最終話 ゴミの価値
それからずいぶんと長い時が経ち。
俺は1日5分の活動時間で今も暮らしている。
当初はできなことが多すぎて落ち込むかとおもったけど、毎日5分。そんな余裕はない。
スキル「監視」はあれから進化し「見守る者」として今もダンジョンコアを監視している。
そのおかげかまた、リハビリのおかげか、残っている両腕が使えるようになったので、起きている間はタイピングで仮想キーボードをたたき、アウリや他次元の人とは文字での意思表示ができるようになった。
アウリからは「ゆりかごから墓場までですね」と言われたが「お前からは生まれてない。墓場だけだろ」といったらなんか嬉しそうだった。
こんな魂になって、姉ちゃんにどういえばいいのかと考えあぐねていたら、アウリが俺の真似をして、連絡をしてくれると言ってきた。正直にいうか本気で迷った。
「元気だから心配するな」
そんな嘘をアウリに言わせた。
金についても旦那さんに預けているから好きに使ってよいと言ったのだが、電話口で涙声だったらしく、やっぱり泣かせてしまった。
もっさんはダンジョンコア修繕後、かなり落ち込んでいたらしいが、俺の腕が使えるようになってから、掌の筆談で話した。俺は一緒にいたのがもっさんで本当に良かったと伝えた。本当にもっさんが居なかったら、できなかったことだったから。アウリ曰く、もっさんは男泣きしながらうなずいていたらしい。
先日、これからの事の話があった。
ミレイさんとアキラさんはずっと以前から新しい魂の誕生について研究をしていたらしい。それをアウリの本体の人が興味もち、協同開発という形ですすめていたところ魂からの魂生成ではなく、魂と軸とした生命体の誕生ならできるかもとなって、生まれたばかりの惑星系で実験をすることになったらしい。
そこで生命の種という形でクリスタルの住人達が協力するというのだ。もっさんも同意している。また、俺の魂の欠損は直すことはできないが、生命が誕生する為の種となった場合に新しく生まれた命で魂を補えるかもしれないという。ただ、可能性という話であり、魂が補完できるかどうかは約束できないとのこと。このまま死なない状態でクリスタルで過ごすこともできるが、住人の大半は今の生活にあきており、どうなってもいいから可能性にかけるという。もちろんそうじゃない人も居るのでその場合はいままでどおりだ。
「私はあの「まるい」で約束しましたから。
藤堂さんがどちらを選んでも、最後までお供します。」
……律儀なやつだな。
俺は少しだけ笑って、即答で実験に加わると返答した。
最近、俺が目覚めると、アウリは手元で何かを縫っていた。
アウリ自身も自己修復の時間がかかり俺と同様に動けないらしく、手慰みに始めたそうだ。
「そこは、、そうじゃなくて、こう輪っかにして針に引っ掛ける。」
「こうですか?」
「そうそう。そのまま進めて」
裁縫をしながら、アウリは今日のことを俺に伝える。
俺はモニター越しにその縫い目をみながら聞く。
時にはアウリが移動マジックボックスを押しながら半透明ベットのある空間を移動している。
「・・・・え?ゴミ拾い?」
「リハビリです」
そういいながら、道に落ちていたゴミくずを拾う
1日5分。でも長い年月をかけたら相当になる。
本当は修繕が終わったらすぐに元の世界へ戻ると思っていた。
でも今、俺の世界では数百年たっているとのこと。
姉ちゃんも、その家族も、きっともういない。
それでも俺は、あの日ちゃんと「行ってくる」と言えたことだけは後悔していない。
ダンジョンコアは過去も未来もかわらず他次元のゴミをこっちに送ってきている。
変わったのはそれをこっちの次元でエネルギー化したものをこっちの取り分をのぞいて返しているだけ。
それでもこの世界を成り立たせるためには必要なこと
そして他の次元もこっちに不要物を送らなくては世界が成り立たないこと
「アウリ・・・俺こんなんだけど・・いいのかな」
「私に裁縫を教えてくれる人は貴方しかいません。
落ちているゴミにも価値を付与できることを教えてくれたのも貴方です
価値がないと思われていたものほど、大切だったんですね。」
ちょっとだけ目がしらが熱くなったけど、悟られないように俺は目を閉じた
「・・・ありがとう」小さくつぶやく
「藤堂さん、貴方が消えなくて、私はうれしいです。。。。また明日。おやすみなさい」
なんとか終わりまで書けました。自分が予想していたよりもたくさんの人に読んでいただき感謝いたします。余談や回収していないエピソードがいくつかありますので、お付き合いいただけたら幸いです




