コボルトVSゴブリンVS人狼 2
2週間ぶりです。
「父・・・さん、母・・・さん!!!」
呆然とそう呟くのは誰なのか分からない。
ワンロ、ツウロ、スウロは自身がそう呟いたのかそれとも他の二人が呟いたのかそれすらも分からないほど目の前の光景に衝撃を受けていた。
三人がなにも考えれない中長女アセリアだけが族長の状態を確認するためその目をこらす。
「(傷は・・・・・族長は切り傷や打撲が多い、それも比較的新しい。・・・・・捕まってからやられたのか。
母さんは・・・・・族長と同じか? いや、服が剥ぎ取られているところから見て・・・クソッ! 胸クソ悪い!!
それで息は・・・・・どうやらかろうじて生きているみたいだけれども。 ゴブリン共め、いったい何のために?)」
比較的冷静に貼り付けにされた両親の安否を確認し、それと同時にゴブリン達の所業に怒りを滲ませていた。
そんな中アセリアはふと何故ゴブリン達が族長達を生かしたままにしているのに疑問を感じていた。
しかしそんな疑問は直ぐに分かった。
ノソッ
先程まで座っていた骨鎧を着た巨大なゴブリンがその腰を上げる。
そしてその巨体に似合う足音を響かせながら貼り付けにされている族長のそばまで来ると。
グサッ!!
「ぐあがっ?!!」
「「「「なっ?! 族長!!」」」」」
おもむろに傍にいたゴブリンの槍を奪い取り族長ゼウロの足にその槍を突き立てた。
ゼウロは槍を突き立てられた痛みで声を出し体を仰け反らせる。しかし手足を十字架もどきに縛られているため少ししかその体を動かせれない。
そんなゼウロを意に返さず骨鎧のゴブリンはその槍をもう一度掴み
グリグリ
「グウがあ」
ズボッ!!
「ぐう!!」
二、三回槍を捻った後おもいっきりその槍を引き抜いた。
ゼウロが痛みで苦悶の表情を浮かべる中骨鎧のゴブリンは刃先に血がべっとりとついた槍を持ちながらアセリア達の方を向いた。
「・・・・・・・・(ニヤッ)」
「?!」
骨鎧のゴブリンがアセリアを見た瞬間少しだけ下卑た笑みを見せた。
アセリアはそれに気付いたときと同時に骨鎧のゴブリンがこちらに向かい
「そこ に隠れ ている 臆病者 の 犬共!!!」
流暢なのに何処か間の空いた奇妙な喋りかたをしながら挑発してきた。
ゴブリンの挑発にアセリア以外の他のコボルト達は怒りを滲ませながら自身の武器を強く握る。
案外単細胞な彼らをアセリアは手で制する。
「聞こ えて るか?! 臆 病で そんなと こに 引きこも っている タマ ナシ意気地 なし の だめ犬共!!」
更に聞こえてくる罵声に何人かのコボルトが静かに弓を引き絞るのをアセリアは足下の石を拾いぶつけて止める。
「い いか?!! よく 聞け!! これ からてめ えら の長である こい つを殺 す !!」
そう言いながら骨鎧のゴブリンは手に持つ槍でゼウロの胸部分を指した。 その先には槍が少し刺さったのか薄らとゼウロの胸から血が流れており、それを見てコボルト達は息を呑む。
「だが 俺もそこ までひどい 奴じゃ ねえ、だか ら今か ら十数え る。 そ の間に 武 装を解除 すれ ば この ボ ス犬 を 解 放してや る。 そし て俺 達の 専 用奴 隷 とし て 一生 使 っ て やる。
それ じゃあ 始め る ひとーつ!!」
骨鎧のゴブリンがカウントダウンを始めるそれと同時にコボルト達も騒がしくなっていく。
「くそ!! どうすれば?!!」
ツウロは地面に拳をたたきつけながら悪態をつく。その顔は焦燥を貼り付けたように歪んでいる。
「どうするもこうするもないよ兄さん! 早くしないとあと八、いや七しかないよ?!」
スウロはわたわたとどこぞの青い未来猫のような動きをしながら右往左往している。心なしか目の中に星や記号が点滅しているように見える。
