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学園転移~人狼になった俺の異世界生活~  作者: 蜜柑【オレンジ】
三章 
42/52

ワン! ワン! ワン!! 4

 ゴブリンを凍らせそれを砕くという外道に近い行為をやってのけ、その後自分でも分かるほど爽やかな笑顔を浮かべた俺。


 まあ、もしもこの場にあの双子(大河と実亜)がいたとしたら、この光景を見て顔を引きつらせながらも俺に声をかけるがしばらく近寄って来ない可能性が・・・・・・・・・・あれ?なんか笑いながら『仕方ねえよなー!!』と言いながら肩を叩く大河と笑顔を浮かべる実亜が浮かんでくるんだけど。何で受け入れている状態が頭に思い浮かぶの?・・・・・・おかしいな?


 まっ、まあそれはさておきもしもこの場に白がいたなら白なら・・・・・白、なら・・・・・・・・・・あれ?おかしいな、なんかあいつも俺がしたことを直ぐに受け入れる気がする・・・・・・・・・・まあいいか。











 とりあえず、俺の中には後悔など一切ない!!


 だって向こうさん(ゴブリン共)こっちを殺す気でかかってきたんだもん。だったら向こうも殺される覚悟で来たはず(多分)だから一切手を抜かないのが礼儀でしょう。




・・・・・まあ、最後に消し炭にしたホブゴブリンには少々私情を挟んだのは内緒だけれど。





そんなことを考えていると後ろから呆れにも似た声がかけられた。


「ヤシロ、最後だけ私情込みでやったでしょう?」


そんなことを言うクレア。


馬鹿な! バレてる?!


「はあ、あんな相手に〈雷鎚〉喰らわせるなんてオーバーキルもいいところよ。まあ、それくらいあのゴブリンに腹が立っていたってことなんだろうけどね。」


そんな俺の驚愕を他所にクレアはため息を吐きながらも何処か嬉しそうな表情をしていた。






 クレアとノアは俺が〈雷鎚〉を撃つ前に背中の荷物ごとコボルト達が固まっている崖下まで待避していた。ちなみにタンス程の大きさの荷物袋はクレアが背中から生やした腕?(脚?  ああ、一応腕なのねそれ)と糸を使い運び、ノアはサクラとモミジ、後スライムさんと目玉さんを抱きかかえクレアと同じように後方に逃げていた。




 いやー、これこそ以心伝心って奴? 鮮やかかつさっさと逃げたね二人共 うん。




 まあそれはいいとして俺少し気になってるんだけど


「クレア、その足下に転がっているのなに?」

「? なにってコボルトだけど」


そう言うクレアの足下には糸でぐるぐる巻きにされかつボロボロなコボルト達がいた。


「いや、そのコボルト達何でそんなにボロボロでかつ糸でぐるぐる巻きなの?」

「さあ? というかボロボロなのは最初っからだったのよね。

どうにも動けなさそうだったから糸くくりつけて逃げるのと同時に釣り上げたのよ。」

「『無意識にブチ切れてるみたいだから回収しとこ、どうせ見えてないから巻き込みそうだし』 っていいながらテキパキと釣り上げてましたよ。 さすがクレア姉さん」


手放しでそうクレアを褒めるノア


というか『無意識にブチ切れてるんだから』って・・・・・俺そんなに分かり易いかな? ・・・・・えっ? ノアは分からないの じゃあクレアだけ?何で分かるの? ・・・・・「なんとなく?」って何で疑問形なの!!





・・・・・・・・・・まあ、とりあえずこの話はおいといて。


 俺はクレア達の後ろを見る。

そこには石でできたナイフを両手で持ちそのまま両手を脱力させて下げているコボルトがいた。その後ろには他のコボルト達が一塊になっているのだが、ぱっと見巨大な毛玉にしか見えない


「とりあえず、そこにいるコボルト達どうする? というか生きてる?」


微動だにしていない石ナイフを持ったコボルト、そんなコボルトにノアが近づく。そして目の前で手を振ってみる


「・・・・・(ふりふり)・・・・・気絶してますね」


(つーー パタン!)



