閑話 未来にて
「今日から店に入りました。「モナチュー」と申します。よろしくお願い致します。」
そういうと90度以上に腰を曲げて挨拶する。
対面に座っている社員さんも立ち上がり同じく挨拶する
「こちらこそよろしく。期待しています。」
ここは『キヌへさん家』という刺繍兼服屋
今日から新人が配属になり、その朝の挨拶だった。
「オーナー直属の部門だなんて。とても感激です。がんばります!!」
モナチューはまたペコりと頭を下げた。
「いやいや、そんなに固くならないで。みんなわきあいあいとやってる職場だから。でも針とかあつかっているから慎重さだけは持ってね」
西暦XXXX年
それまでステータスへの関与といえば、装備品自体の質に左右されていた
だがぁっ!!××××年 株式会社ジェイイックが突如として発表した刺繍技術により、装備品以外での改良が可能となり、巷には刺繍ブームが巻き起こる。
いくつもの刺繍屋が乱立し、一時は混乱を極めたが、今はブームも落ち着き、刺繍屋も淘汰され、現在は適正な店のみが残っている。
その中でも「キヌへさん家」は世界屈指の技術力保持会社として国内外に広く知れ渡り、特にオーナーの技術力の評判は高い。
そんな中、モナチューは幼いころに連れていかれた博物館に展示されているとある刺繍をみて、雷を打たれたような気持ちを持った。
「なんじゃこりゃあ・・・・きれい・・・・」
布自体は、●●●年前と推定される物なのだか布、刺繍ともに全く劣化が見られない状態で発掘されたものであり、その美しさに心を奪われたモナチューは事あるごとに親に博物館へ連れていくようにお願いした。
しかも後年その刺繍が「キヌヘさん家」のオーナーが作ったものとわかったとき、モナチューは絶対にこの会社へ就職したいと思ったのだ。
長年の願いが叶い、まさに天に上る思いで今日を迎えた。
普通の人であれば生きていないのだが、「キヌヘさん家」のオーナーはヒューマノイドであるが故に現在でもその技術を後世に残すべく社員教育をしており、また更なる技術発展を目指しているという。
モナチューもあの刺繍に心奪われたときから、この時の為に刺繍学校に通い準備してきたのだ。
「じゃあ、今日は肩慣らしにこの図柄から刺していこうか?」
先輩であるキリエさんの指示にしたがって作業をすすめる。
遠くない未来。モナチューは世界的刺繍アーティストとして名を残すのだが、それはまたの機会にお話ししましょう




