人狼
なんやかんやで、くじ引きという運要素しかない方法で決められ。結成された僕たち十人の探索隊は、生徒会長に
「準備ができたらいってねー、お見送りするから。あと夜の森は危ないから日が出ているうちに帰ってくること、危険なことはしないようにねー」
と、かなり緩い激励を受けてから準備をし、正門から森の中に入った。
途中見送りに来た生徒から「頑張ってね」「気をつけろよ」「ちゃんと全員かえって来いよ」と励まされていた、励まされている途中実亜から
「大神君、絶対!、ぜーったい!!無事に帰ってきてね!!」
と、かなり鬼気迫る勢いで念押しされたので素直に頷いておいた。
そんな様子を大河がにやにやと見ていたので宇野原先生流アイアンクローをかましてやった。
俺は悶絶している大河を尻目に、見送りにきた生徒に手を上げながら森の中に入っていった。
一体どれだけ歩いたかわからない。
だがちょうどお昼くらいだろう、一番暑い時間帯になったのでこの隊で唯一の教師である体育の瓜田先生が「休憩!!」と言ってくれた。
その合図とともにいままで歩いていた全員が「ふー」「疲れた」と言って適当なところに座った。
「これより昼食休憩にする、ゆっくり休め」
そう言って先生も学校から持ってきたパンと水をカバンからだし、食べ出したので、僕たち全員、持ってきた食料を食べ出した。
「大分歩いたが今のところ変化は見られないな」
「だけどよお瓜田、なんかいるぜこの森、敵意じゃねえけど近え気配がある」
「瓜田先生といえ天川!」
ふとつぶやいた瓜田先生の言葉に一人の生徒が反応した。
三年の 天川 竜牙先輩、言葉遣いからわかるように、不良生徒なのだが、情に厚くあまりバカなことをやらかさない人なので。
先生、特に体育の先生たちにすこぶるかわいがられている人だ。
ちなみにうちの高校には天川先輩の他に目立つ不良がもう一人いるのだが、そいつはかなり評判が悪い。
いろいろと事情があるため、先生たちもおおっぴらに怒れないため苦虫を噛みつぶした思いらしい。
ちなみに、その人と天川先輩二人がこの高校の二大不良グループの頭なのである。
「瓜田先生落ち着いてください。ここは天川先輩の野生の勘を信じましょう、それにこの森の植物、持って帰って食用に向くかどうか確認しないと」
この探索で一番の目的を言った生徒。
二年の緑川 四火
園芸部で特に植物についての知識がとても深い。
植物についてならこいつに聞けば間違いなし、と言われる園芸三王のうちの一人である。
「うっ! そっ、そうだったな、すまん緑川」
そう言って、素直に生徒に謝る瓜田先生。
そんな瓜田先生を天川先輩は笑いをこらえるように口に手を当てて見ていた。
あっ、今天川先輩の頭に拳骨が。
「ゴホン、 それでは気を取り直して、今のところの目標はこの周辺についてと食用できるものをなるべくみつけることだな」
一つ咳払いをして気を引き締めようとする瓜田先生。
でも先生、後ろで悶絶している天川先輩のはいいのですか?
周りで植物を採取する僕達。
しばらくして、一人の女子生徒が立ち上がった
「先生、これ食べれますかね?」
「雲井そんなショッキングピンクなキノコ、普通食べようとはおもわないよ」
「え~?こんなにおいしそうなのに」
「捨てときなさい!!食べようしないの!!」
絶対毒がありそうなキノコを食べようとしているのは
二年の雲井 笛留。
手芸部でマイペース、そして人より少し常識が薄い人である。
見た目が少し幼いが大食らいなため、今も名残惜しそうに捨てたキノコを見ている。
そんな雲井に突っ込みを入れているのは
同じく二年の猿飛 彩花。
生徒会書記なのだが、くじ引きは全校生徒をいれていたため、運悪く引かれてしまいこの探索隊にきた人である。
しかし生徒会で丑崎先輩の次に武闘派であることもあり、数少ない生徒会の常識人である。
後の五人は一年であったり三年であったりと面識が少ないため説明ができない。
「まあとりあえず今回の目標は周辺の探索に加え植物の採取を重点的に行おうと思いますいいですかね?」
とりあえず今回の目標が決まったようなので猿飛が報告した、とくに異論はないので。
「了解した、とりあえず今回は採取がメインで探索はほどほど、ということだな」
「そうです、皆さん異論はないですか」
「いいよ」
「いいぞ」
「オッケー!」
「了解」
「いいですわ」
「承知した」
「Yes,Sir」
いろいろと突っ込みたいと思ったがあえてスルーした、うちの学校武士や外国人いたっけ?
「さて、そろそろ出発するぞ!」
そう言って瓜田先生がみんなを立たせる。
そして荷物を片付けている最中それはおこった
「ん?天気が・・」
誰が言ったのかわからない、だが確かに今まで晴れていた空が急に曇りだした。
そして少し冷たい風が吹いたかと思うと・・・
「グルルルルルルーーーー!!!!」
「「「「「「「「「「?!!」」」」」」」」」」
それは獣のうなり声だった、しかしそのうなり声はどんな獣よりも低く腹の底に響くようであった。
「全員一カ所に固まれ!!離れるなよ!!」
そう言って瓜田先生がみんなを一カ所に集める。
男子達はバットや木刀、スコップなど、おもいおもいの武器を持って女子の前に立ち周囲を警戒する。
時間にして十秒いやもしかしたら十分たったかもしれない。
そんな時、それは木々の間から現れた。
「グルルルーー!! グワオォォォォォォォォーーーー!!!」
出てきたと同時に咆哮したそいつは、僕たちでも知っている。
いや本の中、物語の中だけで知っている生き物であった。
それは
「人・・狼・・」
僕は無意識にそうつぶやいた