 ノアのそんな言葉の後、石ナイフを持ったコボルトは大きな音を立てて前のめりに倒れてしまった。



・・・・・えーーー、どうすんのこれ?

















▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲




石ナイフのコボルト、彼女は夢を見ていた。






 私の名はハティア、こう見えてあるコボルトの集落の族長の娘であるのだワン!


 私達コボルトは一族ごとに集落を築き暮らしており基本的に狩りやちょっとした農作により日々の食べ物を得ていて、私はそんな一族の族長の娘であり両親と四人の兄と姉、家族八人と多くの群れの一族と共に平和に暮らしていたんだワン。







 しかしそんな平和な暮らしのは突如としてあのゴブリン達により襲われ壊された。


 通常であればコボルト達の戦士達はゴブリン達と互角に渡り合える。そして私の父と兄は一族のいや、コボルトの戦士達の中でも特に強い戦士でありゴブリン程度ならば何十体こようが負けることはない。しかし姉はそれよりも強く父と兄達、五人がかりでなければ勝てない、それほどに強い存在であった。




 しかしその時は違った。


 ゴブリン達はコボルト達の倍以上の数とそのほとんどが上位種という異常さ、そしてまるで当然のようにコボルト達は、父達は負けた。



火の上がる集落から一番下の兄と逃げる際、兄と共に私が最後に見たのは血を流しゴブリン達に押さえ込まれながらもこちらに向かい『逃げろ!』と叫ぶ両親の姿と未だゴブリンと戦い続ける姉と兄達の姿であった。




 そして私達は逃げた。しかしゴブリン達は私達コボルトを一人残らず捕らえたいのか異常なまでに追いかけてきた。



 そしてそんな逃走劇の末私達コボルトの生き残り達は追い詰められ、一緒に逃げてきた兄とコボルトの若い戦士達は倒され戦うすべを知らない私は護身用の石のナイフで一人でも道連れにしようと構えたその先、それは落ちてきた。




 そこからはあっという間であった。


 空より落ちてきたそれ、巨大な黒狼はゴブリン達を一瞬で凍らせ砕いていった。   


 悪い夢だと思った。私達をあれ程恐れさせ追い詰めていたゴブリン達がこうもあっさりと倒されることに。

そして巨大な黒狼は兄を傷つけたあのゴブリンを倒すとき二足歩行になるのを見私は自らの目を疑った。あの巨狼はただの狼ではないのか?

 しかし巨狼はそんな私の内心を知らずその腕に雷を纏わせたかと思うと次の瞬間特大の轟音が鳴り響いた。そこで私の記憶は途切れたのであったのだワン。










「う・・・うー・・・ん」


意識が深い眠りから少しづつ醒めていくのを感じながら彼女は未だ醒めぬ頭で先程の夢を思い出していた。


そして少し覚醒した彼女は自身の頭が働き出したのに対し何故か体が未だに起きない。というよりも彼女の視界は未だに真っ暗のままだであり周囲の状況を確認できていない。

しかし彼女はなんとなく自身が固い地面の上でなく何か柔らかくかつ温かい何かに包まれているのが分かった。

そして彼女は不思議なことにその異常な状態に特に不安などはなく逆に安心感すら感じるようでその柔らかいものに自身の全てを安心して預けていた。彼女にはまるで幼いころ母に抱きかかえられていたあの頃のように絶対に安全だという不思議なで感覚であった。


そんな状態の中彼女の耳は目よりも先に動きせわしなくピコピコと動きながら周囲の状況を探っていた。




そんな彼女の耳にある声が聞こえる。


「妹さん中々起きないわね」

「そうですね、もう傷は塞がっていると思うのですがワン」


女の人の声だ、そう思う彼女の耳は次によく知った声を聞く。


「申し訳ありません。妹はあのゴブリン達との逃走で心身共に疲れ切っているのです。本来ならば私の姉があの子のことを一番分かっているので甘えれるのですが今はおらず・・・ワフウ」


