《雷魔術》 使いようによってはA○D
「父上‼︎ 母上‼︎」
切羽詰まったような、というか切羽詰まった声を上げるのはハティアちゃんのお兄さんであるハクロウ族族長ぜウロの第一子であるワンロである。
常日頃から「男として泣くのは恥」と豪語し先のゴブリンとの戦いでも弱音を吐かなかったコボルトである。(ハティアちゃん曰く「実力はあるけど考えなしだから長男だけれども次期族長にはなれないって言われたけれどそれも簡単に受け入れている裏表がないいいお兄ちゃんだワン」らしい)
しかしそんな彼が今はボロボロと涙をその両目からまるで滝のように垂れ流しながら目の前で横たわる二体のコボルト、ハクロウ族族長ぜウロとその妻・・・・えーと、名前なんだっけ・・・・・・・・・ま、いっか、とりあえずその二人が傷一つない(ま、俺の異常な《回復魔術》のおかげで傷一つないんだけれど)状態ながらも全くその目を開かなかった
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えっまさか
「わふぁああ!泣くなワンロ兄‼︎ 泣いても父さんと母さんはもう‼︎」
「兄じゃ、言葉に説得力ないわおおおおおおおおお・・・・・」
「泣くなお前たち、泣いてももう族長・・・いや父さんたちはもう・・・」
はいビンゴ!!!
死んじゃってる!!!? マジで!!!?
「いや、気づかずに《回復魔術》かけてたのあんた!!」
「いやだってなんか普通に 傷治ってたし。それに普通に傷が治ってたからまさか死んでいるなんて思わないじゃないか。」
「「いや、まず死んでたら傷なんて治りませんよ(らないわよ)」」
見事にハモりながらズイッと迫る二人・・・近い近い!!
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「ってこんなことしてる場合じゃねー!!」
目と鼻の先まで迫っていた二人を押しのけ俺はハティアちゃんたちが集まっているところに向かう。
その途中押しのけた二人の方から「ッチ! あと少しで流せれる所だったのに」「クレア姉さん焦らず行きましょう、とりあえず今晩にも………」なんていう不穏な会話が聞こえたけどきこえなーーーい。
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「うう、わう・・・・」
「わふう、もう泣くなハティア、泣いても母はもう目を覚まさない」
母の骸の上に覆いかぶさるようにして未だ泣き続けるハティア。だがそれも仕方ない何しろ兄弟姉妹の中で一番母を慕っていたのは他でもないハティアなのだから。
厳しくも誇り高かった父ぜウロ。常に一族とその未来のために行きていたその姿はまさしく私たち家族のいや、ひいては一族全体の自慢であった。
そしてそんな父を後ろから支えつつもその深き愛と広き心で私たちを見守っていた母リウス。一族を守るため戦う術を父から学んでいた私たちとは違い争いの苦手なハティアはよく母と一緒に行動していた。そのため何よりも母の死を悲しんで今もすがりつくように泣いているのだ。だから私はハティアの気がすむまで泣かせてやることにした。
そんな中同じように他の弟たちも静かにハティアを見守る中・・・・・・我が一族最悪のバカがやらかした。
「いつまでメソメソしているんだハティア!!」
「「「バカ!!!!!」」」
「ワンダ・・お兄・ちゃん?」
ハティアに向かってそう吠えたワンダはスタスタとハティアに近づいていく。
ワンダは私と同じ年に生まれたコボルトなのだが、最悪なことに全く空気を読めないバカコボルトでそんなワンダを止めようとワンロ、ツウロ、スウロ、フォウロが手を伸ばすがその手は空を切っていくだけ。そしてとうとうワンダはハティアの目の前までくると腕を組偉そうに説教をし始めた。
「メソメソするな‼︎ ハクロウ族族長であり偉大なぜウロの娘ならばこの程度で泣くのではな「はいちょっとそこどけ(バシッ!)」ワグば?!!」
と、思ったら後ろから駆け寄ってきた我々を助けてくれたあの人狼がワンダを突き飛ばしながら駆け寄ってきたと思ったらそのままハティアのそばまで行き
「あー、ハティアちゃんちょっとそこどいて。その人達多分まだ間に合うから」
何かおかしなことを言い始めた。
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はい? 間に合う?
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とりあえずハティアちゃんの両親が死んでいることに気付いた俺は全速力・・・・・じゃあ周りに走った時の風圧で被害が出そうだったのでギリギリの速度で急いで駆け寄った。
途中腕組みをしたコボルトがいたが、じゃまっだったのと退かす注意をする暇がなかったのでそのまま軽く押しのけた。 何故か軽く押しただけなのに結構吹っ飛んでいるのか不思議だけれども。
まあ、そんなことはさておき
「ハティアちゃんちょっとそこどいてくれないかな。」
涙目で多分ハティアちゃんのお母さんだと思われる女性のコボルトに寄りかかっているハティアちゃんにそう言う。
そんなハティアちゃんは俺の顔を不思議そうな。かつ、また更に泣きそうな表情で見上げ。
「どう、して?」
「いやまだ間に合うかもしれないし?」
「・・・・・・え?」
そう言った途端呆けた顔をするハティアちゃんを横に避ける。そして俺は、目の前でまるで眠っているように横になって死んでいるハティアちゃんの両親に一度両手を合わせて合掌し。
「よし・・・」
気合いを入れるように意気込みそしてそっとハティアちゃんの両親の胸の上に片手づつ置いた。
「ワフ?一体何をするつもりなのだ」
「さあ、生き返させるつもりじゃないのあの非常識狼は」
「あうーー!!」
「あーーー」
「ぷるるっ!」
「おや? 貴方達帰ってきたのですか?」
ハティアちゃんのお姉さんが俺がしようとすることに疑問を浮かべる中追いついてきたクレアがそんなお姉さんの疑問に答えるようにそう言う。 そしてサクラとモミジ、そしてスライムがあの謎の狼の背中に乗ってやってきたかと思うと同意するかのように声を上げる。(因みに二人はスライムに体を巻いてくくりつけてもらい狼の背中に乗っていた。)
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というか非常識狼ってなんだよ?!! ・・・・まあいいか。
とりあえず意識を集中させ俺は両の手の平に<雷魔術>を溜め、そして。
「ふん!!」
どんっ!!!!!
思いっきり掌底を放った。 すると
「「かハッ?!!!はーーーー・・・はーーーーー・・・・」」
先程まで眠っているように死んでいた二人が衝撃で体が浮き目を見開いたかと思うと、浅くだが微かに呼吸をし始めた。 ・・・・うん
「よし成功!!」
「『成功!!』じゃないわ!! この否常識!!」 バチン!!
「痛い?!!」
上手く蘇生できたと思ったら何故か後ろから叩かれた。 痛い