「どうするもこうするもない! 今から突撃し親父殿を救出「せい!」 ぐぺっ?!」
ワンロは勇ましくそう言いながら立ち上がろうとするが、立った瞬間、アセリアにそのすねを強打され転ぶのと同時に痛みで「ぐおおおおおお?!! すねが!! すねがあああ!!!!」と叫びながら地面を転がり始めた。
そうこうしているうちにもゴブリンは数え続け、そして
「むーーつ!!」
残り四までに迫っていた。
じわじわと少なくなっていく時間にコボルト達は焦らされる。
そんな中十字架もどきに貼り付けにされている族長 ゼウロに変化が訪れた。
ぴく・・・ぴく・・・
誰も気づかない中ゼウロの指が微かに動く。
そして
「う・・・・ぐう・・・・・」
小さな呻き声を上げながらその顔を微かに上げた。
「アセ・・・リア・・・・・」
それは消え入るようなか細い声だったがアセリアの耳には不思議なほどにすんなりと聞こえた。
「?!」
「? 姉上?」
勢いよく振り返るアセリアに周りのコボルト達は不思議そうな顔をする。 続けて話しかけてこようとコボルト達をアセリアは静かにするようにと制す。
「アセ・・・・・リア・・・」
もう一度聞こえたその声は今度はコボルト達全員に聞こえた。
それと同時にコボルト達は一斉にバリケードの隙間からその声の主を見ようと殺到しようとする。 しかしそんなコボルト達をまたもやアセリアは止まるように静かに制した。
「どうして?!」 そう言いたそうなコボルト達にアセリアはコボルト達にだけ聞こえるギリギリな声音で目の前のコボルト達に言う。
「静かにゆっくり、そして自然にいろ。 今の族長の声が聞こえるのは私達だけ、ゴブリン共に気付かれていない。この意味が分かるか?
もし私達が不自然な動きをしたらゴブリン共は直ぐに気付きなにをするか分からない。だからなるべく気付かれないように自然にいろ。分かったか?」
そういって念を押すアセリアに周囲のコボルト達は小さく頷く。そして本当に自然な動きでバリケードに寄りその隙間から未だ貼り付けにされている族長ゼウロのをのぞき見る。
ゼウロはそんなコボルト達の気配を感じたのか、血で霞む目を少し開かせ口を微かに動かし始めた。
「に・・げ・・・ろ・・・・」
ゼウロが放った命令ともとれるその一言は大声で数を数える骨鎧のゴブリンの声よりもアセリア、もといコボルト達の耳にすんなりと入ってきた。
そしてコボルト達は自然とその目の端に涙を貯めはじめその内数名、特にワンロ、ツウロ、スウロはあふれ出だしたのか自らの手でその顔を覆い隠し肩を震わせる。
そんな中アセリアはというと
「・・・・・・」
ただいつも通り無表情かつ無言でゼウロを見続けていた。しかしその頬には薄らと涙が通った跡がついていた。
だがその一言が聞こえていたのはコボルト達だけではなかった。
「な なー つ ・・・な んか うるせ えな
黙 って ろ 死に 損な い が !!」
そう言いながら急にキレだした骨鎧のゴブリンが手に持っていた槍を無造作に振り上げたかと思うと
ドスッ!!!!
「ぐぉ゛はあ゛?!!!!」
ゼウロの腹をめがけて振り落とした。
振り下ろされた槍はゼウロの腹を貫通し血の糸を引きながら背中から生えた。そしてそれから一拍おいてゼウロは口から苦悶の声と共に勢いよく血のかたまりを吐き出し地面を赤く染め上げた後ぐったりと動かなくなった。
コボルト達はそんなゼウロの様子に最初ポカンと呆けた顔をしたかと思うとすぐさま悲しみと怒りが混じったような表情で骨鎧のゴブリンを睨みつける。
そして睨みつけられている本人はというと。
「あ らら や っち まっ た。 まあ、 仕 方ね えか やっ ち ま った もん はし ょう がね え」
まるで悪びれる様子もなく槍から手を離しコボルト達を見た。
「交 渉 失敗! てめ えら の 決断 が 遅い から 殺しち まっ た じゃ ね えか !