一緒に逃げてきた兄の声に彼女は少しづつその目を開ける。

そして目に映るのは真っ白い何か。いや白く光る毛並みであった。


「おっ、気付いたようだぞ」


頭の上からそんな声が聞こえる。声のした方に彼女は顔を向ける、そこには


「おはようさん、よく眠れたか?」


そう声をかけるのは白く光る毛並をもち()()()()()()をこちらに向ける巨大な狼であった。


そして声をかけられた彼女はというと


「・・・・・・・・・・おやすみなさい・・・・わふう・・・・」

「いや二度寝するなよ」


軽く現実逃避のように二度寝をしようとした。












▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲


「んじゃま、全員回復したようなので元に戻るか」


 俺はそう言いながら全身にかけていた《回復魔術》を解いていく。

 それと同時に俺の体は白から黒に変わっていき瞳の色も金色から赤っぽい黒色に変わっていった。


「いつ見てもどうなってんだろうねその体」


 クレアがサクラを腕に抱っこしたまま不思議そうにそう聞いてくる。


「分からん、というかこの現象《回復魔術》を全身発動したときだけ起こるんだよなー・・・・・本当、何でだろう?」

「まあ、使い道はたくさんありそうですし別に気にしなくていいんじゃないですか?」


 そうかな? まあ変装とかライトの代わりにはなりそうだけど。



 それはさておき俺は寝そべりながら目の前にいるコボルト達を見る。コボルト達はほとんどが女子供だけで男のコボルトはその一割にも満たないだろう。

 そんなコボルト達の一番前に他のコボルト達より少し大きなコボルト、話によるとこのコボルトの一族の族長の四男であるらしい。そしてその隣に先程まで俺の腹の上で寝て、起きた瞬間二度寝しようとしたある意味大物になりそうなこ小柄なコボルトがその四男の妹で次女らしい。

 この次女が寝ている間四男に話を聞いたところ彼らは俺がやっちまったゴブリン達に集落を焼かれ逃げていたらしい。そして絶体絶命のピンチの瞬間に俺が落ちてきたという話だ。


 んでまあとりあえずコボルト達全員が色々とけがをしていたので俺の《回復魔術》で全員回復させた。まあ見て見ぬふりしたら俺も目覚めが悪いというのが本音だけどな。









 そしてその後、何故か俺の目の前でコボルト達が全員土下座してきた。 何でー?!




「狼神様! どうか! どうか我らの一族を、父を母をそして兄姉達を助けるためそのお力をおかし下さい! お願いしますワン!!」


 そう声を上げながら土下座をする族長の息子のコボルト。


「いやいや息子君、俺狼神違」

「我々助けられた身でありながら図々しい願いだと承知しておりますのですがワン!」

「いや、聞いてー?!」


 何!? 俺の声聞こえないの?! 図々しい以前に耳大丈夫なのこの(コボルト)!!

 そんな風に思いながら息子君は言葉を続けようとしたとき


「フォロ兄、ちょっと黙ってワン」

「げぼは?!!」


そんな変な叫びを上げ地面にめり込む息子君。そしてそんな息子君の後頭部に手を置き押さえつけている妹ちゃん。


えっ、なにこれ・・・・・・・・・・


「わふう、兄が大変失礼を働き申し訳ありません狼神様」

「い、いや、別に構わないぞ。それよりも息子君顔面が埋まっているのだけれど大丈夫なのか? なんかピクピクし出したぞ?」

「大丈夫です。それよりも名乗っておりませんでしたね、私の名前はハティア、ハクロウ族族長ゼイロの末の娘ですワン。そして私の横で埋まっておりますのが五人目の子であり私の兄フォロと申しますワン。」


そう丁寧に頭を下げるハティアちゃん、そして横にいるフォロと呼ばれた息子君は地面にめり込んだままである。

そろそろピクピクの間隔が (ピク・・・・・・・・ピク・・・・・・・・)になって行ってるんだけど本当に大丈夫なの?


