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第2話 捨てられたマフラー、修復してみた その1

無事にくも糸を調達し、はやくマフラーを修繕したい気持ちをおさえながら岐路つく。


築45年 廃墟と言われても相違ないとおもえるほどのアパート 相輪館

4畳半1室 おれはその1室で生活している


「おかえり~平ちゃん」

玄関先ではもっさんが自転車に空気をいれていた

「あれ?今朝も空気いれてなかった?」

「なんか乗ってたらべこべこ言い始めて。みたら抜けてた」

「・・・・穴あいてんじゃないの?」

もっさんと呼ばれた白髪頭で天然パーマな髪の毛、瓶底眼鏡の人物は

そっとタイヤに耳を傾ける。

「ん~。特に抜けてるような音はしないな」

「・・・また抜けるようだったら虫ピンかゴムを交換したほうがいいとおもうよ」

「ん!了解」

もっさんもこのアパートの住人であり、俺の部屋のとなりのとなりに住んでいる。

正直なにを生業にしているのか全く知らない。でもいつもここにいるような気がしている。

他にも住人はいるのだが、他の人とも住むうえでの交流はあるが、だれかなにをしてどうしているかなんてまったくしらない。もっさんをふくむ他の住人もたぶんそう。

もっさんの横をとおりすぎ、さびさびで心配になるぐらいの階段を上った先にあるのが我が家だ。

「ただいま」

誰もいないが、いつものクセであいさつをする。

ドアを開けると暖められた空気が一気に押し寄せた。

建付けの悪い窓を開けて空気をいれかえつつ部屋着へと着かえる。

かんたんに食事を済ませ、気が付けは夜 8時近く。

ようやっと落ち着いて作業できる雰囲気になってきた。


早速、ビニール袋から、本日ダンジョンにて拾ったマフラーを改めて「鑑定」する

目の前には日中にみたものと寸分たがわない文章が表示されている

 「・・・・・やっぱり、ここでもちゃんと「鑑定」使えてるっぽいな・・・・」

そのまま壁を見ると

■木造建築

築年数 45年

修繕歴 なし

耐用年数 現状のままであれば数年

建築物状態 基礎 白アリ等被害大 不随物 雨風による浸食・サビ大

修繕には大規模な改修を必要 もしくは〇×■&##$7!”にて改善可能


なんか読めない文字がある。なんだこれ?

しかも耐用年数 数年って・・・・たしかに俺が普通に見ただけでも相輪館はやばいってわかるけど。

大家さんに言いずらいなぁ。。。。。


俺は考えることから逃げることにした。

とりあえずマフラーだ!

洗ってから・・・とも思ったが、修繕後に洗ったほうが修繕箇所が生地になじむだろうとあたりをつけてこのまま直しにはいることにした。

裁縫箱を取り出す。俺のばあちゃんが使っていた裁縫箱

針を取り出し、買ってきたくも糸を通す。

透明な糸がLED球の下できらきらと輝く。


まず修繕箇所を見よう。

ここは「鑑定」スキルをつかわずに、、、、『「裁縫」を鑑定に組み込みますか?』

いきなりなんだ?組み込むって?

もう、今日はなんどめのおどろきなんだよ。。。いいかげんにしてほしい。

せめてヘルプとかで、どういうことなのかの説明ぐらい表示できないのかな?

ふと、画面の左下に?マークが点滅している。


意識をむけると、別画面がでてきた

『スキル統合 現在所有しているスキルと新規スキルに共有事項がある場合 スキル統合を行うことができる。統合後、所有していたスキルが使えないといったことはない。』


・・・・・・

俺の唯一の趣味 裁縫ができなくなるわけではないらしい。・・・が!正直 怖い。

せっかく裁縫できるとわくわくしていた気持ちが一気に冷めた。

針を針刺しに戻し、箱を閉じるとごろりと横になって天井をみる。


今日は本当にいろいろなことがあった。

でも今日より前は変わらない毎日を過ごしていた。

食うにも住むにも困らないし、贅沢はできないけど趣味ができるだけの金もある。金を得る仕事もある。ずっと変わらない毎日だけど逆にそれでいいかと、それ以上を望まなくても。

もう一人の俺に問いかける。

たしかに、何にもかわらない。損することも得することも。おれはお前がチキンな性格知ってるから今がいいってこともよくわかるけど、裁縫できるってわくわくしていたように、今日起こったことに対してもっと前向きになってもいいんじゃね?目の前に差し出された何かをつかむのもつかまないのもお前の自由。つかまないで後からなにか思うよりもつかんで思ったほうが納得いかね?それが不幸な事柄をおこしてもお前だけが不幸になるだけなんだからさ。

ふとばあちゃんの言葉がよみがえる

「苦労は買ってでもしろ」


がばっと体を起こし、俺はスキル統合を行うに同意する気持ちを送った。

『スキル統合により「鑑定」に「裁縫」のスキルを統合しました。』









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