異能と呪い
(さて、どうしようか)
はっきり言ってこの人狼をみんなから離すということには成功した、だが未だにこの人狼はしつこく僕を追ってきている、まるで親の仇のように
「まあ、ちかいっちゃちかいんだけどねっと、おあ?!!」
独り言をつぶやいていたら進路上に大きな川があったそして最悪なことに
グルルルー!!
「あちゃー、追いつかれたか」
人狼が追いついてきた、血走った目をこっちに向け低く唸って威嚇している普通なら怖がるとか取り乱すとかするところなのだが
「あー、やっぱり何か怖くねえんだよなどうしてだ?」
自分がおかしいと思っている自覚はある、だがこんなことは元の世界では絶対になかった。まるでこの世界に来てからいろんなことに対して耐性ができていっているようだった
「まあいいか、とりあえず生きて帰るって約束したからな、そこどいてもらうぞ」
そう言って左手に持った鉈を構えた、それに答えるように人狼も構えた、その目には野生の中に知性があるように見えた。
風が吹いた、ポツポツと水滴が落ちて来たとき両者同時に動き出した。
まず始めに攻撃を仕掛けたのは社左手の鉈で狙いやすい胴体に向かって右から左に振り抜いた、しかしそれを予期していたかのように人狼が半歩後ろに下がった、それにより空振り、その隙を見逃さず人狼は左手と胴体を持ち左肩に食いついた
「ぐあ!!」
痛みの声を漏らしてもその痛みもなぜか軽減されていくそんなことに思考を持って行かれる前に左手の鉈を投げて右手でつかみ人狼の左目を切り裂いた
ギャイン!
あまりの痛みからか噛みついていた左肩とつかんでいた左手を離した。その一瞬で自由になった左手を無理矢理人狼の左目へと突きさした
グアギャンッ!!ーー
無理矢理動かしたため肩から大量の血が出ているがそんなことは気にしない、人狼は痛みからか暴れ回り振り落とそうとしてきた、その直後 社は振り落とされ地面に落ちた、血を流しすぎたため軽い貧血により意識がもうろうとしている中最後に見たのはこちらに向かって突進してくる左目のない人狼、そして増水した川に落とされ意識が落ちた。
ザッーーーーーーーーーーー
ゴーーーーーーーーーーー
雨の音が聞こえる中ずぶ濡れの中社は目を覚ました。周囲に人影はなく冷たい雨だけが降っていた
「・・・ここは? ・・そうだあのときやつに吹き飛ばされ! ぐ!!」
目覚めると同時に痛むからだ、かみつかれていた肩にはまるでえぐられたような痣があるが血は出ていない
今現在社の体を襲う痛みは川の中でもみくちゃにされたときの衝撃である、しかしそんな痛みもすぐに治まっていく
「とりあえず、ここはどこだ?
周りを見てみても見覚えのあるような景色はないどうやら川に乗ってかなり流されたようだ
「とりあえず雨宿りできる場所を探すか」
そう言って歩き始めた、しばらく歩くと大きな崖があった、それをたどっていったら不意に洞窟があった、動物などはすんでいる気配はなく社はその洞窟に入っていった
「まあ、ちょうどいいか雨がやむまでの辛抱だ」
そう言って濡れた服を脱いでいる最中にふと何かが落ちた、それは社たちが通う干支校の生徒手帳であった
「生徒手帳か、そういえば制服の胸ポケットに入れてたんだよな、どれどれー? っつ?!これは!!」
その生徒手帳には学生証と干支校の校訓しか書いていないはずなのだ。しかしその生徒手帳にはそんなものは書いていなく一枚のプレートのようなものがあったそこには
名前】 大神 社
種族】 人間 性別】 男
Lv】 5 状態】 健康
技能】 鉈戦闘
異能】 耐性
まるでゲームのような文字の羅列があった
「なんだ、これ?というかこの固有の耐性って おわ?!」
プレートの耐性を触ったとたんまるで説明欄のような文字が出てきた
異能】 耐性
このスキルは、様々なことに耐性ができます
例,毒や催眠、混乱と言った状態異常にかかりにくくなります
注意,耐性が付くというだけで無効にはなりません
「おお、これは!そうか!ようやく合点がいったぞ。この世界に来てから妙に落ちついていけたのはこの異能のせいなのか!」
ようやく自分の中の違和感の正体がわかりどことなく安心した自分がいた
そしてこのスキルに怖さを覚えた
「でもこれは一種の最悪じゃないのか、これってつまりどんな格上で恐ろしい相手でも気持ち次第じゃ逃げるよりも戦う方を選ぶんじゃないのか?」
そう、恐怖とは一種の防衛本能それが少しでも緩和されるということは防衛本能が下がるということだ。
しかし
「まあ、なんとかなるだろ」
社は楽観的だった。
そうこうしているうちに制服を脱ぎ洞窟の岩肌に掛けて乾くのを待つ、今の状態は上半身裸で下はズボンをはいているが裸足である
普通はこの状態ならば体に付いた水滴で体力を奪われるのだが社は
「暑いな、湿度でも高いんだろうか?」
と手で顔を仰ぐ程、暑がっていた
暑い暑いといって全然体の温度が下がっていないように見えた、自身の体の異変に気付いたとき社は体を焦がすような熱に覆われた
「ぐう!!ぐああああああああ!!!!!!」
それはまるで炎のようであった体から蒸気が出ており社の痛みとも苦しみとも付かない声が洞窟内を木霊していた、壁に掛けていた制服は熱で乾ききり洞窟内にしみ出ていた水は一瞬で水蒸気に変わっていった、そんな状態が何分何秒続いたか知らないがその変化は突如として現れた、
「ぐあ!!グウオォォォォォォォォーーーー!!!」
まるで獣のようなうなり声の後
社の体から バキッ!!ゴキッ!! と骨が軋み変形する音が聞こえ、体中から獣のような体毛が生えてきた。
そのような変化が始まって数十分いや数時間かもしれない変化が収まりしばらくして社も目を覚ました
「ぐっ!つう!痛ってー、何が起きたんだ?」
そう言って立ち上がり周囲を見渡した
「ん?なんか目線が高く・・あっ生徒手帳こんなところに落ちて・・・る?!!」
そう言って伸ばした手は毛むくじゃらで生徒手帳が一回り小さくなったように見えるほど大きくなっていた
社は落ち着いて伸ばした手をグー、パーしてみる
うん、俺の腕だ
「うん、じゃねーよ!!!何だよこれーーーー!!!!!!」
ひとしきり絶叫した後ステータスプレートの存在を思い出し見てみた
そこに書かれていたのは
名前】 大神 社
種族】 人狼 性別】 男
Lv】 2 状態】 健康
技能】 鉈戦闘,魔装,身体強化,狂化
異能】 耐性
へ? 人狼?
ようやく人外化