「ワフ、大丈夫です狼神様。兄はこの程度ではくたばらないので。」


 そう言いながらもフォロ君の頭を尚も押さえつけるハティアちゃん。なんかこの光景初め見る気がしないんだけど、どこで見たんだっけ?


「狼神様!」

「いや、俺狼神違うし」

「ワフ! では何とお呼びすれば?」

「あー、俺の名前言ってなかったな。

俺の名はヤシロ オオガミ まあヤシロさん、ヤシロ、オオガミ何とでもいってくれ。」

「わふわ、ではヤシロ様で」

「いや、敬称要らな・・・・・はあ、分かったよ。それでいい」

「わふう! ありがとうございますヤシロ様」


敬称いらないって言おうとしたらなんか捨てられる前の子犬みたいな目で見られたよ。


「ワフ! それでは早速」

「ああーー、そのまえにいいか?」

「ワふあ? なんでしょうか?」

「・・・・・無理すんな」

「ツッ?!!」


 ハティアちゃんが息を呑む。

 そんなに意外だったか?すげー顔に書いて分かり易かったけど。


 何かというと、俺はハティアちゃんを見て直ぐに小さな子が発するような雰囲気に異常を感じた。本来ならばハティアちゃんみたいな小さな子が発する雰囲気は全然感じられないと思ったらそれを無理矢理押し込んでいるのを言葉をまじあわせるだけで俺は分かった。

 ハティアちゃんもフォロ君のように自身の気持ちを最優先したいのだろうしかし交渉というものを少し知っているのかフォロ君を黙らせて少しづつ俺と交渉しようとした。まあ、初心者の俺にも分かったのだからそこは年期の差というものだろうけどねえ。


 ・・・・・話が脱線した。まあなにが言いたいかというと俺はうだうだと言われるのが嫌いだ。要点だけを言えばいいのに回りくどくかつ話を長くすることははっきり言ってうざいというか面倒くさい!・・・・・私情が入ったな、まあとりあえず


「まどろっこしい言い回しすんな、とにかく自分の言いたいことを素直に言え話はそれからだ」


そう言うとハティアちゃんは驚いた顔をした後徐々にその目尻に涙を溜め


「きゃう! ひっぐ! お願いします ねえねを きゃう! お姉ちゃん達をたすえてください!!」


 そう言った後堰を切ったように泣き出すハティアちゃん。


 最後の方は涙と嗚咽で微妙に聞き取りにくかったがこれがハティアちゃんの本音なのだろう。


「どうするのヤシロ?」


 寝そべる俺の上でクレアが聞いてくる。そして俺の答えに二人はじっと耳を傾けるのを感じながら俺は。


「まっ、こんな小さな子を泣かせちまったんだ責任はとるよ」


 そして次の瞬間その場にいたコボルト達から喜びの声が上がった。

 ハティアちゃんも涙を流すのをやめ嬉しそうな顔をし始めた。

ついでにフォロ君はようやく顔が地面から抜けだせれたのだが、周りの状況についてこれず疑問符を浮かべていた。


 まあでもその前に。


「ただし! こちらからも条件を出す!」


 俺がそういった直後コボルト達は一斉に静かになった。コボルト達の中には少し怯えた表情の子もいる。   


 いや、べつに取って食ったりするわけじゃないよ!


 まあとりあえず、俺は背中にいるクレアとノアにアイコンタクトをとる。俺の提案に二人は目を見開いたあと少しかんがえたゆっくりと頷いた。


「俺達からの条件は一つ、内の子達の面倒を見ることそれだけだ」


 そういった直後コボルト達から『はい?』と間抜けな声が聞こえた。


「ワへ?・・・・・あのヤシロ様、そんな簡単な事でいいのですかワン? 何だったらもっとひどい それこそ奴隷になれとか」

「いや奴隷なんかあんまいらねえよ。というかあんまり軽々しく奴隷になるとか言っちゃいけません」

「そうよ、自分のことをを安くしちゃだめ。もっと大事にしないと。」

「それに、奴隷になるとか言うのはあなたが本気で好きになった子に言いなさい。 多分一発で落ちるから」


・・・・・いや、ノアだけなんかおかしくない?


