閑話 戻ってきた装備
「美咲~。今日はずいぶん動きがいいわね~。そんなにソレが戻ってきたのうれしいの?!」
ボス部屋での乱戦中。
「ええ。。。本当に。。。。」
美咲は戸惑っていた。
「まるい」のボスには幾度か挑んでいるが、今日ほど攻撃が入ることはめずらしい。
振り上げた鎌の速度もだが、なにより身体がとても軽く感じるのだ。
このマフラーは速度のステータスを上げる効果があることは分かっている。
が、過去に装備していた以上に動きが早い。
ズズ・・・・・ン。
ボスが地面に倒れ、光の粒子となるエフェクトが発生する。
「よっしゃ~。記録更新!!!」
誰かがそう叫ぶ。
どうやらこれまでの討伐時間を大幅に更新したらしい。
わっとみんなが嬉しそうに盛り上がる
「今日のMVPは美咲だな」
リーダーの徹がそういうと、みんなからも美咲コールが上がる。
恥ずかしいやらうれしいやら・・・・
ダンジョンから出て、当然、打ち上げになだれ込む。
「それにしても今日の美咲、キレっキレだったね~」
「ええ~そんなことないよ~」
「またまた~。ホントあの装備してからめっちゃ動きよかったよね~。いや~あの清掃のお兄さんに感謝だわ~」
そっと首に巻いたマフラーを触る。
昨日、低層階での討伐の際に、うっかり自分の鎌に引っ掛けて裂いてしまったマフラー。
今の自分には物足りない効果しかもっていないことは分かっていた。
でも、初めて買った装備。思い入れもある。しかし裂けてしまってはもう装備できない。
ダンジョンでの装備品は不要な場合や壊れた場合にはダンジョンの破棄場での破棄か、きめられた日の廃品回収で指定の方法で捨てることが義務付けられている。
リペアや修理には専門の業者に依頼することが多いが、たいていは買い替えが一般的だ。
とても迷ったが、性能的にも直してまで・・・と思い破棄場へと置いてきたのだ。
それが今日、女神広場で休憩していると、現れた清掃員のお兄さんが裂けていない物を身に着けているではないか。
偶然同じものかと思ったが、見れば見るほど昨日捨てた物に見える。
思い切って声をかけると、自分が捨てた物を気に入って廃品買取をし、さらに自分で修復したという。
ひどく裂けていた部分はまったくわからないぐらい直っていた。
基本的に壊れた装備品は壊れた時点でその装備についていた効果は失われる。
なので今、身に着けている物は効果がないはずなのだ。
打ち上げも終わり、それぞれ自宅へと帰る。
美咲も仲間と別れ、地下鉄に乗るふりをして、付近に止めてある車に乗り込む。
車はしばらく走った後、塀に囲まれた一角へと入る。
「ただいま。柴田」
「おかえりなさいませ 美咲お嬢さま」
装備品をはずしながら、そういえば今日の清掃員は叔父様の傘下の会社ということを思い出した。
「その装備は・・・」
柴田と呼ばれた人物は美咲の首にあるマフラーに気が付いた
「昨日ダンジョンで破棄したと伺っておりましたが・・」
「そうね。でも今日、叔父様の会社の清掃員が修理をしたらしく、頂いたの」
美咲はしばらく考えた後
「柴田。このマフラー「鑑定」に出してくれない?」
「お嬢様それは・・・マフラーにその輩がなにか致したか?ということでございますでしょうか?」
柴田の殺気
「いいえ、そうではないわ。その方は本当は自分が身に着ける為に修繕したとおっしゃっていまし、実際にご自身が身に着けていたわ」
「では、なにゆえに・・・」
「装備品って壊れたら、その装備品についてた効力って失われるのよね?」
「はい、そうでございます」
「・・・もしもよ。その効力が残っているとしたら・・・」
「まさか!修理品に関しては修理後は実用もしくは美術品等としての価値しかございません」
「そうよね。でも万が一ということもあるから。お願い。」
「かしこまりました。当日中にはご報告できるかと」
「よろしくたのむわ。わかったら携帯へ連絡して」