だが 武 装を 解 除し ね えっ て こと は 反抗 する って こと だ よな あ ? それ じゃ あ てめ えら のお 望 み 通り 実力 で てめ えら を 潰し て やる よ! !」
逆ギレからの攻撃開始の宣告に、後ろにいた数百体のゴブリンとオーク達は喜悦ともとれる雄叫びを上げながらかけだした。
だがコボルト達は圧倒的な戦力差にもかかわらず一切ひるむ様子がない。それどころか更なる怒りの表情に今にも爆発しそうな爆弾のようであった。
そしてその爆弾はアセリアの一言により一斉に爆発した。
「我々を侮り! 族長ゼウロを不当の元殺したあの害獣共を!! 一匹でも多く!! 地獄に落とすぞ!!」
ただ一言、その場にいる全てのコボルト達の心の声を具現化したようなその言葉にコボルト達は一斉に駆け、寄ってきたゴブリン達に襲い掛かるようにして己の武器を振るう。
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鮮血が舞、辺りが辺りが血で真っ赤に染まる中アセリアは骨鎧のゴブリンと相対していた。
彼女が通ってきたであろうその道には数えきれぬほどのゴブリン達の死体が積み重なっており、その全てが一刀のもとに斬り殺されている。
「貴様は私が殺す。」
そう言いながら手に持った片刃の剣を骨鎧のゴブリンに突きつけるアセリア。 そんな怒りの表情を見せるアセリアとは反対に骨鎧のゴブリンは下卑た顔をしていた。
「ぐぎゃぎゃ!! や はり い いな 貴様、 よ し決 めた。」
そう言いながら骨鎧のゴブリンはその太く緑色の指をアセリアに向けると。
「喜 べ、 お 前は 特別 に 俺が 飼っ て やる !
俺様 専 用の 性 奴隷 と し てな !!」
ニタニタと気持ち悪い笑みを向けながらそう宣言した。
アセリアはそんなことをのたまう目の前の骨鎧のゴブリンに一瞬嫌悪の表情を見せた後
「調子に乗るな! 『一刀両断』!!」
そう言いった瞬間アセリアの持つ片刃の剣が発光したかと思うとアセリアの姿がぶれる。
そして次の一瞬で骨鎧のゴブリンの目の高さまで移動し手に持った片刃の剣を振り下ろそうとしていた。
しかし
「げひゃ!!」
ガキン!!
「何?! きゃいん?!!」
アセリアの剣が振り下ろされたのと同時に骨鎧のゴブリンはいつの間にか持っていた大剣でアセリアの剣を受け止め、そして一瞬にしてアセリアをその力に任せて吹き飛ばした。
アセリアは二、三回地面を転がった後直ぐさま起き上がり骨鎧のゴブリンを見るがその視線の先には骨鎧のゴブリンの姿は無かった。
「いない?!! いったいどこに?!」
「ぎゃぎゃ! こ こだ !!」 ブンッ!!
「な?! (バキン!!) きゃいん?!!」
目の前から消えた骨鎧ゴブリンを探し辺りを見渡すアセリア。 そんな彼女は後ろから聞こえた声に反応し振り向いた瞬間横薙ぎの一撃を受けまたもや吹き飛ばされる。
この時咄嗟に構えたアセリアの剣は骨鎧のゴブリンの持つ大剣とぶつかり真っ二つにへし折られた。
「ぐう!」
先程の不意の一撃からいまだに立てないアセリア。 そんな彼女に目の前にいる骨鎧のゴブリンはまたもやニタニタと気持ち悪い笑みを浮かべながらアセリアに話しかける。
「ぎゃぎゃ! 残 念 だっ たな。 お 前 達の 負け だ。」
そういっていまだに立てないアセリアの両手を掴み持ち上げる骨鎧のゴブリン。
その言葉通り周囲を見渡せば先程まで聞こえていたコボルト達の怒号は消え失せ代わりにそこら中から呻き声が聞こえる。
声のした方を見ればそこには一体のコボルトの上に何体ものゴブリンが馬乗りになり武器を突きつけあるいは突き刺していた。
「ぎゃぎゃぎゃ!! 無駄な 抵抗 だ った な。 こ れでお ま えた ちは 最下 級奴 隷と して 女は 俺 達の 苗 床に、 男 は労 働力 と して 俺 達の 王 国で 一 生を 送る こ とが 決 まっ た。 残念 だっ たな !! ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!」
そう言いながら骨鎧のゴブリンは耳障りな笑い声を上げた。 骨鎧のゴブリンの笑い声につられてか周りのゴブリン達も笑い始めいつしかそこにはゴブリン達の下品な笑い声だけが響いていた。
「この、外道が・・・!」
アセリアは悔しさに顔を歪めながら目の前の骨鎧のゴブリンを睨みつける。
そんなアセリアに骨鎧のゴブリンは先程の下卑たにやけ面を更に倍以上にさせたような顔をし
「ま さし く負 け 犬の 遠吠え だな。 そ んなこ と
よ りも お前 は 自分 の心 配を した 方 が
い い ぞ!! (びりびりびり!!!)」
そんなことを言いながらアセリアの服に手をかけおもいっきり引き裂いた。
引き裂かれた服の下から現れたのは多産であるコボルト特有の六つの果実。特に上二つは服の上からでは分からなかったが通常のコボルトよりも倍以上に大きい。
「お 前は 俺 様の 部下 を たく さん 殺 した。 だか ら その 分以 上に お前 に は俺 様の 子供 兼 部下 を 生ん で もらう 覚悟 し ろ。 ぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!」
そう言いながらに未だに笑い続ける骨鎧のゴブリンの腰鎧部分が持ち上がる。
「くっ!!」
これから訪れるだろう自分の未来に青い顔をしながらも未だに目の前のゴブリンを睨みつけるアセリア。 そんな彼女の心の中では目の前のゴブリンに向けた恨みよりも全く別のものが渦巻いていた。
それは
「(ハティア、最後にあなたのあの笑顔が顔が見たかった・・・)」
一番下の弟と逃がした彼女の唯一の大事な妹のことであった。
未だに下品な笑い声を上げる骨鎧のゴブリン、周囲のゴブリン達もそれにつられて同じような笑い声を上げる中それは起こった。
がさささ!! ばっ!!
