢えず分かった振りをしておく。
「そう言えば、叶夜。弓使い2人が見張りを始末出来ると思うか?」
「難しいな。人を殺す覚悟が出来ているのであれば大丈夫とは思うが、いざ前にした時に弓が外れるなんて事はあるのと思う」
「そうだな。その点、叶夜は大丈夫そうだな」
大丈夫? 俺が? 大丈夫な訳ないだろ。こちとら日本産まれの日本育ち。人を殺す事とは無縁の場所でこれまで生きて来た。確かにこの身体になって精神の方も少し変わった。いや、変わってきている気がするが初めて人を殺す。それな俺が平気なわけが無い。
「いや、俺も人を殺すのは初めてだ。大丈夫とは言えない」
「そうだったのか、俺はてっきり慣れてると思ってたぞ」
「人殺しに慣れてたら、それは殺人鬼の何者でもないだろ」
「おっ、どうやら着いたようだぞ」
そう言われ視線を前に向ける木々で隠れて遠くまでは見えないが50メートル程先から笑い声や話し声が聞こえてくる。たぶん、この声は盗賊のものだろう。
「サポートは任せろ」
そうマッシュさんがポンと肩に手を当ててそう言葉を投げかけてくる。
俺はひとつ頷く事によって返答を返す。
そして、とうとう作戦が始まった。弓使い2人が2人の盗賊に向かって矢を放つ。
放物線を描くように飛んでいった矢の1つは盗賊の肩に命中するが片方の矢は肩を少しかする程度に終わった。脳天を狙う予定だったのだろうが人を殺すという恐怖から少しズレてしまったのだろう。
「て、敵襲だ!!」
無事な方の盗賊が大声で仲間の盗賊に敵襲が来た事を伝える。
ガチャガチャと洞窟ないからから金属が擦れ合うような音が聞こえてくる。
魔法使い2人が詠唱を唱え洞窟内に向かって魔法を放つ。ただ、その魔法の威力は思いのほか威力が高くなかった。その為、致命傷とまではいかないだろう。
洞窟からまず姿を表したのは大きめの盾を持つ男が2人現れる。その後ろから続々と盗賊が姿を現す。
「ダメだなこりゃあ、奇襲にすらなってねぇ」
そう小声で呟くマッシュさんを横目に俺は地面を蹴り前に走り出す。
相手は人ではなく人の形をした何かだと思い込め。それが出来ないのであれば、無だ。
腰に下げた剣を抜く。
叶夜のハイライトが消える。まるで、オーギュストに攻撃を仕掛けた時のように。
何時もやっているようにすればいい。何せ相手は人ではないのだから。
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これからもこの作品をよろしくお願いします。