「ワフ!! 分かりました! ・・・・・えっと」

「クレアよ、そしてこっちが」

「ノアです。 よろしくハティアちゃん」

「ワふあ! よろしくです! クレア姉! ノア姉!」


 いやハティアちゃん? ノアの言葉真に受けないでね? それで喜ぶの結構特殊な人だから。

 そして二人とも? お姉ちゃん呼びそんなに嬉しかったの? 鼻から情熱の赤が出てるよ?


「ワふぁあ?!! ハティア! お兄ちゃんは許しませんよ!どこの馬の骨か分からない男の奴隷になるのは! 一度お兄ちゃんのところに連れてきなさい!ハティアの番にふさわしいか見極めてやる!!ぐるるるるるるるる!!!」


 そしてフォロ君ー? 君どこまで進んでんの?ちょっと戻ってきなさーい。


「わふはっ?! 申し訳ありませんヤシロ様!」

「いやいいよ、なんとなく気持ちは分かるから」

「ワふっ! ありがとうございます。・・・・・・・・・・ところでヤシロ様、本当にその条件でいいのですか?我々の願いと比べると些か不釣り合いに見えるのですがワン?」

「いーや、釣り合ってるよ」

「ワふ?」

「俺の出した条件は面倒を見ることつまりうちの子にもしも何かあったら・・・・・どうなるか分かる?」


 ちょっと脅かす感じでそう言う俺に対しコボルト達は一斉にその顔を引きつらせ尻尾を股の間に挟ませながらあとさずる。


 ハティアちゃんもフォロ君も怖かったのか他のコボルト達のようにあとさずる。



 俺はそんなコボルト達を尻目にクレアとノアの腕に抱かれているサクラとモミジの頭をそっと撫でた後ゆっくりと二人を抱きあげる。

 二人は最初不思議そうな顔をしていたが、幼いながらも何か感じ取ったのかとてもおとなしい。


 そして俺は二人をハティアちゃんとフォロ君の前まで連れて行き二人の前に差し出す。 二人は最初恐る恐るうちの二人を抱きあげた。

そして


((にへら))


 うちの二人(サクラとモミジ)はまるで安心してとでも言うように恐る恐るな二人に笑いかける。二人もそんな様子に思わず自然と口角が上がっており先程までの緊張は感じられなかった。


「それじゃあうちの子頼むよ。  ・・・・・んじゃ、行くか」


そういって巨狼姿になる俺。

そんな俺にフォロ君が慌てたように駆け寄る。


「ワふあ?!! 待ってくださいヤシロ様! 我が集落までの道案内役を一人・・・・・」

「ああ、  必要ないよ」

「ワふぇえ・・・・?」


俺のそんな言葉が意外だったのかフォロ君がモミジを抱っこしたまま呆けた顔をしていた。


「実はね、さっきのゴブリン達の中に一匹だけ生き残りがいたのよ」

「ワふ?!!」

「あっ、 安心して、今はいないから。 どうやら私達のことを遠目から見ていた後何処かに逃げていこうとしたからこっそり糸をつけていたの。目印の代わりにね」


そう言うクレアの指先からは確かに見えずらいが極細の糸が見えていた。


「まあ、そいうこった。 いざとなったら俺の鼻で探せばいいし、  とりあえずお前らはうちの子達に気をつけながらゆっくりと向かっていってくれや。」


そう言いながら俺はコボルト達に背を向け、クレアとノアを背中に乗っけながら駆け出す。 圧倒的なスピードで走るヤシロは直ぐに森の中に消えていき見えなくなってしまった。






それからしばらく呆けていたコボルト達に唯一呆けていなかったサクラとモミジの抗議のような声が響いた


「うーあ! うー!!」

「うーう! あー!!」

「ワふっ?! み、みんな、行こう」


そう言いながらコボルト達も元来た道を歩き始めた。

目指すはゴブリン達に襲われた自分たちの集落(故郷)向かって。

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