↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】不遇職の盾職人が神と崇められるまで~魔盾(まじゅん)は異世界のゲームチェンジャーとなる~  作者: テツみン
第二章 盾職人は異世界の起業家となる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/60

第53話 情報流出となる

「こんちは。ヒロト君はいるかな?」


 武具屋のオヤジの声だった。


「こんにちは。あれ? たしか昨日、商品はお渡ししたはずですよね?」


 ボクがそう確認すると、「いや、今日は別の件で来たんだ」とオヤジが言う。


 別の件?


 工房の机に、オヤジが包みを置くと、それを開いた。


「これって――」

「ああ、魔盾(まじゅん)だ」


 しかし、魔石が外れてしまって、魔盾としての性能が出せない。

 一見、ウチの工房で作っている魔盾なのだが、よく見ると――


「こりゃあ、ウチの品物じゃねえな――」覗きにきたサムさんがそう言う。

「うん、そうだね」


 かなり似ている。金具の形、木枠の形状、取っ手の大きさまでソックリだ。

 ただ、細かいところに違いがあった。


「ほら、取っ手を止めているクギの位置。ウチなら絶対、ここに打たない」

「木材の品質も悪いですね。カンナがいいかげんだから、枝の部分から割れている」


 ボムさんやジャックさんも、「こりゃ、ひでえなあ……」と文句を言う。


「しかし、魔石にはちゃんと『魔物の敵意を引き付ける魔法』が封じ込められていて、魔盾としての性能はあった」


 つまり――


「ウチの模造品――ということか――」


 ウチの工房で作った製品には、木材のところに焼き印が押してあるのだが、それさえ真似(まね)してあった。しかし、『A&H』のフォントが微妙にいびつだ。


「これをいったいどこから手に入れたのですか?」

 ボクが尋ねる――


「今朝、冒険者だという、見かけない男が現れてな。コレを修理してくれ――そう言ってきたんだ」


 オヤジは、これがニセモノだとすぐに気づいた。それで、その冒険者にどこで手にいればものか聞いたのだけど、その人物は知人から譲り受けた――そう言っていたらしい。


「つまり、どこで作られたかわからない――ということかぁ」


 うーん……と、みんな唸ってしまう。


「間違いなく言えることは、これは王都で作られたモノではないということだな」


 ボムさんの考えに、アリシアは「どうしてですか?」と尋ねる。


「カンタンだ。王都で魔盾――魔石を盾に取り付けて、魔石に封じ込めた魔法を発動させる盾を作れるのは、お頭(かしら)――ヒロトさんしかいないんだ」


 そういえば――と、アリシアも納得する。


 魔盾を作るには、魔石に『魔物の敵意を引き付ける魔法』を封じ込めることのできる魔導士と、魔石を盾に取り付ける盾職人、二人の召喚人(しょうかんびと)が必須だった。

 魔導士はともかく、召喚人の盾職人は限られている。


「王国にはヒロト君以外、召喚人の盾職人はいないと聞いている。他国で生産職の召喚人がいる国と言えば――」

「帝国――ということですか?」


 ボクがそう確認すると、武具屋のオヤジは「おそらくそうだろう」とうなずく。


 帝国には王国と同じか、それ以上の召喚人がいると聞く。そうとなれば、召喚人の盾職人がいても不思議ではない。


「それだけじゃない――」


 ボクは、工房の棚を見に行った。そして、ある物を取り出す。


「ふう、よかった。これはある」


 ボクが安堵(あんど)していると――


「ヒロト君、それはなんだね?」と武具屋のオヤジは尋ねてきた。


「これは、魔盾の図面です」

「魔盾の図面?」


 オヤジが不思議そうな顔をするので、図面の説明をする。


「そうだ! みんな、これを持っている?」


 図面の原本の他に、書き写した図面が全部で五枚あるはず。魔盾作成のため、サムさん、ボブさん、ジャックさん、タバサに渡した四枚。そして、発注用にメルダさんに預けた一枚だ。


「もちろん、持っているぜ」


 サムさん、ボブさん、ジャックさん、メルダさんの図面はそれぞれすぐに出てきた。

 しかし――


「あれぇ? どこやったっけ?」


 タバサが自分の作業場を探し回るのだが、出てこない。


「――と、いうことは、タバサの図面が盗まれた?」

「どういうこと?」


 ボクはこう説明する。

 いくら粗悪な模造品だとしても、ここまで似せるのは難しい。そうなると、図面の情報が流出したと考えたのだ――


「つまり、タバサの持っていた図面が誰かに盗まれた。それを調べれば――」


 魔盾の情報が流出した経路がわかるということだ。

 しかし――


「お姉ちゃんの図面なら捨てたよ」とタローが言う。


 えっ? 捨てた⁉


「うん。お姉ちゃん、図面の上にケガキ用の墨をこぼしちゃったんだ。だから、図面が読めなくなって――捨てろっていうから、ボクがビリビリに破って捨てたんだ」


 ――えっ?


「そういえば、そうだった。ハ、ハ、ハ!」とタバサ。


 ハ、ハ、ハじゃねえよ。

 だけど、どうやら、その線で情報が流失したわけではないということだな――


 そうなると、いったい、どこから?


 その時、工房の外がさわがしくなる。

 何事かと思っていると、工房の入口が開いた。


「メルダという娘はいるか?」


 いきなり近衛兵が入ってくると、そんなことを言ってくるので、メルダさんは、「私ですが――」と応える。


「オマエに、ある疑いがかけられている。ついてこい」


「――えっ?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。