「ヒギャ! ヒギャアアアア!!」
「あ?」
突如として変な悲鳴を上げながら森の中から飛び出してきた一体のゴブリン。 骨鎧のゴブリンはそんなゴブリンの方へ顔を向けて見ればそのゴブリンには見覚えがあった。
「あ? てめ え 確 か逃 げた 犬 共捕 ま えて こい っ てい った 奴ら の 一人 じ ゃな かっ たか ? 何だ? 逃げ ら れた のか ? ああ ?!!」
骨鎧のゴブリンが身一つで帰ってきた目の前のゴブリンに半ばキレながら詰め寄る。 しかしそのゴブリンは息を乱しながら醜い顔を更に醜くして必死な形相で骨鎧のゴブリンに言った。
「二、ニゲロ!! ハヤクココカラニゲロ!! バ、バケモノガ!! バケモノガ!! オ、オレタチヲ!!オレタチヲミナゴロシニ!! オレイガイヤツラゼンイン」
「全滅しました。」
必死に伝えようとするゴブリンの言葉を遮るように聞こえたその声は不自然な程にその場にいた全ての耳にすんなりと入っていった。
そして次の瞬間
「案内ご苦労様」
グシャッ!!
そう言いながら空から落ちてきたそれはゴブリンを踏み潰し、そこに立った。
ちなみに踏み潰されたゴブリンの死体はまるで氷を砕いたかのようにバラバラになりまるで小石のようにそこら辺に転がっていた。
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誰も彼もが、無論未だにこの骨鎧の下衆ゴブリンに吊されている私もこの状況にフリーズする中、目の前にいる当の本人?は特に何ともないように周囲を見渡し
「えーと、すいませーん! ハティアちゃんのお姉ちゃんはどなたですかー?!!」
そう言いながら大きな声を出すそいつ。
鋭い牙と爪に真っ黒な毛皮、「本当にコボルトか?」 と言われるほど巨大なオウロウ族の族長並の体の大きさとぱっと見前屈みに二足歩行した狼のような姿はどこからどう見ても人狼にしか見えない。
・・・・・・ん? ハティア?
「ハティア?」
ハティアという名に自然と聞き返すと目の前の人狼はこちらを見る。 そして私と目があった後彼女の両手を掴む骨鎧のゴブリンを見て目を細めた次の瞬間
ズバン!!パシッ!!ドゴン!!
ほぼ同時になった音、気付けばいつの間にか私は骨鎧のゴブリンに吊された状態ではなく柔らかい布に包まれていた。
「あなたがハティアちゃんのお姉ちゃん?」
そう言われて顔を上げるとそこには柔らかい笑みを浮かべた美女がいた。
え? 誰ですか?
「ああ、ごめんね。 まず私から名乗らなくちゃね。私の名前はクレア。 クレアさん、クレア姉さん、まあなんとでも呼んでね」
「あ、はい・・・・・・・・・・はっ! あいつは! あの下衆ゴブリンは?!!(ちょいちょい) え?・・・・・・はい?」
目の前のクレアと名乗った美女にあの下衆のことを聞いたら、ただ柔らかい笑みを浮かべ指を指した。
クレアさんの指差した方を見ればそこには
ぴく ぴくぴく
「「・・・・・・・・・」」
地面に顔面がめり込んでいるゴブリン(多分骨鎧の)を、先程の人狼とその人狼の肩に乗る黒いサティロスが絶対零度を思わせる視線を向けていた。
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うん、 意味わかんにゃい。
2週間もお待たせして申し訳ありません。
なんか主人公以外を書いてるとやる気ゲージが下がっていってずるずると遅れてしまいました。
次は何とか1週間以内に書けるよう頑張っていきます。




